アニメ『ルパン三世』のテレビ第1シリーズの世界がしっかり伝わってくる、数少ない山下毅雄のセッション・アルバム『 ルパン三世 ~オリジナルスコアによる「ルパン三世」の世界~』
Album : 山下毅雄 / ルパン三世 ~オリジナルスコアによる「ルパン三世」の世界~ (1980)
Today’s Tune : Disco Plays Lupin
ぼくにとっては、いまもってもっとも好きな『ルパン三世』
来たる6月27日、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のスピンオフ劇場版『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』(2025年)が公開される。小池健が監督を務め、独自のスタッフによって製作されたシリーズの5作目に当たる。実はこの作品、去る6月20日から各配信サービスがオンライン・ストリーミングによって提供している、4作目の『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』の後日譚となっているとのこと。つまりこの2作品は、劇場映画と配信動画とのコラボレーション企画によって、制作されたものなのだ。まったく上手いことをやるものである。その点、B’zによる劇場版の主題歌「The IIIRD Eye」とあわせて、いまちょっとした話題になっているようだ。
それにしても『ルパン三世』の人気といえば、驚き呆れるほど息が長い。双葉社が発行する『漫画アクション』において、原作であるモンキーさんの漫画の連載がはじまったのは1967年のこと。半世紀以上もまえの出来事なのだ。現在まで原作コミックはもちろんのこと、テレビシリーズ、テレビスペシャル、劇場映画、OVAといったアニメ作品、さらには実写映画、テレビドラマ、ミュージカル、宝塚歌劇、歌舞伎と、ルパン三世の活躍の舞台はやたらと広大である。実はゲーム、パチンコやパチスロ、テーマパークのアトラクション、CM、小説やパスティーシュ・コミックなどなど、そのひのき舞台はまだまだあるのだけれど、キリがないのでこの辺でやめておくことにする。
いまさら説明は不要と思うけれど、主人公のルパン三世は、かの名高き怪盗アルセーヌ・ルパンを祖父にもつ神出鬼没の大泥棒。とはいっても、いまの若いひとのなかにはルパン三世のことは知っていても、アルセーヌ・ルパンって誰?と思う向きがけっこう多い。もちろんアルセーヌ・ルパンは、フランスの小説家モーリス・ルブランが創作した推理小説ないし冒険小説のシリーズに登場するメインキャラクター。紳士然とした怪盗であり、ときに冒険家、探偵でもある。この「アルセーヌ・ルパン・シリーズ」は、アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ・シリーズ」や江戸川乱歩の「少年探偵シリーズ」と並んで、ぼくにとっては小学校低学年から夢中になって読んだ本である。
それはともかく、ルパン三世はアルセーヌ・ルパンの孫ということで、変装の名人であり、義賊的な性格のもち主であり、高価な宝石や美術品の愛好家であり、おまけに恋多きオトコでもある。そういうところは、ちゃんとお爺ちゃんの血を受け継いでいる。スケベでおっちょこちょいな性格は玉に瑕ではあるけれど、そんな人間くささを抱えているからこそ、彼はきわめて現代的な愛すべきキャラクターとなっているように思われる。そんな人気者のルパン三世はもう60年近くも活躍しているわけだが、まったく老け込む気配がない。まあ、長谷川町子が生み出したサザエさんなどは、第二次世界大戦が終結した翌年から活躍しているのだから、年をとらないという点では磯野家やフグ田家のひとびとのほうが上を行くのだけれど──。
それとは逆にルパン三世に、島耕作や金田一少年のように、道理にかない当然のごとくに齢を重ねられても困ってしまう。引き合いに出したおふたりの場合、社長、会長、相談役、そして社外取締役にまで上り詰めたり、かたや結婚して育児をしながら探偵事務所を営んでいたりしても、物語の世界において求心力が低下するようなことはほとんどない。だが、神出鬼没の大泥棒であるルパン三世が、老骨に鞭打って難攻不落の大金庫に侵入したり、結婚して子育てをしながらダイヤを盗み出す計画を立てたりする姿は、妄想シーンならともかくリアルには見たくない。ルパン三世は、ときの移ろいに影響されることはほとんどなく、いつの時代も若々しいのである。とはいっても、ちょっと気になることもある。
みなさんはご存知だろうか、実は「アルセーヌ・ルパン・シリーズ」の著者であるルブランは、作品のなかで怪盗アルセーヌ・ルパンの誕生年は1874年(明治7年)と明示しているのである。となると舞台を現代にすると、ルパン三世がアルセーヌ・ルパンの孫という当初の設定は、辻褄が合わなくなってしまうのだ。そのことは『ルパン三世』に登場するほかのキャラクターにおいても、また然り。石川五ェ門は安土桃山時代の盗賊の頭の名を継ぐ13代目だし、銭形警部は江戸時代の岡っ引、銭形平次の6代目の子孫ということになっている。まあこのふたりの場合は、直系ではなく師匠の名前を受け継いだだけなのかもしれないが、いずれにしても現在にかかる時代においては、それらの設定に時間的な違和感を禁じ得ない。
いやいや、そんな堅っ苦しいことは抜きにしようぜ──と、ルパン三世本人に云われそうなので、これ以上重箱の隅をつつくようなことはやめておくけれど、半世紀以上も愛されつづけてきた『ルパン三世』という作品が時代の趨勢にともない、そのテイストにおいて徐々に変化をきたしたことは紛れもない事実である。ぼくがはじめて『ルパン三世』のことを知ったのは、テレビアニメの第1シリーズにおいて。グリーンのジャケットを着たルパン三世が登場する作品だが、ぼくにとっては、いまもってもっとも好きな『ルパン三世』となっている。理由はいろいろあるのだけれど、まず挙げられるのは、ルパン三世をはじめとするキャラクターたちがみないい顔をしているということ。
ぼくは単純に、キャラクターデザインと作画監督を務めた大塚康生の絵が好きなのだ。どこか滑稽みのある、それでいて自然で温もりのあるテクスチュアには、得も云われぬ心地よさと親近感を覚えるもの。したがって一部で劇場公開もされたOVA『ルパン三世 風魔一族の陰謀』(1987年)も、やはり好きな作品だ。当時、テレビ第2シリーズから定着していたメインキャラクターの声優が一新されたせいで、批判的な意見をはじめ様々な波紋を呼んだ作品ではあるけれど、ひとがなんと云おうとぼくは大好きだ。大塚さんが監修を務めたことで、テレビ第1シリーズや、名作と云われる劇場版『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)の作風になっていることが、なによりも嬉しかった。
すぐに思い浮かべるのは大野雄二が作曲した「ルパン三世のテーマ」
つい先日、Amazon Prime Videoにおいて『ルパン三世 風魔一族の陰謀』を久々に鑑賞したのだけれど、やはり理屈抜きに楽しめた。そういえば、かつてテレコム・アニメーションフィルムで『ルパン三世 カリオストロの城』を監督し、すでにスタジオジブリのひととなっていた宮崎駿が、本作を鑑賞したあとに「テレコムに戻って1本作りたい」と、こぼしていたという。確かにアニメ作品としてのクオリティは、かなりレベルが高いように思われるし、気軽に楽しむアクション活劇としては最高だ。物語の舞台が日本になっているのも、却って新鮮だった。なお宮崎さんがテレビ第1シリーズにおいても、高畑勲とともにAプロダクション演出グループの一員として、監督を務めたことはよく知られている。
テレビ第1シリーズの放送開始は1971年のことだけれど、そのときぼくはこの番組を観ていなかった。ぼくはその数年後に夕方にやっていた再放送で、はじめてこのシリーズを観て『ルパン三世』のファンになったクチである。それから間もなくテレビ第2シリーズの放送がスタートしたが、これはリアルタイムで観ていた。このシリーズは、1977年から1980年までのおよそ3年間に155話が製作され、全テレビシリーズ中でもっとも長期間放送された。ルパン三世のジャケットの色はレッドに変更されたけれど、おそらくこのときのスタイルが、現代に至るまでもっとも広く浸透したのではないだろうか。ところがこのシリーズ、ぼくがストーリーをハッキリ記憶しているのは、宮崎さんが監督した2作とそれ以外の十数話にとどまる。
その後『ルパン三世 PARTIII』(1984年 – 1985年)やテレビスペシャルなども観るには観たのだけれど、作品を追うごとになぜかぼくのこころは『ルパン三世』から離れていった。結局ぼくにとって『ルパン三世』といえば、帰するところテレビ第1シリーズなのである。まあこれは時代性なのだろうが、最初のころのルパン三世といえば、その華麗なる盗みのテクニックはどちらかというと知略縦横、臨機応変の心理戦だった。それが移れば変わる世の習いということで、ルパンの遣り口もハイテクが駆使されたアクティヴな肉弾戦へと移行していく。確かにテレビ第1シリーズは、ストーリーにおいてはまだまだスケールが小さかったかもしれないけれど、そこに登場するルパンにしても不二子にしてもやたらと人間くさくて、ぼくの目にはもっとも魅力的に映る。
そんな流れのなかで、いまのいままでぼくと『ルパン三世』とを繋ぎ止めているのは、その華麗で痛快な世界を彩る音楽である。ルパン三世のそのひのき舞台と同様に『ルパン三世』の音楽は、実にヴァラエティに富んでいる。そうはいっても、誰もがすぐに思い浮かべるのは、ジャズ・ピアニストの大野雄二が作曲した「ルパン三世のテーマ」だろう。それこそ半世紀近くもこのテーマ曲は、何度となくアップデートされて『ルパン三世』の世界を盛り上げてきた。そんなわけでこの曲には数多のヴァージョンが存在するのだが、オリジナルはテレビ第2シリーズにおいてお目見えした。ユー&エクスプロージョン・バンドによるフュージョン・サウンドとシンガーズ・スリーによるコーラスは、いま聴いてもスタイリッシュだ。
正直に云うと、当初ぼくはこの「ルパン三世のテーマ」が、これほど長期にわたって多くのひとから愛されつづけるとは、予想だにしなかった。実際、ときを経ても色褪せない名曲となっているわけだが、1977年の時点ではぼくにとって、世に氾濫するおびただしい数の大野ワークスのなかの1曲だったのである。1971年からテレビ放送されたホームコメディドラマ、石立鉄男&ユニオン映画シリーズがキッカケで、すでに大野さんのファンだったぼくは「へえ、ルパンの音楽もやるのか」くらいの感想を抱く程度だった。むろんカッコいいとは思ったのだけれど、大野さんの音楽のカッコよさをとうに知っていたものだから、ぼくはそんなにべもない受けとめかたをしてしまったのだろう。
もう少し具体的に述べると、はじめて「ルパン三世のテーマ」を聴いたとき、当時すでにジャズやフュージョンに親しんでいたぼくは、そのメロディック・ラインからすぐに右手に障害を抱えるジャズ・ピアニスト、ホレス・パーランの「コンガレグレ」という曲を連想した。作曲したのはこの曲でまさにグルーヴィーなコンガをプレイしているレイ・バレットだが、パーランの『ヘディン・サウス』(1962年)というアルバムに収録されているので、興味のあるかたはどうぞお試しあれ。あと、村岡建のアルト・ソロのあとのブリッジなどは、大野雄二とキングコング・ハンターズの(ジョン・バリーの曲をディスコにアレンジした)「ソウル・キングコング」(1976年)という曲のそれとウリふたつだったりする。そんな感じで柳に風ではないけれど、ぼくはこの名曲を軽く受け流していた。
そんなぼくもいまでは、ご多分に漏れず『ルパン三世』といえば、まずは大野さんの音楽を思い浮かべる。なんだかんだ云っても、たとえ過去の作品からの流用とはいえ、およそ2年まえにAmazon Prime Videoにて配信された『ルパン三世VSキャッツ・アイ』(2023年)などにおいても、依然として大野さんのスコアが圧倒的な存在感を放っているのだから──。大野さん自らもオリジナル・アルバムのレコーディングやライヴ活動において、Yuji Ohno & Lupintic FiveとかYuji Ohno & Lupintic Sixといったバンド名を掲げ、さらには自身が主宰する音盤制作組織のブランド名をLupintic Labelとしている。まさに『ルパン三世』といえば大野雄二、大野雄二といえば『ルパン三世』といった状況なのである。
ハッキリ云って、これではほかの音楽家の入り込む余地はないに等しい。それでも新機軸を打ち出そうとしたクリエイターはいるわけで、大野さん以外にも『ルパン三世』の音楽を手がけたミュージシャンは何人かいる。ただそのだれもが多かれ少なかれ、やりづらさのようなものを感じたのではないだろうか。そんな難業に挑んだ音楽家を、ちょっとご紹介しておこう。前述の『ルパン三世 風魔一族の陰謀』では、サクソフォニストの宮浦清が音楽を担当。シンセサイザーやシーケンサーを多用したサウンドは時代性を反映するものだけれど、意外なことにいま聴いても心地いい。宮浦さんの当時の奥様、宮浦和美(現在の鈴木和美)が歌う挿入歌「Undercover Lover」は、雰囲気のあるなかなかの清曲だ。
大野サウンドにはない解き放たれたような晴々したフィーリング
その後も大野さんは一連のテレビスペシャルにおいて、自らの流儀を貫きながらも『ルパン三世』の音楽世界を拡大させつづける。ただ1996年だけは、劇場版およびテレビスペシャルの音楽担当を降板している。理由のひとつは、前年にプライヴェートにおいても大野さんと親交の深かった、長年ルパン三世役を務めた山田康雄が逝去したこと。大野さんは翌年には復帰するが、映画『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』(1996年)と、それにつづくテレビスペシャル『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』(1996年)の音楽は両作とも、それまでポップスのアレンジャーとして活躍してきた根岸貴幸が手がけた。根岸さんのスコアは大野サウンドが踏襲されているのだけれど、それを意識し過ぎたせいか、残念なことにいささかやり過ぎの嫌いがある。
本家本元が継続されるなか、イレギュラーな意欲作も登場した。ひとつは『LUPIN the Third – 峰不二子という女 -』(2012年)という作品で、ルパン三世ではなく峰不二子に重点が置かれたスピンオフ・テレビアニメだ。ストーリーは、テレビ第1シリーズ以前の峰不二子をはじめ、ルパン三世、次元大介、石川五ェ門、銭形警部らの若き日の活躍が描かれたもの。原作に近いハードかつアダルトな作風が、特徴と云える。音楽はサクソフォニストの菊地成孔が担当。菊池さんのサウンドには、幅広いジャンルの音楽の要素が採り入れられていて、ぼくもかねてより興味をもっていた。ただ、ここで展開されている音楽は実にスタイリッシュなのだけれど、(『ルパン三世』の音楽としては)ちょっとアートオリエンテッド過ぎるようにも思われる。
いやいや、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール feat. 橋本一子による、オープニング・テーマ「新・嵐が丘」は、ほんとうにカッコいいと思う。でも、そのアンニュイでダークな雰囲気が、なんとなくぼくのこころをザワザワさせるのもまた事実だ。本作のキャラクターデザインと作画監督を、小池健が務めている。冒頭でもお伝えしたように、小池さんは劇場用作品『LUPIN THE IIIRD』シリーズの監督だ。当然のことながら『LUPIN the Third – 峰不二子という女 -』のテイストは、こちらのシリーズにも引き継がれている。この『LUPIN THE IIIRD』シリーズの音楽は、CM音楽の作曲家として知られるジェイムス下地が担当。ロッキッシュなサウンドは、かつてないほどにハードでワイルド。だが正直、ぼくには重過ぎる。
これらの大野さんに後続する音楽家たちによる『ルパン三世』の音楽は、みなクールなのだけれど、そのほとんどが軽やかさに欠ける。その点、大野サウンドはクールなだけではなく、きわめて軽妙洒脱なのである。そういうところが「ルパン三世のテーマ」をはじめ大野さんのペンによる劇伴の数々が、多くのひとから愛される最大の理由と、ぼくは思うのである。そして、そんな軽妙さに加え眩いばかりの鷹揚さが際立つのが、実はテレビ第1シリーズの音楽なのだ。スコアを手がけたのは、唯一無二のスタイリスト、ヤマタケの愛称で親しまれる山下毅雄(1930年3月7日 – 2005年11月21日)。映画、テレビドラマ、アニメ、CMなどの音楽を数多く手がけた作曲家という点では、大野さんの先輩格に当たる(ともに慶應義塾大学の出身でもある)。
実はテレビ第1シリーズ以前に『ルパン三世 パイロットフィルム』(1969年)というものが存在する。文字どおり映画配給会社、テレビ放送局、それにスポンサーなどへのプレゼンテーション用に製作された作品だ。音楽は大野さんも師事した、ジャズ・ピアニストでアレンジャーの前田憲男が担当。小粋なハード・バップ・ジャズを聴かせた。とはいってもフィルムの尺はたったの13分だから、事実上『ルパン三世』の世界を最初に表現しきったのは、ヤマタケさんと云っていい。ジャズ、ロック、ソウル、ラテンなどがクロスオーヴァーするところは大野サウンドと同様だけれど、ヤマタケ・サウンドはスキャット、口笛、かけ声などが頻繁に登場する実にユニークなもの。その解き放たれたような晴々したフィーリングは、大野さんの音楽にも観ることができない。
そんなテレビ第1シリーズの素晴らしい音楽を、多くのかたに体験していただきたいのだが、実はオリジナルの音楽を収録したマスターテープが紛失しており、いまだゆくえ知れずのままなのである。のちに各話のMEトラック(音楽と効果音が録音されたトラック)をつなぎ合わせて制作された『ルパン三世 ’71 ME TRACKS』(1999年)というスゴいアルバムもリリースされたが、資料的価値は高いものの純粋な音楽鑑賞には向かない。そこでお薦めしたいのが、ヤマタケさん自身の手によって音盤用に新たにレコーディングし直された『ルパン三世 ~オリジナルスコアによる「ルパン三世」の世界~』(1980年)。収録曲は、ヤマタケさんのふたりのご子息、山下透(次男)と山下泉(長男)とによりアレンジが施されているので、テレビ用の音源とは印象を異にする。
しかしながら本作は、テレビ第1シリーズの世界がしっかり伝わってくるものでもあるし、いまでは数少ないヤマタケさんのセッション・アルバムということもあり、たいへん貴重な1枚と云える。具体的にそのセレクションを記しておくと、チャーリー・コーセイが歌うオープニング・テーマ「ルパン三世 その1」シンガーズ・スリーによるエンディング・テーマのスキャット・ヴァージョン「ムーディー・テーマ」フルート・ソロがフィーチュアされたジャズ・ロック「アフロ・ロック・テーマ」ブラシ、ボンゴ、クラベス、フルートが激しく絡み合う「ジャパニーズ・トーン」ヴィブラフォン ・ソロがフィーチュアされた「ギャロップ・サンバ」ギター、アルト、ローズとソロがつづきストリングスも華麗に響くダンス・ナンバー「ディスコ・プレイ」とつづく。
さらに伊集加代子のスキャットがエレガントな「スキャット・テーマ」ローズが全面的にフィーチュアされた「ロック・テーマ・ナンバー1」男性スキャットと口笛とによるエンディング・テーマのヴァリエーション「ツービート・ロック」伊集さんが歌うオープニング・テーマのスロー・ヴァージョン「スロー・バラード」と、レコードはここまでがA面。B面は、よしろう・広石が歌う主題歌3「デキシー・ロック・マーチ」尺八の音色とR&Bテイストがよくマッチした「タッチ・オブ・ジャパニーズ・トーン」ギターとシンセがフィーチュアされたこころも弾む「シャフル・ロック」シンガーズ・スリー、ギター、そしてストリングスがチャーミングな振る舞いを見せる「ミディアム・サンバ」チャーリー・コーセイの歌う主題歌4「アフロ・ルパン ’68」とつづく。
さらにソプラノ・ソロがフィーチュアされた「サンバ・クレイジー」伊集さんのヴォーカルがユーモラスな「ナイス・ガイ」ソプラノとよしろう・広石のヴォーカルがもの悲しくも爽やかな余韻を残す「スロー・サンバ」とつづき、チャーリー・コーセイが歌うデカダンス的なエンディング・テーマ「ルパン三世 その2」をもって、アルバムは締めくくられる。なお「ルパン三世 その1」と「ルパン三世 その2」は、ともに残っていたテレビサイズ音源に、SEとパーカッションがオーヴァーダブされたものである。また、オリジナルのジャケットに特別な思い入れがなければ、LPの楽曲がまるごと収録され、さらにはテレビ第1シリーズのリリース可能な素材が徹底的に網羅された『ルパン三世 ザ・ファースト・シリーズ・アンソロジー』(2003年)をお薦めする。味わい深いグリーン・ジャケットの『ルパン三世』の世界を、とくとご賞味あれ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント