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	<title>Lee Ritenour | 気ままに音楽生活</title>
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	<description>いささか気ままに──ではありますが　素敵な音楽をご紹介してまいりますので　どうぞよろしくお願いいたします</description>
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	<title>Lee Ritenour | 気ままに音楽生活</title>
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	<item>
		<title>Lee Ritenour &#038; Dave Grusin / Brasil (2024年)</title>
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		<pubDate>Sun, 30 Jun 2024 06:35:43 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Fusion]]></category>
		<category><![CDATA[Dave Grusin]]></category>
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					<description><![CDATA[リー・リトナー＆デイヴ・グルーシンのブラジル音楽、延いては音の芸術に対する深い愛情が際立った『ブラジル』]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">リー・リトナー＆デイヴ・グルーシンのブラジル音楽、延いては音の芸術に対する深い愛情が際立った『ブラジル』</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p class="wp-block-paragraph"><img decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Lee Ritenour &amp; Dave Grusin / Brasil (2024)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Canto Invierno (Winter Song)</em></p>
</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-2" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-2">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">リー・リトナー＆デイヴ・グルーシンのブラジル音楽、延いては音の芸術に対する深い愛情が際立った『ブラジル』</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">名コラボレーションとハイクオリティのブラジリアン・サウンド</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">リトナーとグルーシンのインスピレーションの源となったブラジル音楽</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">新たなレジェンド──ほかのアーティストではなし得ないもの</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">名コラボレーションとハイクオリティのブラジリアン・サウンド</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　<strong>リー・リトナー</strong>と<strong>デイヴ・グルーシン</strong>のコラボレーション・アルバム『<em>ブラジル</em>』(2024年)が、ぼくの手もとにも届いた。この新作のリリースを機に、このブログでも彼らのかつてのコラボ作品『<em>ハーレクイン</em>』(1985年)を採り上げた。そのときも触れたのだれど、国内盤の発売元であるポニーキャニオンの公式ページにある「40年の時を経て、リトナー＆グルーシンが名作の続編を完成！」というコピーに、ぼくはなにかすっきりしない感じがした。というのも、ぼくはかねてから『<em>ハーレクイン</em>』が単なるブラジル音楽にちなんだ作品とは、観ていなかったからだ。ここで詳しくは語らないけれど、要はそれだけでは片付けることのできない奇跡的な作品と、ぼくはこの旧作を高く評価しているのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　まあ、それは置いておいて、リトナーにしてもグルーシンにしても、もはやレジェンダリー・ミュージシャンと呼ぶべき存在であり、2024年でそれぞれ72歳と90歳という高齢者でもある。まずは、ふたりのコラボレーションが健在であることを、素直に喜びたいと思う。しかしながらそういう思いがあるいっぽうで、正直に告白すると今回の新作のリリースについて、ぼくは少年時代のように期待に胸を膨らませるようなことはなかった。現にCDが自宅に届いてもすぐに封を切ることはなく、いまのいままで放置しておいたくらいだ。なぜかというと、リトナーとグルーシンのこの10年の音楽活動を顧みたとき、ふたりにはもはや、往年の獅子奮迅のごとき活躍を見せていたころのヴァイタリティは、さすがになかったからだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　特にグルーシンは、加齢による演奏能力の衰えを感じさせたり、そのせいか自ら第一線から退くような印象を与える。近年リーダーとしてはもちろんのこと、サイドマンとしても音楽作品からすっかり遠ざかり、たまに地味なドキュメンタリー映画の音楽に携わるくらいのグルーシン。きっと今回の新作においても、彼のプレイはしごく落ち着いたものになるのだろうと、ぼくは予想していたのである。そして実際にレコーディングは、事前にぼくが推し量ったのとほぼおなじ方向に進められていた。全盛期のグルーシンのパフォーマンスに見られる、聴くものの気持ちを高揚させるような躍動感と疾走感が溢れるキーボード・ワークは、すっかりトーンダウンしている。しかしながらそのサウンドから、彼のヒューマン・カインドネスが消えることはなかった。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5481 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/guitarbrasil.png" alt="浜辺に置かれたギターとドラムス" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/guitarbrasil.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/guitarbrasil-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　そもそも今回のプロジェクトでは、企画段階からリトナーとグルーシンのヴィルトゥオーソとしての側面を強調することが目的とはされていないようだ。それが却ってふたりのブラジル音楽、延いては音の芸術に対する深い愛情を際立たせているように、ぼくは思う。ニュー・アルバム『<em>ブラジル</em>』は、リトナーとグルーシンがこれまでに影響を受けたブラジル音楽をリプレイするいっぽうで、現在彼らが注目するブラジリアン・ナンバーを、そのオリジネーターたちをそのままフィーチュアして、ニュー・アレンジで聴かせるという仕様。そういう方向性において『<em>ブラジル</em>』は、ブラジルの音楽にインスパイアされながらもコンテンポラリー・ジャズの可能性が追求された『<em>ハーレクイン</em>』とは、まったく趣きを異にする。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そう考えると、過去にリトナーとグルーシンがここまでブラジルに寄り添った作品はなかったかもしれない。変な云いまわしかもしれないが、本作におけるふたりのブラジリアン・ミュージックに対する斟酌の仕かたが、実に思慮深いのである。気障な云いかたをすれば、この『<em>ブラジル</em>』で彼らが展開しているのは、まさに大人の音楽ということになる。ジャズ、フュージョン、そしてフィルム・スコアにおいて、キーボーディスト、コンポーザー、アレンジャー、プロデューサーとして長いキャリアをもつグルーシン。グルーシンのサポートによりデビューを果たした、フュージョン・ギターの雄であるリトナー。両者のアーリー・ワークスには、すでにブラジル音楽の要素が導入されていたが、それは穏やかに熟成が進んでいき、いま実にまろやかな味わいとなっている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　いっぽう本作では、ぼくの想像の域を遥かに超える収穫もあった。それは今回のリズム・セクションが、ブラジリアン・サウンドをハイクオリティのものにする機能を、抜群に発揮しているということだ。今回のメンバーといえば、リトナーとグルーシン以外はすべてブラジル人。ベーシックなレコーディングは、ブラジル音楽産業の中心となっている南半球最大のメガシティ、サンパウロで行われた。ブラジル勢は、<strong>ブルーノ・ミゴット</strong>(b)、<strong>エドゥ・ヒベイロ</strong>(ds)、<strong>マルセロ・コスタ</strong>(perc)の３人。サンパウロ出身のミゴットは<strong>渡辺貞夫</strong>のブラジル録音『<em>オウトラ・ヴェス～ふたたび～</em>』(2013年)に参加、その際来日も果たしている。本作でもフィーチュアされている、<strong>シコ・ピニェイロ</strong>の４枚目のリーダー作『<em>シティ・オブ・ドリームス</em>』(2020年)のベースも、彼によるものだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ヒベイロはサンパウロの人気ジャズ・ユニット、<strong>トリオ・コヘンチ</strong>のドラマー。本作においては、彼のドラミングが圧巻。ブラジルのリズムとジャズのテクニック＆メソッドの融合、そして絶妙なバランス感覚が素晴らしい。なおヒベイロのトリオ作『<em>ニュース</em>』(2022年)には、ミゴットも参加している。カリオカのパーカッショニストでドラマーでもある、コスタはいわゆるブラジルではファーストコール・ミュージシャン。<strong>カエターノ・ヴェローゾ</strong>、<strong>マリア・ベターニア</strong>、<strong>ガル・コスタ</strong>など、多くのアーティストをサポートしてきた。ある意味で、MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)の陰の立役者と云える。サンバ、フォーク、ロックを超越した女性シンガーソングライター、<strong>マリーザ・モンチ</strong>のグループで来日も果たしている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #34485e;">(『<em>ハーレクイン</em>』については、下の記事をお読みいただければ幸いです)</span></p>
<div class="blogcard-type bct-related">

<a href="https://kimama-music.com/dave-grusin-lee-ritenour-harlequin/" title="Dave Grusin &amp; Lee Ritenour / Harlequin (1985年)" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="160" height="90" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-160x90.jpg" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-160x90.jpg 160w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-120x68.jpg 120w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-320x180.jpg 320w" sizes="(max-width: 160px) 100vw, 160px" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">Dave Grusin & Lee Ritenour / Harlequin (1985年)</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">長年の盟友であるデイヴ・グルーシンとリー・リトナーとによるブラジル出身のイヴァン・リンスをフィーチュアしたコラボレーション・アルバム『ハーレクイン』──リトナー&amp;グルーシンのこの10年、ふたりの2024年の新作『ブラジル』にも触れながらその魅力を語る。</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://kimama-music.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">kimama-music.com</div></div></div></div></a>
</div>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">リトナーとグルーシンのインスピレーションの源となったブラジル音楽</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　本作で創出されたサウンドには、独特のフォーマット、グルーヴ、カラー、あるいはそれらの結合から、リスナーの聴覚にある種の美感を与えるものがある。その大きな要因は、上記の本場ブラジルのミュージシャンをリズム・セクションに起用したことと、ぼくは思う。考えてみれば、グルーシンがおよそ12時間のフライトを経てサンパウロに赴き、現地のミュージシャンとレコーディングするというのは、はじめてのことではなかったか。かたやリトナーは、アコースティック・ギターをフィーチュアした『<em>リー・リトナー・イン・リオ</em>』(1979年)において、リオデジャネイロに渡り<strong>ルイザォン・マイア</strong>(b)や<strong>パウリーニョ・ブラガ</strong>(ds)らと共演しているが、全７曲中２曲のみのことである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　かつての名作『<em>ハーレクイン</em>』のトラックは、すべてカリフォルニア州ハリウッドで吹き込まれた。リズム・セクションは西海岸の敏腕スタジオ・ミュージシャンたちで、ガッチリ固められている。そんな状況を考慮しても、単純に『<em>ブラジル</em>』が『<em>ハーレクイン</em>』の続編と云い切ってしまうことには、やはり釈然としないものがある。コンテンポラリー・ジャズがサウンドの主体となる『<em>ハーレクイン</em>』に対し、明らかに『<em>ブラジル</em>』という作品には、リスナーの心身をリフレッシュするような、太陽と大地、そして潮風が生み出す自然の香りが漂っている。もちろん、リトナーとグルーシンのプレイには、洗練されたジャズのエッセンスが感じられる。それにも増して際立つのは、ブラジル勢が紡ぐ清涼感に溢れるフレーズやリズムなのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　やはりブラジル音楽は、素晴らしい。リトナーとグルーシンが自らの音楽のインスピレーションの源となったブラジリアン・ミュージックは、ボサノヴァ時代にはじまる。ボサノヴァは、1950年代にリオデジャネイロのコパカバーナやイパネマといった海岸地区で生まれた音楽だけれど、ふたりがその影響を受けたのは、1960年代に入ってからだろう。<strong>スタン・ゲッツ</strong>(ts)、<strong>ズート・シムズ</strong>(ts)、<strong>クインシー・ジョーンズ</strong>(arr)といったアメリカのミュージシャンが、ボサノヴァ作品をリリースしはじめたころだ。ブラジルのピアニスト、<strong>セルジオ・メンデス</strong>がカーネギー・ホールでのコンサートに出演したのも1962年のこと。ご存知のとおり、リトナーとグルーシンの仲を取りもったのは、だれあろうセルメンである。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5480 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/pianobrasil.png" alt="浜辺に置かれたピアノとコンガ" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/pianobrasil.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/pianobrasil-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　思い起こせば、ぼくもリトナーやグルーシンとほぼおなじタイミングでブラジル音楽を体験してきた。1960年代、ヴァーヴ、CTIといったレーベルからリリースされた<strong>アントニオ・カルロス・ジョビン</strong>のボサノヴァ作品に、無意識に馴染んでいた。1970年代、<strong>ウェイン・ショーター</strong>(ts, ss)の『<em>ネイティヴ・ダンサー</em>』(1975年)でフィーチュアされたことから、<strong>ミルトン・ナシメント</strong>の作品をよく聴くようになった。ぼくにとっては、はじめてのMPB体験だったと思う。1980年代には、<strong>クインシー・ジョーンズ</strong>が手がけたアルバムに収録されていた楽曲から<strong>イヴァン・リンス</strong>の名を知り、彼のレコードを買い漁った。彼は作曲において特異なコード進行を用いるのだが、ぼくにとっては衝撃的だった。その間、セルメンのアルバムも、継続的に聴いていた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ということで、ぼくにとってブラジリアン・ミュージックは、ジャズに次ぐ重要な音楽と云える。では、酷暑にへばるばかりの今日このごろ、一服の清涼剤ともなる『<em>ブラジル</em>』を聴いて、爽快な気分を味わおうではないか──。なお、本作のプロデュースとアレンジは、リトナーとグルーシンの共同作業となっている。レコーディングとミキシングにおいては、フィラデルフィア・ソウルの代表的グループ、<strong>ザ・スピナーズ</strong>の『<em>新しき夜明け</em>』(1974年)の濃密なサウンドで知られる、<strong>ドン・マレー</strong>がエンジニアを務めている。マレー自身もギターを弾くが、彼はリトナーをそのセカンド・アルバム『<em>キャプテン・フィンガーズ</em>』(1977年)から支えている。前述の『<em>リー・リトナー・イン・リオ</em>』も『<em>ハーレクイン</em>』も、彼が手がけた作品である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それでは、ヴァモス・クルチール・ムジカ！──アルバムの幕開けは、<strong>ミルトン・ナシメント</strong>の「クラヴォ・イ・カネーラ(クローヴ・アンド・シナモン)」だ。ナシメントとギタリストでありシンガーソングライターでもある<strong>ロー・ボルジェス</strong>との、２枚組共演盤『<em>街角クラブ〜クルービ・ダ・エスキーナ</em>』(1972年)からの１曲。ふたりの少年が写った写真がジャケットにあしらわれた、あのレコードだ。ブラジルの民族音楽タンボーリス・ジ・ミナスのリズムが活かされた、ナシメントの代表曲のひとつ。作詞は本作に参加している<strong>セルソ・フォンセカ</strong>ともコラボした、<strong>ホナルド バストス</strong>。なおクルービ・ダ・エスキーナとは、ブラジル南東部のミナス・ジェライス州、ベロ・オリゾンチ市に集うミュージシャンたちの呼び名である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ナシメントはこの曲を『<em>ミルトン</em>』(1976年)というアルバムでセルフ・カヴァーしているのだが、こちらでは<strong>ハービー・ハンコック</strong>がピアノを弾いている。また、このアルバムには<strong>ウェイン・ショーター</strong>も参加しており、前述の『<em>ネイティヴ・ダンサー</em>』と関係が深い。ほかにも多くのアーティストにこの曲は採り上げられているけれど、忘れることができないのは<strong>ジョージ・デューク</strong>(key)の『<em>ブラジリアン・ラヴ・アフェア</em>』(1980年)に収録されているヴァージョン。ナシメント本人の歌唱も然ることながら、デュークが操る各種のシンセサイザーがこの曲によく合っている。ちなみにコーラスには、<strong>イヴァン・リンス</strong>のもとの奥さま、<strong>ルシーニャ・リンス</strong>も参加している。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">新たなレジェンド──ほかのアーティストではなし得ないもの</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところで今回の演奏でこの曲は、ほぼ原曲どおりのアレンジで進行する。リトナーのエレクトリック・ギターがシングル・トーンでシンプルにテーマとサビを提示したあと、ヴォーカルが重なってくる。歌っているのは、そのクリスタル・ヴォイスが話題となったサンパウロの新進女性シンガー、<strong>タチアナ・パーハ</strong>。抑えめの歌唱が、アンサンブルに溶け込む。グルーシンのアコースティック・ピアノ、リトナーのギター、そして<strong>グレゴア・マレ</strong>のハーモニカがソロを執る。平明で落ち着いた感じのアドリブに、熟成香が漂う。ヒベイロのドラムスが刻む、サンバのリズムも快調。<ruby>清澄<rt>せいちょう</rt></ruby>な空気をつくっているマレは、いまは亡き<strong>トゥーツ・シールマンス</strong>の後継者と目されるスイス出身のジャズ・ハーモニシストだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　つづく「フォー・ザ・パームズ」はリトナーの新曲。転調を効かせたテーマ部が、往年のグルーシンの曲を彷彿させる。そのせいか、グルーシンのピアノ・ソロが、程よいスウィング感を醸し出している。彼を敬愛するぼくとしては、嬉しくなる瞬間である。マレの哀愁を帯びたハーモニカも、静謐なオブリガートでサウンドに潤いを与えている。リトナーのアコースティック・ギターによる、ジャジーでありクラシカルでもあるアプローチは極上。ヒベイロはスマートなブラシ・ワークに専念。ミゴットもここではアコースティック・ベースにもち替えている。釈は短めだが、ニュー・ステージのアコースティック・フュージョンを予感させる、清らかで美しいジャズ・ワルツに仕上がっている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　３曲目は、グルーシンのアルバム『<em>ジェントル・サウンド</em>』(1978年)からのナンバー「カタヴェント」である。原曲は<strong>ミルトン・ナシメント</strong>のデビュー・アルバム『<em>トラヴェシーア</em>』(1967年)に収録されているが、一般的にはつづくCTIレコードからリリースされた『<em>コーリッジ</em>』(1969年)のヴァージョンで周知された。かつてのグルーシンは、この曲を<strong>スティーヴ・ガッド</strong>(ds)を主軸に据えたニューヨークのリズム隊で、かっちりしたサンバとしてプレイしていたが、ここでは鷹揚な律動を際立たせている。それがよりブラジリアン・ミュージック特有の爽快感と清涼感を引き立てている。以前はフェンダー・ローズでよくバウンスしていたグルーシンも、今回はアコースティック・ピアノでゆったりと玉を転がすように鍵盤を動かしている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5483 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/vocalbrasil.png" alt="浜辺に置かれたマイクロフォンとベースギター" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/vocalbrasil.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/06/vocalbrasil-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　４曲目は、<strong>イヴァン・リンス</strong>のヴォーカルをフィーチュアした「ヴィトリオーザ」で、オリジナルは彼のソン・リヴレ移籍第１作『<em>イヴァン・リンス</em>』(1986年)に収録されている。リンスの『<em>ハーレクイン</em>』への参加に対する返礼のごとく、グルーシンがプロデュースとアレンジを手がけた。レコーディングもマレーによる。まだ幼かったリンスの息子、<strong>クラウディオ・リンス</strong>のスキャットも微笑ましかった。今回はリンスとパーハとによるデュエットで、さざ波に揺れる夕陰と頬をなでてくるそよ風が交じり合うような、優しくて爽やかな雰囲気が絶品。グルーシンのピアノによるバッキングも温かい。なおリンスはこの曲を、彼を長年アレンジとキーボードで支えた、<strong>ジルソン・ペランゼッタ</strong>とのコラボ作『<em>クンプリシダージ</em>』(2017年)でも、歌っている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　アルバムの折り返しとなる「メウ・サンバ・トルト」は、<strong>セルソ・フォンセカ</strong>の『<em>ナチュラル</em>』(2003年)からのチョイス。フォンセカは、ギタリストとしても活躍するカリオカのシンガーソングライター。シンプルなミッド・テンポのサンバだが、ブルージーな曲調とフォンセカのカジュアルなヴォーカルが、アーバンなムードを演出。パーハのサポートもこざっぱりとしていて、いい感じ。つづく「ストーン・フラワー」は、<strong>アントニオ・カルロス・ジョビン</strong>の『<em>ストーン・フラワ</em>ー』(1970年)からのナンバー。ジョビンの作品のなかでも、エスノフューチャリズム路線の曲だ。ここでバンドは、マラカトゥのリズムに乗って、ハードコアなコンテンポラリー・ジャズを展開。力強く聴き応え抜群だ。かつてリトナーは、この曲を『<em>ツイスト・オブ・ジョビン</em>』(1997年)でも採り上げた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　７曲目の「ボーカ・ヂ・シリ」は、どこまでもリフレッシングで軽快なサンバ。これまでニューヨークのジャズ・シーンで注目されてきた天才ギタリスト＆シンガー、<strong>シコ・ピニェイロ</strong>がフィーチュアされている。オリジナルは彼の『<em>ゼアズ・ア・ストーム・インサイド(フロール・ジ・フォーゴ)</em>』(2010年)に収録されている。<strong>カエターノ・ヴェローゾ</strong>を彷彿させる美声と柔らかな語り口が、繊細な波音と心地いい涼風をイメージさせる。グルーシンによるローズも思わず跳ねる、まさに気分爽快な１曲だ。つづくリトナーのオリジナル「リル・ロック・ウェイ」においても、シンコペーションやモジュレーションによって、実に清々しい空気が生み出されている。ファンキーなパートもあるが、飽くまでドライ。リトナーのギター、パーハのスキャット、それにマレのハーモニカも小気味いい。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　アルバムのラストを飾る「カント・インヴィエルノ」は、グルーシンの旧作。曲名はスペイン語で「冬の歌」という意味だが、原曲は「エチュード」というタイトルの６拍子のボサノヴァで、リトナーの『<em>キャプテンズ・ジャーニー</em>』(1978年)に収録されていた。その後、リトナー＆グルーシンの『<em>トゥー・ワールド</em>』(2000年)でも、再演された。ここではボサノヴァのリズムからスタートするものの、後半ではリハーモナイズしながらタンゴ風に展開するのが新鮮。リトナーのギターの心地いい音色とそれが紡ぎ出す美しい楽句、そしてグルーシンのリリカルなシングル・トーンとリズミカルな両手のコンビネーション──ここにあるグルーヴは、ほかのアーティストではなし得ない、ただひとつのもの。また、新たなレジェンドの誕生でもある。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p class="wp-block-paragraph">最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
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		<title>Dave Grusin &#038; Lee Ritenour / Harlequin (1985年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 19 May 2024 08:00:39 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Fusion]]></category>
		<category><![CDATA[Dave Grusin]]></category>
		<category><![CDATA[Lee Ritenour]]></category>
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					<description><![CDATA[長年の盟友であるデイヴ・グルーシンとリー・リトナーとによるブラジル出身のイヴァン・リンスをフィーチュアしたコラボレーション・アルバム『ハーレクイン』]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">長年の盟友であるデイヴ・グルーシンとリー・リトナーとによるブラジル出身のイヴァン・リンスをフィーチュアしたコラボレーション・アルバム『ハーレクイン』</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p class="wp-block-paragraph"><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Dave Grusin &#038; Lee Ritenour / Harlequin (1985)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Silent Message</em></p>
</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-4" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-4">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">長年の盟友であるデイヴ・グルーシンとリー・リトナーとによるブラジル出身のイヴァン・リンスをフィーチュアしたコラボレーション・アルバム『ハーレクイン』</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">レジェンダリー・ミュージシャン──リトナー＆グルーシンのこの10年</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">リトナー＆グルーシンの新作『ブラジル』は『ハーレクイン』の続編？</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">リトナー＆グルーシンによる目の覚めるような美しいサウンドスケープ</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">レジェンダリー・ミュージシャン──リトナー＆グルーシンのこの10年</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　<strong>リー・リトナー</strong>にしても<strong>デイヴ・グルーシン</strong>にしても、もはやレジェンダリー・ミュージシャンと呼ぶべき存在。月日の経つのは早いもので、キャプテン・フィンガーズという異名をとったリトナーも、すでに古希を迎えている。古希は古稀とも書くんだけれど、70歳まで生きるひとは稀であるという古来の思想に由来する。まあ、人生100年時代とも云われる昨今、音楽家としてはまだまだ活動すべき年齢ということになるのだろうか。それにしたって、グルーシンに至っては日本だったら数え年で卒寿祝いを済ませている年齢だ。コンポーザー、アレンジャー、キーボーディスト、コンダクター、プロデューサー、レコード会社の経営者として、八面六臂の活躍を見せていたころのヴァイタリティはさすがにない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　たとえば、グルーシンにとって音楽性においても人間性においても共通するものをもつ<ruby>莫逆<rt>ばくぎゃく</rt></ruby>の友、日本を代表するサクソフォニスト、<strong>渡辺貞夫</strong>の『<em>アンコール！</em>』(2017年)というライヴ盤をお聴きになったことがあるだろうか。このアルバムの音源は、2016年12月11日、渋谷オーチャードホールにおいて、1980年に行われた伝説の武道館公演の楽曲が36年ぶりに再演されたもの。その伝説のコンサートは『<em>渡辺貞夫ライヴ・アット武道館～ハウズ・エヴリシング</em>』(1980年)という、２枚組のレコードに真空パックされている(CDでは楽曲が一部編集されている)。ニューヨークの敏腕ミュージシャンたちに交じってフェンダー・ローズとヤマハ・エレクトリック・グランドを弾きわけ、<strong>東京フィルハーモニー交響楽団</strong>を指揮していたのは、だれあろう46歳のグルーシンだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そして36年ぶりのコンサートにおいて、<strong>デイヴ・グルーシン</strong>はゲストに迎えられた。御年82歳であった。ファンにとってはたいへん興味深くもあり単純に嬉しくもあるプロジェクトだったのだが、残念なことにグルーシンのキーボード・ワークに、往年のプレイに見られた聴くものの気持ちを高揚させるような躍動感は、終始現われることはなかった。しかもこのときは、グルーシンはアレンジを手がけておらず、36年まえに彼が書いたスコアをトロンボーン奏者の<strong>村田陽一</strong>がリアレンジしていた。迫力のあるビッグバンド・サウンドも悪くはないのだが、グルーシンの表現力に富んだオーケストラルなテクスチュアに比べると、いささかもの足りない。グルーシンを敬愛するぼくとしても、一抹の寂しさを覚えざるを得なかった。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5144 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarchriststatue.png" alt="アコースティック・ギターとコルコバードのキリスト像" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarchriststatue.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarchriststatue-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　かたやリトナーのほうは、さすがにアルバム・リリースのペースは全盛期に比べるとダウンしているが、ギターをプレイすることへの熱意はまだまだ衰えていないようだ。ギターを弾きはじめてから60周年を迎えた際、彼ははじめてのソロ・ギター・アルバム『<em>ドリームキャッチャー</em>』(2020年)を制作した。それまでバンド、アンサンブル、コラボレーションといったスタイルで演奏してきたリトナーにとって、それは新たなるチャレンジだった。50年以上にも及ぶ輝かしいキャリアにおいて、やり残した試みに彼は意欲を燃やし演奏に対する集中力を高めた。結果、うっとりするほど心地いいギターの音色とそれが紡ぎ出す美しい楽句に、ぼくもわれを忘れて聴き入ってしまったのだが、リトナーはそんな強烈な魅力をもった作品を創出したのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そのときのリトナーは68歳だったが、若いころから変わることのない彼の向上心というか成長意欲の高さには、ほんとうに感服させられる。実はこのアルバムを制作する２年ほどまえ、リトナーはカリフォルニア州のマリブにあった自宅兼スタジオを山火事(ウールジー・ファイア)で失っている。およそ100本のギター、40台にも及ぶアンプ、大量の譜面、すなわち彼の築いたキャリアの歴史が一瞬にして<ruby>灰燼<rt>かいじん</rt></ruby>に帰したのである。しかも火災の一週間後、リトナーはそれまで自覚症状のなかった大動脈弁疾患が判明したことから、すぐに手術を受けている。そんな不運にめげることなく、彼はおなじカリフォルニア州のマリナ・デル・レイに新居を構え、その簡易スタジオにおいて、たった７本のギター、そしてパソコンを頼りにアルバムを制作したのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところで、リトナーにとって新たな出発となった『<em>ドリームキャッチャー</em>』の収録曲のなかに「フォー・ディー・ジー」という洒落たハーモニー感覚が際立つナンバーがある。“ディー・ジー”とは“DG”、つまり<strong>デイヴ・グルーシン</strong>のイニシャルだ。リトナーはこの曲を、メロディをリハーモナイズしながら楽曲の魅力を最大限に引き出すという、グルーシンの特徴的なマナーをイメージして作曲したのだという。リトナーにとってグルーシンは、生涯のコラボレーター、そしてこころから打ち解け合える親友。今後もその絆が切れることはないだろう。前述のように近年、加齢による演奏能力の衰えを感じさせたり、そのせいか自ら第一線から退くような印象を与えるグルーシンだが、いまでもリトナーは彼をレコーディングに誘う。グルーシンもまた、それに応える。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　前述の<strong>渡辺貞夫</strong>のオーチャードホールでのライヴのおよそ２年前、グルーシンはリトナーのレコーディングに参加している。リトナーの初期の楽曲から新曲まで全曲自身のオリジナル・ナンバーでまとめられた、セルフ・カヴァー・アルバム『<em>ツイスト・オブ・リット</em>』(2015年)の吹き込みである。ここでは残念ながら、往年のリトナーの作品のようにグルーシンのソフィスティケーテッドなアレンジは聴くことができない。アレンジはリトナーとキーボーディストの<strong>ジョン・ビーズリー</strong>が担当している。それでもグルーシンは、プレイヤーとして13曲中７曲に参加している。全盛期の疾走感溢れるパフォーマンスはすっかり影を潜めたが、ピアノやフェンダー・ローズをはじめハモンド・オルガンやミニモーグ、それにクラヴィネットまで弾いている。それらのキーボード類が美味しいところで登場するのは、リトナーの粋な計らいだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">リトナー＆グルーシンの新作『ブラジル』は『ハーレクイン』の続編？</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　さて、長々と語ってしまったが、実は間もなく『<em>ブラジル</em>』(2024年)というリトナーとグルーシンのコラボレーション・アルバムがリリースされる。海外盤はCDとLPがキャンディド・レコードから５月31日に、国内CDはポニーキャニオンから６月19日に発売される。日本でも８月３日にLPレコードが発売されるので、オーディオファイルのかたはそちらもどうぞ──。もうおわかりいただけたと思うけれど、リトナーとグルーシンの近年の様子を思うままに述懐したのも、これがいかに奇跡的な出来事であるかを、お伝えしたかったからなのである。リーダーとしてはもちろんのこと、サイドマンとしても音楽作品からすっかり遠ざかり、たまに地味なドキュメンタリー映画の音楽に携わるくらいのグルーシンが、まさかニュー・アルバムを制作するとは、ぼくは夢にも思わなかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　このアルバムは、リトナーとグルーシンが共同でプロデュースをしたようだが、キッカケを作ったのはやはりリトナーのほうらしい。レコーディングはカリフォルニア州ロサンゼルスと、ブラジルのサンパウロで行われた。リズム・セクションに本場ブラジルのミュージシャンを起用するため、ふたりは遠路はるばる、およそ12時間のフライトを経て、現代においてブラジル音楽産業の中心となっている南半球最大のメガシティに乗り込んだのである。それだけブラジル音楽に寄せる、リトナーとグルーシンの想いは強い。今回のアルバムは、ふたりが注目するブラジリアン・ナンバーを、そのオリジネーターたちをそのままフィーチュアして、ニュー・アレンジで聴かせるという仕様。最高齢であるグルーシンのプレイはリラックスしたものになるだろうが、それでも楽しみである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　その内容にちょっとだけ触れると、 全９曲中４曲がポルトガル語で歌われるヴォーカル・ナンバーとなっている。シンガーを務めるのは、リトナー＆グルーシンとの結びつきが強い、MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)の代表的なシンガーソングライター、<strong>イヴァン・リンス</strong>、ギタリストとしても活躍するカリオカ、<strong>セルソ・フォンセカ</strong>、これまでニューヨークのジャズ・シーンで注目されてきた天才ギタリスト＆シンガー、<strong>シコ・ピニェイロ</strong>、そして、そのクリスタル・ヴォイスが話題となったサンパウロの新進女性ヴォーカリスト、<strong>タチアナ・パーハ</strong>の４人。さらにインストゥルメンタリストとしては、いまは亡き<strong>トゥーツ・シールマンス</strong>の後継者と目されるスイス出身のジャズ・ハーモニシスト、<strong>グレゴア・マレ</strong>が参加している。レコーディング・エンジニアは、リトナーとグルーシンの作品ではお馴染みの<strong>ドン・マレー</strong>だ。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5143 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianotuccano.png" alt="グランドピアノとブラジルを代表する鳥トゥッカーノ" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianotuccano.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianotuccano-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　個人的には今回のレパートリーのなかに、グルーシンのアルバム『<em>ジェントル・サウンド</em>』(1978年)に収録されていた、<strong>ミルトン・ナシメント</strong>の曲「カタヴェント」や、リトナーの『<em>キャプテンズ・ジャーニー</em>』(1978年)及びリトナー＆グルーシンの『<em>トゥー・ワールド</em>』(2000年)で演奏された、グルーシンのオリジナル曲「冬の歌」(別名「エチュード」)、さらにはリンスの『<em>イヴァン・リンス</em>』(1986年)でグルーシンがアレンジを手がけた「ヴィトリオーザ」といった懐かしいナンバーが織り交ぜられていることに、こころがくすぐられる。どんなニュー・アレンジ、どんなプレイがなされているのか、ぼくは少年のころのようについ想像をたくましくしてしまう。しかしこれ以上は、実際に音を聴くまえからあれこれ云うのはやめておこう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それはそうと、この件に関してひとつだけ引っかかることがある。国内盤の発売元であるポニーキャニオンの公式ページには、本作について「40年の時を経て、リトナー＆グルーシンが名作の続編を完成！」というコピーが見受けられる。実はぼくはこの云い表わしかたに、なにかすっきりしない感じがするのである。すなわちこの広告文は、本作をブラジリアン・フュージョン・アルバムの傑作としてあまねく知られる『<em>ハーレクイン</em>』(1985年)のシークエル的な作品と謳っているのだが、果たしてほんとうにそうなのだろうか？ブラジル音楽という共通根はもつものの、ブラジリアン・ナンバーではないグルーシンのオリジナル曲がグラミー編曲賞に輝いていることからも『<em>ハーレクイン</em>』が単なるブラジル音楽にちなんだ作品ではないことは明白だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そもそもデビュー当時のリトナーにとって、グルーシンはメンターのような存在だった。ショービズの世界に飛び込んだばかりのリトナーは、高い音楽性をもつグルーシンのワーク・パフォーマンスやキャリアを手本としたはず。グルーシンのほうもサウンド・クリエイトについて助言を与えたり指導したり、ときには音楽家としての成長や精神面においてもリトナーをサポートしたであろうことは、容易に想像することができる。なによりも、音がそう云っている！そんなリトナーとグルーシンの仲を取りもったのは、あの<strong>セルジオ・メンデス</strong>だったという。リトナーは<strong>セルジオ・メンデス＆ブラジル &#8217;77</strong>のサポーターとして、1973年の日本公演やアルバム『<em>ヴィンテージ &#8217;74</em>』(1974年)のレコーディングに参加。そして、セルメン・サウンドのスウィートなオーケストレーションを長年手がけていたのは、云うまでもなくグルーシンだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　グルーシンはその後ときを移さず、彼の映画音楽の代表作となった『<em>コンドル</em>』(1975年)やダイレクト・ディスク『<em>ディスカヴァード・アゲイン！</em>』(1976年)のレコーディングにおいて、リトナーを起用した。さらにグルーシンは、リトナーの記念すべき初リーダー作『<em>ファースト・コース</em>』(1976年)、それにつづく『<em>キャプテン・フィンガーズ</em>』(1977年)などにおいて、コンポーザー、アレンジャー、キーボーディストとして、18歳年下の若き有能なギタリストをバックアップすることにやぶさかではなかった。そんなふたりのマスター＆ディサイプルのような関係は、やがて友情を深めながら対等のものとなっていく。お互いに敬意をもって思いやり、かつストレスなく意見を交わしながら作り上げた、はじめてのコラボレーション・アルバム──『<em>ハーレクイン</em>』は、そんな作品だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #34485e;">(『<em>ブラジル</em>』については、下の記事をお読みいただければ幸いです)</span></p>
<div class="blogcard-type bct-related">

<a href="https://kimama-music.com/lee-ritenour-dave-grusin-brasil/" title="Lee Ritenour &amp; Dave Grusin / Brasil (2024年)" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img loading="lazy" decoding="async" width="160" height="90" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-160x90.jpg" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-160x90.jpg 160w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-120x68.jpg 120w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/guitarpiano-320x180.jpg 320w" sizes="(max-width: 160px) 100vw, 160px" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">Lee Ritenour & Dave Grusin / Brasil (2024年)</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">リー・リトナー＆デイヴ・グルーシンのブラジル音楽、延いては音の芸術に対する深い愛情が際立った『ブラジル』──ふたりのインスピレーションの源となった音楽や、サウンドをハイクオリティのものにするレコーディング・メンバーについて触れながら、その魅力を語る。</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://kimama-music.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">kimama-music.com</div></div></div></div></a>
</div>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">リトナー＆グルーシンによる目の覚めるような美しいサウンドスケープ</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　思い起こせば、当時のリトナーはオランダで活躍していた<strong>エリック・タッグ</strong>をフィーチュアリング・ヴォーカリストに迎え、AORにアプローチしたアルバム『<em>RIT</em>』(1981年)『<em>RIT/2</em>』(1982年)『<em>バンデッド・トゥゲザー</em>』(1984年)を立てつづけにリリースしていた。グルーシンのほうも32トラック・デジタル録音によるエレクトロニクス技術を駆使したアルバム『<em>ナイト・ラインズ</em>』(1984年)を制作。これまでになくヴォーカル・ナンバーがフィーチュアされており、彼のまえ向きな姿勢と強い意気込みが感じられる。実はそれにはワケがあって、この作品がリリースされる前年の1983年に、1978年以来アリスタ・レコード傘下にあったグルーシンの自己レーベル、GRPレコードが独立したのである。リトナーも1985年、エレクトラ・レコードとの契約が切れると、すぐにGRPへ移籍した。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　このころには、リトナーにしてもグルーシンにしても、アーティストとして十二分に成熟していたわけで、だれの庇護を受けずともハイレヴェルな音楽作品を創出することができるようになっていた。それどころか制約がなくなったことから、これまで以上に自分たちの本当に演りたかった音楽を具現化する好機が到来したのである。当然ふたりは張り切っただろうし、出来上がった作品も悪いはずがない。このときリトナーは、兼ねてからやりたかったことのひとつを叶えている。それは前述の『<em>ブラジル</em>』にも参加した、<strong>イヴァン・リンス</strong>との初共演だった。リトナーは『<em>リー・リトナー・イン・リオ</em>』(1979年)のレコーディングでブラジルに赴いた際、はじめてリンスの存在を知り、彼の熱烈なファンになったという。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　<strong>イヴァン・リンス</strong>がブラジル以外で注目されるようになったのは、1980年代に入ってから。いち早く彼の楽曲をリーダー作やプロデュース作品で採り上げたのは、<strong>クインシー・ジョーンズ</strong>だった。当時の彼が関わった作品では<strong>ロッド・テンパートン</strong>がソングライターとして世間の耳目を集めていたが、ぼくの関心は圧倒的にリンスに向いていた。それでも恥ずかしながら、ぼくは当初彼のことを新進の作曲家と思い込んでいた。ところがすぐあとに、ある音楽雑誌のなかでリトナーが自分の愛聴盤としてリンスの『<em>ノーヴォ・テンポ</em>』(1980年)を紹介したので、ぼくも彼がブラジルのシンガーソングライターであると認識するに至った。そして慌てて輸入盤を入手したぼくは、すっかりリンスに惚れ込んでしまった。特にその楽曲の特異なコード進行には、かなり衝撃を受けたもの。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5145 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/microphoneharlequin.png" alt="マイクロフォンと道化師" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/microphoneharlequin.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/microphoneharlequin-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　ときにリトナーとグルーシンは、その『<em>ノーヴォ・テンポ</em>』のトップを飾る「アルレキン・デスコニェッシード(名もなき道化役者)」前作『<em>ある夜</em>』(1979年)に収録されている「アンチス・キ・セージャ・タルヂ(今を生きよう)」さらに『<em>デポイス・ドス・テンポライス</em>』(1983年)のタイトル・ナンバー「デポイス・ドス・テンポライス(嵐のあとで)」といった３曲をチョイス。それぞれ「ハーレクイン」「ビフォア・イッツ・トゥー・レイト」「ビヨンド・ザ・ストーム」と英語のタイトルが付されたが、リンスは相棒の<strong>ヴィトル・マルチンス</strong>が書いたポルトガル語の歌詞をそのまま歌っている。原曲よりもセンシティヴなアレンジが施されたどの曲においても、リトナー&amp;グルーシンによるソフィスティケーテッドなオブリガートとリンスのアーシーなヴォーカル・パフォーマンスとのコントラストが絶妙に美しい。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　特に「ビヨンド・ザ・ストーム」では、リトナーとグルーシンのソロ・パートも然ることながら、なによりもエンディングのビスにおけるリンスを含めた３人の即興演奏が楽しい。両手のコンビネーションを活かしたピアノのバッキングは、グルーシンのお家芸だ。バックを務めるのは、ロサンゼルスの敏腕ミュージシャンたち。<strong>ジミー・ジョンソン</strong>(b)、<strong>カルロス・ヴェガ</strong>(ds)、<strong>パウリーニョ・ダ・コスタ</strong>(perc)、<strong>アレックス・アクーニャ</strong>(perc)が主体となるが、曲によってはベースとドラムスが、<strong>エイブラハム・ラボリエル</strong>(b)、<strong>ハーヴィー・メイソン</strong>(ds)に入れ替わる。ことにラテン・アメリカの多国籍グループ、<strong>カルデラ</strong>のメンバーだったヴェガによる、イージーゴーイングでダイナミックなドラミングが、トータル・サウンドに爽快感を与えている。彼は1998年４月７日、<strong>ジェームス・テイラー</strong>のツアー中に自ら命を絶った。その点、ここでのプレイは貴重と云える。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　リトナーとグルーシンは書き下ろしの新曲を２曲ずつもち寄った。リトナーの曲は、哀愁が漂うシンコペーションからパワフルな16ビートへ進行する「サン・ユーシドロ」と、ジャズとロックンロールが融合したようなポップ・ナンバー「グリッド・ロック」だ。どちらかといえばヘヴィヒッティングでフルブラストな曲を、アンプを通したアコースティック・ギターでプレイしているのが新鮮。このマナーはこれ以降、リトナーのトレードマークとなる。グルーシンの曲は、グラミー編曲賞に輝いた「アーリー A.M. アティテュード」と、リラックスした２分の３拍子「サイレント・メッセージ」となる。前者では、MIDI アコースティック・ピアノで演奏されるリハーモナイズされたメロディック・ラインが、独特のグルーヴを生んでいる。いかにも、グルーシンらしいリズム感覚だ。後者は、ペダルポイントやモジュレーションを効かせた、新世代のアコースティック・ジャズ。まごうことなき名曲である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　今回はレコーディングに不参加だったグルーシンの実弟、<strong>ドン・グルーシン</strong>の提供曲「キャッツ・オブ・リオ」は、８分の７拍子のサンバ。ボーダレスな様々なフレーバーが一体となっているところ、シンセサイザーやコンピュータが多用されているところが、いかにも彼の曲らしい。変拍子であろうと小気味よく疾走するグルーシンのアコースティック・ピアノが痛快だ。アルバムを締めくくる「ザ・バード」は、メイソンとキーボーディストの<strong>マイク・ラング</strong>との共作。トロピカルな香気を放つような明るく爽やかなナンバー。MIDIピアノとアコギの対話が実に楽しげ。ミュージシャン全員が悠然と音楽に興じている様子が浮かんでくる。ということで『<em>ハーレクイン</em>』では、確かにリンスのインパクトが強いけれど、なによりもリトナー＆グルーシンのコンビネーションが生み出す、目の覚めるような美しいサウンドスケープに感動を覚える。そんな名盤を、単なるブラジル音楽にちなんだ作品として片付けてはならない。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p class="wp-block-paragraph">最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
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		<title>Lee Ritenour &#038; His Gentle Thoughts / Gentle Thoughts (1977年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 30 Apr 2023 08:33:30 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Fusion]]></category>
		<category><![CDATA[Lee Ritenour]]></category>
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					<description><![CDATA[ジェントル・ソウツ──フュージョンの歴史、レコーディングの歴史にその名を残す 目次 ジェントル・ソウツ──フュージョンの歴史、レコーディングの歴史にその名を残すフュージョンが市民権を得るきっかけ伝説のダイレクト・ディスク [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">ジェントル・ソウツ──フュージョンの歴史、レコーディングの歴史にその名を残す</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">rec</span><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">ommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content"> <img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" />
<p class="wp-block-paragraph"><em>Album : Lee Ritenour &amp; His Gentle Thoughts / Gentle Thoughts (1977)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Gentle Thoughts</em></p>


</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-6" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-6">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">ジェントル・ソウツ──フュージョンの歴史、レコーディングの歴史にその名を残す</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">フュージョンが市民権を得るきっかけ</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">伝説のダイレクト・ディスク──それって、なに？</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">フュージョンの歴史に、いまも燦然と輝く</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">フュージョンが市民権を得るきっかけ</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　フュージョンと呼ばれる音楽の発生時期は、かりそめにも明瞭に断定することはできない。おそらく1960年代後半から1970年代初頭あたりだろう。しばしば、<strong>マイルス・デイヴィス</strong>の『<em>イン・ア・サイレント・ウェイ</em>』(1969年)や『<em>ビッチェズ・ブリュー</em>』(1970年)がルーツである──という謦咳に接することがあるが、ぼくにはどうも通り一遍の解釈に思えて仕方がない。たとえば、<strong>クリード・テイラー</strong>＋<strong>アントニオ・カルロス・ジョビン</strong>＋<strong>クラウス・オガーマン</strong>による名作『<em>イパネマの娘</em>』(原題は『<em>The Composer Of Desafinado, Plays</em>』──1963年)は、それらよりもまえに誕生しているし──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　その<strong>クリード・テイラー</strong>といえば、クロスオーヴァー・ブームに先鞭をつけたCTIレコードの創設者。A&amp;Mレコード傘下でCTIレーベルがスタートしたのは1967年。<strong>ウェス・モンゴメリー</strong>の『<em>ア・デイ・イン・ザ・ライフ</em>』(編曲/<strong>ドン・セベスキー</strong>)や、ジョビンの『<em>波</em>』(編曲/<strong>クラウス・オガーマン</strong>)がリリースされた年だ。クロスオーヴァーとは、もともと──ジャンルの枠を超えた音楽性を融合させる──という意味。そういうニュアンスを鑑みると、ぼくには、こちらのほうがフュージョンの源流のように思えてしまうのだが、みなさんはいかが思われるだろうか。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　いずれにせよ、フュージョンは、幅広い音楽性を抱えているがゆえに、様式的に曖昧なところが多いので、音楽のジャンルのひとつとして市民権を得るまでに、それなりに時間を要した。それに当時、仮にジャズという名の宗家が存在していたら、モード・ジャズやフリー・ジャズ、あるいはポスト・バップは本家、フュージョンは飽くまで分家と呼称されていたかもしれない。そんな扱いだった。いや、もっと無慈悲に、モダン・ジャズやロックは硬派な音楽、フュージョンは軟派──みたいな空気が、確かにあった。ぼくもまだ、ちょっと世間体をはばかるようにフュージョンを聴いていた。いまから考えると、思慮に欠けていた。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class=" wp-image-1254 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship-500x375.jpg" alt="レコードジャケットの青い空" width="400" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship-500x375.jpg 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship-800x600.jpg 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship-300x225.jpg 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship-768x576.jpg 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship-1536x1152.jpg 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/friendship.jpg 1600w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></p>
<p>　そんな状況下のわが国において、フュージョンの音楽的志向が広く理解されるようになり、ジャンルとしても一般的に根付くようになったのは、この作品がベストセラーを記録してからではないだろうか。そういう意味では、1977年にリリースされた『<em>ジェントル・ソウツ</em>』というアルバムは、歴史的名盤の名に相応しい。リーダーのギタリスト、<strong>リー・リトナー</strong>は、1973年に<strong>セルジオ・メンデス</strong>のサポーターとして、すでに来日を果たしていたし、リーダー作も『<em>ファースト・コース</em>』(1976年)『<em>キャプテン・フィンガーズ</em>』(1977年)──と、２枚ほど発表していたけれど、人気のほうはまだまだだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それもそのはず、リトナーがファースト・アルバムを吹き込んだのは、彼がまだ25歳になったばかりのとき。そういえば、まだあどけない顔をしていたな。それまでにフランスのシンガーソングライター、<strong>ミシェル・ポルナレフ</strong>のバック・ミュージシャンを務めたり、スタジオワークをそれなりに経験していたけれど、日本では無名に近かった。そんな彼が、一気にスターダムに駆け上がることになったのは、やはり『<em>ジェントル・ソウツ</em>』がきっかけ。そこでは、その若齢からは想像し難いくらい、卓越した高度なテクニックのギター・パフォーマンスが披露されていた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">伝説のダイレクト・ディスク──それって、なに？</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　しかも、このレコード、伝説の<span class="marker">ダイレクト・ディスク</span>なのだ！ネット世代のひとには馴染みのないコトバだと思うけれど、ひとことで云えば、<span class="marker">ダイレクト・カッティング</span>(正式名称は“<span class="marker">Direct-to-disc Recording</span>”)という手法で製作されたアナログ・ディスクのこと。ああ、それでもわからないよね。かいつまんで説明すると、その手法は、いままさに演奏されている音楽がマイクで拾われ、その信号が直接カッティング・マシンに入力され、ラッカー盤に溝が刻まれる──つまり、レコーディングしながら、同時に原盤(レコードを複製するためのスタンパー)も製造してしまうというもの。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　その利点といえば、通常のレコーディングのように、マスター音源をいったんテープに録音したり、それを編集したりしないということ。テープを使用しないのだから、当然それによるノイズなどもなくなるわけで、音質は格段によくなるのだ。そのぶん、ミュージシャンにはもちろん、レコーディング＆ミキシング・エンジニア、それにカッティング・エンジニアには、高度な技術が要求され、精神的負担までかかる。まだライヴ・レコーディングのほうが、差し替えや編集ができるぶん伸びやか。<span class="marker">ダイレクト・カッティング</span>は、少なくともレコードの片面はぶっ通しで録音。失敗は許されない。みな、冷や汗のかき通し──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そんなハラハラ、ドキドキの<span class="marker">ダイレクト・カッティング</span>の草分けは、カリフォルニアに拠点を構えるシェフィールド・ラボという<span class="marker">ダイレクト・ディスク</span>専門のレコード会社。コンポーザー、アレンジャー、そしてキーボーディストの<strong>リンカーン・マイヨーガ</strong>と、マスタリング・エンジニアの<strong>ダグラス・サックス</strong>によって設立された。当時、日本でも株式会社メースによって、日本語ライナーノーツが付属された直輸入盤が販売された。ただ輸入される枚数は非常に小量だったようで、ぼくもレコードを探し求めて、むかし秋葉原にあった石丸電気３号店(レコードセンター)まで、足を延ばしたもの(懐かしい)。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-1255" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-500x281.jpg" alt="レコーディングスタジオの風景" width="534" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-500x281.jpg 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-800x450.jpg 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-300x169.jpg 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-768x432.jpg 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-1536x864.jpg 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-120x68.jpg 120w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-160x90.jpg 160w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording-320x180.jpg 320w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/recording.jpg 1800w" sizes="(max-width: 534px) 100vw, 534px" /></p>
<p>　そのとき入手したレコードは、ぼくのもっとも敬愛する音楽家のひとり、<strong>デイヴ・グルーシン</strong>の４枚目のリーダー作『<em>ディスカヴァード・アゲイン！</em>』(1976年)。サントラ盤の『<em>コンドル</em>』(1975年)、５作目の『<em>ワン・オブ・ア・カインド</em>』(1978年)といった名作にはさまれてリリースされた作品だから、わるいはずがない。オーディオファイルを唸らせるであろう、高音質で再現される空気感や臨場感の素晴らしさも然ることながら、グルーシンの感性とその音楽の芸術性がまざまざと感じられる、晶瑩玲瓏とでも云いたくなるような美しさと輝きが、得も言われぬ感動を喚ぶ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　結局、シェフィールド・ラボの影響力は、日本のレコード会社にも多大な影響を与えた。たちどころに、様々なレコード・レーベルが、<span class="marker">ダイレクト・ディスク</span>の制作に乗り出したのだ。たとえば、<strong>ジョー・サンプル</strong>、<strong>レイ・ブラウン</strong>、<strong>シェリー・マン</strong>の『<em>ザ・スリー</em>』(1976年)や、<strong>ハービー・ハンコック</strong>の『<em>ダイレクトステップ</em>』(1979年)といった名盤は、日本サイドのプロデュース作品。昔から、日本人の音へのこだわりには、並々ならぬものがあるな。そういえば、近年のレコード・ブームから、<strong>山本剛トリオ</strong>による『<em>ミスティ・フォー・ダイレクト・カッティング</em>』(2021年)というアナログ盤がリリースされたのも、記憶に新しい。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そのなかでも、JVCが制作した『<em>ジェントル・ソウツ</em>』は、インパクトの強さ、レコーディング手法の有効性という点で、至高の一品と云える。本作のリーダーである<strong>リー・リトナー</strong>は、実は前述の『<em>ディスカヴァード・アゲイン！</em>』にも参加している。さらに、ほかにも『<em>シュガー・ローフ・エクスプレス</em>』(1977年)『<em>フレンドシップ</em>』(1978年)『<em>セッションⅡ</em>』(1979年)『<em>オン・ザ・ライン</em>』(1983年)といった、<span class="marker">ダイレクト・ディスク</span>を吹き込んでいる。彼は、まさしくダイレクトのオニだね。ちなみに『<em>セッションⅡ</em>』は、YAMAHAのデモンストレーション盤(非売品)。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">フュージョンの歴史に、いまも燦然と輝く</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　当時リトナーは、ジャズ・ピアニストの<strong>ドン・ランディ</strong>がロサンゼルスでオープンさせた、ベイクド・ポテトというクラブの常連で、毎週火曜日の夜にギグを行っていた。本作のレコーディング・メンバーは、そのときの気心の知れたミュージシャンたちが中心となっている。<strong>ハーヴィー・メイソン</strong>(ds)、<strong>スティーヴ・フォアマン</strong>(perc)、<strong>アンソニー・ジャクソン</strong>(b)、<strong>デイヴ・グルーシン</strong>(key on Side-A)、<strong>パトリース・ラッシェン</strong>(key on Side-B)、<strong>アーニー・ワッツ</strong>(sax, fl)、そして<strong>リー・リトナー</strong>(g)、さらにレコーディング・エンジニアは名手<strong>フィル・シアー</strong>と、いまではレジェンドばかりだが、当時は皆まだ若かった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そう、本作には若さゆえの輝きがある。失敗は許されないけれど、ミュージシャンたちはそれを恐れることなく、スリリングな演奏を繰り広げている。部分的には粗削りに聴こえるところもあるけれど、そんな些事に拘泥する余地などないほどに、フレッシュな魅力に溢れている。何度聴いても、やはり握った手がじっとり汗ばんでくるほど、ときに興奮させられたり、ときに緊張させられたり、とにかく楽しい時間を過ごさせてくれるのだ。なお、このときのレコーディング(1977年５月28日、29日)は、サイドA、サイドB、それぞれ数テイクずつ行われており、それが振り分けられて２種類のレコードとして発売された。２枚目は便宜上“TAKE-２”となっているが、実際の吹き込み順を示唆すものではない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　初回盤もTAKE-２も、収録曲、曲順は同一。当然のことながら、演奏はかなり違う(ドラムスとパーカッションはかなりフリーなのね)。ただ、２枚を聴き比べることによって、それぞれの楽曲が、マスターリズム譜がどの程度書かれていたのか、それがいかばかりのヘッドアレンジだったのか、類推するような──そういう楽しみかたもできる。演奏に優劣の差はそれほどないので、あとは好みかな。ぼくの場合、サイドAはTAKE-2、サイドBは初回盤のほうが好き。それらの音源は、<span class="marker">ダイレクト・カッティング</span>と同時に、２トラック・アナログ・テープに記録されていたので、そのテープから20bit K２マスタリングによるCD化が実現した。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-1256" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/gentlethoughts-500x353.jpg" alt="レコードジャケットの平安時代の女性" width="425" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/gentlethoughts-500x353.jpg 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/gentlethoughts-800x565.jpg 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/gentlethoughts-300x212.jpg 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/gentlethoughts-768x543.jpg 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/gentlethoughts.jpg 842w" sizes="(max-width: 425px) 100vw, 425px" /></p>
<p>　最後に収録曲について簡単にメモしておく。フュージョンにスタンダードというものがあるとすれば、この曲がそれ。グルーシンの曲「キャプテン・カリブ」──オリジナルは<strong>アール・クル</strong>ーの『<em>リヴィング・インサイド・ユア・ラヴ</em>』(1976年)に収録。グルーシンも『<em>マウンテン・ダンス</em>』(1980年)でセルフカヴァーしている。ピアノの両手のコンビネーションによるバッキング、ギターのファンキーなソロ、テナーのジャジーなブロウと、初っ端から熱く展開。その後、パーカッションによる間奏が入る(初回盤ではドラム・ソロ)。つづいて「ゲッタウェイ」──<strong>アース・ウィンド・アンド・ファイア</strong>の『<em>魂</em>』(1976年)からのカヴァー。やはりギターとテナーが豪快に歌いまくる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　グルーシンの曲「シャンソン」──もともと<strong>アート・ファーマー</strong>の『<em>クロール・スペース</em>』(1977年)に収録。グルーシンらしいヒューメインなナンバー。フルートとローズが美しくも軽快なフレーズを紡いでいく。メイソンの曲「瞑想」──原題は「リキッド」といい、本人の『<em>ファンク・イン・ア・メイソン・ジャー</em>』(1977年)に収録。もの柔らかなメロディ・ライン、情熱的なメインモチーフも然ることながら、後半のビスにおけるソリのなかで、ベースのフリーフォームのプレイがひと際クール。──ここまでがサイドA。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　つづいてサイドB──。リトナーの曲「キャプテン・フィンガーズ」は前述の同名のアルバムに収録──テンポ、テンション、スリル、どれもグレードアップしている。「愛のためいき」──<strong>ロバータ・フラック</strong>の1975年にリリースされた同名アルバムからのカヴァー。というか、どちらかというと、同じメンバーで吹き込まれた、<strong>ボブ・ジェームス</strong>の『<em>はげ山の一夜</em>』(1974年)に収録されているヴァージョンで広く知られているかな。レイドバックなムードのなかに、ピアノとテナーが沁み込むようなソロを綴る。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そして「ジェントル・ソウツ」──<strong>ハービー・ハンコック</strong>の『<em>シークレッツ</em>』(1976年)からのカヴァー。原曲よりテンポが落ちているが、そのぶん重厚感が出来。ラッシェンのローズがハンコックのそれを彷彿させるのが面白い。メイソンのドラムスに牽引されて、バンドは一体となり、心地いいグルーヴは最高潮に達する。この曲の出来栄えの素晴らしさから、バンド名がジェントル・ソウツとなった。その名は、フュージョンの歴史に、いまも燦然と輝く。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p class="wp-block-paragraph">最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
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