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	<title>Sonny Clark | 気ままに音楽生活</title>
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	<description>いささか気ままに──ではありますが　素敵な音楽をご紹介してまいりますので　どうぞよろしくお願いいたします</description>
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	<title>Sonny Clark | 気ままに音楽生活</title>
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	<item>
		<title>Sonny Clark Trio / Sonny Clark Trio (1960年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 16 Nov 2025 09:01:50 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Jazz]]></category>
		<category><![CDATA[Sonny Clark]]></category>
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					<description><![CDATA[ソニー・クラークが不調を一時的に克服して見せた信じがたいほどハイテンションなパフォーマンスに溜飲が下がるタイム盤『ソニー・クラーク・トリオ』]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">ソニー・クラークが不調を一時的に克服して見せた信じがたいほどハイテンションなパフォーマンスに溜飲が下がるタイム盤『ソニー・クラーク・トリオ』</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p><img decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Sonny Clark Trio / Sonny Clark Trio (1960)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Sonia</em></p>
</div>
</div>

  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-2" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-2">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">ソニー・クラークが不調を一時的に克服して見せた信じがたいほどハイテンションなパフォーマンスに溜飲が下がるタイム盤『ソニー・クラーク・トリオ』</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">正式にリリースされたピアノ・トリオ作品はたったの２枚しかない</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">こころが和むウェストコースト時代のクラークによる鷹揚なプレイ</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">クラークが気焔万丈となるのはおなじトリオ作でもタイム盤のほう</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">正式にリリースされたピアノ・トリオ作品はたったの２枚しかない</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　もっともよく聴いたという点で、ぼくにとって最上位のジャズ・ピアニストといえば、<strong>ソニー・クラーク</strong>にほかならない。いちばん好きなピアニストというわけではないけれど、いまも昔もぼくは彼のレコードをよく聴く。彼のアルバムでもっともよく聴いたのは、ブルーノート・レコードからリリースされた『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』(1958年)であることは、まず間違いない。ついでに云っておくと、色違いのジャケットの『<em>ソニー・クラーク・トリオ Vo. 2</em>』(1985年)『<em>ソニー・クラーク・トリオ Vo. 3</em>』(1985年)というレコードがあるのだが、この２枚はもともとシングル盤用に録音された演奏を中心に、別テイクや未収録曲がまとめられたもので、日本の東芝EMI(現EMIミュージック・ジャパン)によって発売された。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　クラークのピアノ・トリオ作品というと、正式にリリースされたアルバムは実はたったの２枚しかない。ザナドゥ・レコードから発売されたアルバムで、ベーシストの<strong>シモン・ブレーム</strong>、ドラマーの<strong>ボビー・ホワイト</strong>をサイドメンに迎えたトリオでの演奏を聴くことができる『<em>メモリアル・アルバム</em>』(1976年)というレコードがあるけれど、これをクラークのトリオ作に数えるのはちょっと辛い。このアルバム、さもすべての音源がトリオの演奏を収めたものであるかのように、ジャケットにブレームとホワイトの名前が堂々と表記されている。しかし実際は、トリオでの演奏は７曲中２曲のみで、残りの５曲はクラークのソロ・ピアノによるものだ。しかもそのパフォーマンスは、余興の域を出ていない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そもそもこの音源は、クラリネット奏者の<strong>バディ・デフランコ</strong>のバンドでヨーロッパ・ツアーの真っ最中だったクラークが、ノルウェー、オスロのとあるクラブで開かれたパーティに招かれた際、それこそ座興で披露した演奏が録音されたものなのだ。つまりそれはレコーディングを前提としたパフォーマンスではないわけで、彼に必要以上の気合が入っていないのも当然のこと。ただ観かたを変えれば、1954年１月15日に録音されたこのライヴ演奏は、クラークの最初期のものであると同時に、ある意味で胡散臭いほどチルアウトしたものでもある。そういった意味では貴重な記録と云えるのかもしれないが、いっとき入手困難なレコードともてはやされた本盤を、実のところぼくは決して血眼になって探すような類いのものではないと思っている。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter wp-image-8301 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny1.png" alt="グランドピアノに重なる鍵盤の模様(緑系)" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny1.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny1-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　ということで繰り返しになるが、クラーク自身のあずかり知らぬところで制作されたアルバムを除くと、彼のピアノ・トリオ作品はやはり２枚しかないのである。ブルーノート・レコードに、<strong>アート・ファーマー</strong>(tp)、<strong>カーティス・フラー</strong>(tb)、<strong>ハンク・モブレー</strong>(ts)、<strong>ウィルバー・ウェア</strong>(b)、<strong>ルイス・ヘイズ</strong>(ds)といった、当時のブルーノート・オールスターズとも云うべき豪華なメンバーとともに初リーダー作『<em>ダイアル・S・フォー・ソニー</em>』(1957年)を吹き込んで以来、同レーベルのハウス・ピアニストとして幾多のセッションに参加したクラークだけに、トリオ作が２枚とは極めて少ないと思われる。まあ彼のプロの音楽家としての活動期間はおよそ12年だから、それもまた致しかたないか──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　クラークは周知のとおり、1963年１月13日、薬物の過剰摂取により31歳という若さでこの世を去った。そもそも生前にリリースされたリーダー作は実のところ６枚しかないわけで、その３分の１を占めるトリオ作は、ハード・バップを象徴するピアニストのディスコグラフィとして考えると、むしろ割合が大きいと云えるのかもしれない。なお『<em>ダイアル・S・フォー・ソニー</em>』の吹き込みは、1957年７月21日にニュージャージー州ハッケンサックにおいて行われた。云うまでもなく、レコーディング・エンジニアを務めたのは<strong>ルディ・ヴァン・ゲルダー</strong>だが、録音当日は奇しくもクラークの26歳の誕生日だった。自分の誕生日に初リーダー作を吹き込むというのは、どんな気持ちになるのだろうか──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　しかもこのレコーディング、<strong>ハンク・モブレー</strong>のリーダー作『<em>ハンク・モブレー</em>』(1957年)において、クラークがブルーノート作品に初登場してから１か月余りあとの出来事。この異例の早さから、プロデューサーである<strong>アルフレッド・ライオン</strong>が、クラークに対して大きな期待を抱いていたことがわかる。くだんのモブレーのアルバムでは、彼のリーダー作のなかでは比較的地味なメンバーによるセッションとなっているが、クラークは<strong>ポール・チェンバース</strong>(b)、<strong>アート・テイラー</strong>(ds)らとともに、素晴らしいコンピングを披露。アドリブ・パートにおいても、自然体で臨んでいる。1951年から西海岸を拠点に構え演奏活動をつづけてきた彼は、このときニューヨークに移ってからまだ２か月余りだったが、なかなかどうして堂々としたものである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ときに、さきに挙げたブルーノート盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』と並ぶクラークの正式なトリオ盤とうと、彼のファンならご承知のことだろうが、タイム・レコードからリリースされた『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』(1960年)である。ブルーノート盤とタイム盤とは同名のタイトルが掲げられているが、むろんまったくの別モノだ。タイムはエマーシー・レコードを立ち上げたことで知られる音楽プロデューサー、<strong>ボブ・シャッド</strong>によって1959年に設立された。そのカタログにはジャズ作品のほかにカクテル・ポップ系のアルバムやシングル盤も多数含んでおり、1960年代の半ばごろまで西海岸の人気レーベルとして存在感を示していた。ことにジャズ作品はわが国でも、何度となくリイシューされるほど高い人気を得ている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　このレーベルにおいてクラークは、自己のリーダー作をリリースするほか、トロンボニストの<strong>ベニー・グリーン</strong>のアルバム『<em>ベニー・グリーン</em>』(1960年)のレコーディングにも参加している。このアルバムでは「クール・ストラッティン」「ソニーズ・クリブ」「ブルー・マイナー」といった、クラークのオリジナル・ナンバーのなかでも特に人気の高い３曲を聴くことができる。ちなみに、アメリカのオリジナル盤のジャケットには「クール・ストラッティン」を「イッツ・タイム」「ソニーズ・クリブ」を「ソニーズ・クリップ」「ブルー・マイナー」を「クール・ストラッティン」というふうに、誤った表記がなされている。それに反して日本盤では、当初からこの誤記が修正されており、あらためてクラークのわが国での人気を窺い知ることができる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">こころが和むウェストコースト時代のクラークによる鷹揚なプレイ</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　このセッションのメンバーを列記すると、<strong>ベニー・グリーン</strong>(tb)、<strong>ジミー・フォレスト</strong>(ts)、<strong>ソニー・クラーク</strong>(p)、<strong>ジョージ・タッカー</strong>(b)、<strong>アルフレッド・ドリアース</strong>(ds)となるが、ちょうどドラムスをドリアースから<strong>ポール・ガスマン</strong>に入れ替えたメンバーで吹き込まれたグリーンのリーダー作で、ニューヨークの超マイナー・レーベル、エンリカからリリースされた『<em>スウィング・ザ・ブルース</em>』(1960年)というレコードがある。このアルバムのレコーディングは1959年の１月に行われたのだが、タイム盤の『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』は1960年３月、そして『<em>ベニー・グリーン</em>』は1960年９月の吹き込みとなっている。これらの３枚をあわせて楽しむと、1959年から1960年までのクラークの変遷を確認することができるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　思えばクラークはブルーノートからデビューして以来、ビバップ・スタイルを承継しながらファンキーな味わいを感じさせるプレイで、数多くのハード・バップ作品を盛り上げてきた。にもかかわらず彼は、キャバレー・カードの支給を受けることができなかった。このカードは、1940年から1967年までニューヨークのナイト・クラブで働くために必要とされた許可証。クラークにカードが与えられなかったのは、彼が薬物の常習者だったからだ。ビバップの父と謳われた<strong>チャーリー・パーカー</strong>、アルト奏者の<strong>ジャッキー・マクリーン</strong>、ピアニストの<strong>セロニアス・モンク</strong>、シンガーでは<strong>ビリー・ホリデイ</strong>や<strong>フランク・シナトラ</strong>なども、おなじ理由からカードを取得することができなかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　すでに薬物依存症だったクラークは、いつの間にかスタジオ・レコーディングに参加することができなくなるほど、意志や行動を自分でコントロールすることができなくなっていた。彼がそんな状況をなんとかやり過ごしながら奇跡的にプレイしていたのが、ちょうど1960年前後のことである。実はクラークの安定期は、わが国のジャズ喫茶を賑わせ、日本からの注文が殺到したことから<strong>アルフレッド・ライオン</strong>を驚かせ、結局のところニューヨーク・タイムス紙をして不朽のハード・バップ・クラシックと云わしめた『<em>クール・ストラッティン</em>』(1958年)のリリース、あるいはブルーノート作品の研究におけるオーソリティ、<strong>マイケル・カスクーナ</strong>によって発掘された『<em>マイ・コンセプション</em>』(1979年)のレコーディング(1959年３月)あたりまでだった。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-8302 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny2.png" alt="グランドピアノに重なる鍵盤の模様(紫系)" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny2.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny2-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　クラークがブルーノートに復帰するのは、1961年10月26日に吹き込まれた<strong>ジャッキー・マクリーン</strong>のリーダー作『<em>ア・フィックル・ソーナンス</em>』(1962年)。リーダー作については1961年11月13日に録音された『<em>リーピン・アンド・ローピン</em>』(1962年)まで待たなければならなかった。このアルバムを聴いた限りでは、クラークが完全復活を遂げたようにしか思えない。それくらいそのプレイは、ファンキーでダイナミックに響く。その後、クラークは1962年にもブルーノートのいくつかのセッションに参加したが心臓病で入院、1963年１月に一時的に退院するも、前述のように薬物の過剰摂取で心臓発作を起こし帰らぬひととなった。結局『<em>リーピン・アンド・ローピン</em>』が、彼の存命中に発表された最後のリーダー作となった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　クラークは1931年７月21日、アメリカ、ペンシルヴェニア州のハーミニーという小さな町に生まれた。彼は生まれてから２週間後に鉱山労働者の父親を亡くしている。ピアノを弾きはじめたのは４歳のときで、超絶技巧のブギウギ・ピアニスト、<strong>ピート・ジョンソン</strong>から強く影響を受けたという。６歳のときにはラジオにも出演し、12歳のときにピッツバーグに移住。ハイスクール時代には地元のバンドで、ピアノのほかにヴィブラフォンも演奏した。クラークは正式な音楽教育を受けておらず、実戦でジャズ・ピアノのテクニックを身につけた。後世に残る数々の名演において、息つく間もなく繰り出されるブルージーでメロディアスなインプロヴィゼーションや、屈託なく放たれるファンキーなフィーリングは、彼が感覚的に習得したものなのだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　1951年、クラークは母親が亡くなったことを機に、カリフォルニア州ロサンゼルス群パサデナ市に移住する。プロのミュージシャンとして活動を開始した彼は、トランペッターの<strong>アート・ファーマー</strong>、テナー奏者の<strong>デクスター・ゴードン</strong>、おなじくテナー奏者の<strong>ワーデル・グレイ</strong>らと共演。さらにクラークは1953年から、サンフランシスコ市に移りベーシストの<strong>オスカー・ペティフォード</strong>とトリオを組んでプレイするようになるが、年末には<strong>バディ・デフランコ・クァルテット</strong>のピアニストとして、<strong>ケニー・ドリュー</strong>の後釜に座る。彼はデフランコのグループに1956年まで在籍したが、前述したザナドゥ盤『<em>メモリアル・アルバム</em>』の音源はその時代の記録。評論家の<strong>レナード・フェザー</strong>が企画した「ジャズ・クラブ USA」と題されたヨーロッパ・ツアーに参加したときのものだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　なお<strong>バディ・デフランコ・クァルテット</strong>のヨーロッパ・ツアーの模様は、<strong>ビリー・ホリデイ</strong>のライヴ音源とともに『<em>ライヴ・イン・ケルン 1954</em>』(2014年)というCDに収録されているので、興味のあるかたは手にとってみてはいかがだろう。その後クラークは、ふたたびロサンゼルスに戻り一時的ではあるが、ベーシストの<strong>ハワード・ラムゼイ</strong>が率いる<strong>ライトハウス・オールスターズ</strong>のメンバーとなる。このアンサンブルはその名のとおり、ライトハウス・カフェのハウス・バンド。ライトハウスはカリフォルニア州ハーモサ・ビーチ、ピア・アヴェニューの老舗ナイトクラブだ。クラークは過去にこのクラブの慣例となっていたジャム・セッションにおいて、偶然にもアルト奏者の<strong>アート・ペッパー</strong>と共演することがあった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　偶然というのは、当初その晩のピアニストを務めるのは<strong>ハンプトン・ホーズ</strong>だったのだが、彼がよんどころない事情で来られなくなったため、急遽クラークがステージに上がったから。1953年３月30日のことだが、このときまったくの無名だったクラークは、その力強く溌剌としたプレイでバンド・メンバーとオーディエンスのハートをつかんだ。ペッパーのほうもその夜は絶好調で、全11曲のうちピアノ・トリオで演奏された「テンダリー」以外は、切れ目なくノリに乗ってプレイしつづけた。このときの模様は、なにかと有名なジャズ・マニア、<strong>ボブ・アンドリュース</strong>によって録音され、その音源は1974年に彼のプライヴェート・レーベルから『<em>ストレイト・アヘッド・ジャズ</em>』というタイトルで、２枚に分けてこっそりリリースされた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところがどっこいこのアルバムは、<strong>妙中俊哉</strong>が主宰するインタープレイ・レコードから２枚組CDの『<em>アート・ペッパー・ウィズ・ソニー・クラーク・トリオ</em>』(1987年)として正式に発売されて以来、様々な仕様で何度となくリイシューされてきた。音質はお世辞にも良好とは云えないけれど、演奏の妙味から不思議とその点に煩わされることはなく、本作は長いあいだぼくの愛聴盤となっている。しかも好きが高じて、ぼくはすでにインタープレイ盤を所持していたが、1992年に日本のジャズ専門のディストリビューター、NORMAによってニュー・マスタリングが施され、オリジナルに準じて２枚のアナログ・レコードとして発売されたヴァンテージ盤のほうも購入してしまった。それだけクラークの瑞々しいタッチと、伸びやかなフィーリングが魅力的なのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">クラークが気焔万丈となるのはおなじトリオ作でもタイム盤のほう</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　クラークにはアフリカ系アメリカ人特有の感性で、シャープかつエレガントなハーモニーを響かせながら、流れるようにキャッチーなフレーズを連綿と繰り出していくようなイメージがある。そういうクールネスからクラークといえば、1957年以降のブルーノート作品に人気が集中する。しかしながら、西海岸ならではのリラックスしたアンサンブルと抑制の効いたエクスパンションに身を委ねながら、鷹揚なプレイを展開する彼もまたぼくは好きだ。メロディアスでセンシティヴな楽句を繰り出すペッパーとの相性もいい。なおこのときのセッションでは、ベーシストを<strong>ハリー・ババシン</strong>、ドラムスを<strong>ボビー・ホワイト</strong>が務めている。Vol. 2で聴かれるチェロはババシン(ベースは<strong>ハワード・ラムゼイ</strong>が代行)、コンガはクラブのオーナー、<strong>ジョン・レヴィーン</strong>によるものだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ということで、クラークのウェストコースト時代の鷹揚なプレイにこころが和む『<em>アート・ペッパー・ウィズ・ソニー・クラーク・トリオ</em>』彼の絶頂期とも云える機知に富んだ叙情味さえ溢れる安定したエクスプレッションに、爽快な気分にさせられるブルーノート盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』そして、薬物依存から精神と身体にきたした不調を一時的に克服した彼が見せる、信じがたいほどハイテンションなパフォーマンスに溜飲が下がるタイム盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』を、聴き比べてみるのもまた一興である。それは、長年クラークのレコードを聴きつづけてきたぼくにとって、いまではちょっとした楽しみになっているほど。それぞれのピアノのタッチは違ったもののように聴こえるけれど、やはりクラークはクラークで、とにかくイケているのだな──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ぼくは冒頭で、彼のアルバムでもっともよく聴いたのはブルーノート盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』と云ったけれど、それには個人的な理由がある。実はぼくは、中学生のころからジャズ・ピアノを自分でも弾いてみたいと思い、教則本を手に入れて練習しはじめた。もともとクラシック・ピアノの個人レッスンを受けていたし、小学校高学年のころにはそれと並行してポピュラー・ピアノも弾いていた。だからコードやスケールについての知識はそれなりに身につけていた。ところがジャズを演奏するための体系的な手順や方法を理解した上でいざ実演に臨むと、ぼくの演奏は意気消沈するほどまったくジャズっぽくないのだ。これではいけないと考えひらめいたのが、ホンモノの演奏を真似することだった。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-8303 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny3.png" alt="グランドピアノに重なる鍵盤の模様(青系)" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny3.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/11/Sonny3-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　そこでぼくが真っ先に手にとったレコードが、ブルーノート盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』だった。正直なところクラークのピアノのテクニックには、当時の自分が知るほかのピアニストのそれと比較したとき、格別なスゴさは見受けられなかった。しかしながら、その淀みなく連なる簡潔なフレーズとそれが醸し出すブルージーでどこか凛とした雰囲気とに、彼のセンスのよさが感じられた。平たく云えば入門者のぼくには、クラークのプレイがとてもカッコよく思えたのである。耳をそばだてて彼が奏でる音に意識を集中させると、即興演奏のなかにおなじような楽句が何度も出来することに気づかされる。そのなかから気に入ったフレーズを楽譜に転記し、あとはそれを弾けるようにひたすら練習するのみ。これが意外と楽しいのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　さらに云うと、ぼくはマスターしたクラークの楽節をいくつもストックしておいて、いざ実戦に臨んだときそれを引用していた。そんな自分の演奏について音楽仲間に「いまのちょっと<strong>ソニー・クラーク</strong>っぽくない？」などとツッコまれたときのぼくといえば「そうかな？」としらばっくれていたもの。いずれにしても、ぼくがジャズ・ピアノのお手本にしたというか、ずいぶんコピーさせてもらったのは、クラークのレコードだった。その最たるものといえば、間違いなくブルーノート盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』だ。ちなみに、このアルバムでぼくがいちばん好きな演奏は、<strong>リチャード・ロジャース</strong>と<strong>ロレンツ・ハート</strong>による「時さえ忘れて」であり、ふんだんに盗ませていただいたのは<strong>ディジー・ガレスピー</strong>の「トゥー・ベース・ヒット」である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　さて、このブルーノート盤については以前このブログでも採り上げたことがあるので、今回は最後にタイム盤『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』のほうに対するぼく思いの丈を述べておこう。ブルーノート盤のほうが全曲スタンダード・ナンバーで構成されているのに対し、タイム盤のほうはすべてクラークのオリジナル・ナンバーでまとめられている。どちらも稀なケースと云えるが、クラークによるトリオ演奏のふたつの異なる味わいを楽しむことができるのは、実にありがたい。前者の<strong>ポール・チェンバース</strong>(b)、<strong>フィリー・ジョー・ジョーンズ</strong>(ds)に対する、後者の<strong>ジョージ・デュヴィヴィエ</strong>(b)、<strong>マックス・ローチ</strong>(ds)というサイドメンの違いもまた妙趣を生んでいる。ぼくは両盤ともに好きだけれど、前述のようにクラークが気焔万丈となるのは後者である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　収録曲のうち「マイナー・ミーティング」と「ニカ」(「ロイヤル・フラッシュ」と同名曲)は、米国ブルーノートでは未発売だったがのちに東芝EMIによって発掘された『<em>ソニー・クラーク・クインテット</em>』(1976年)や、前述の『<em>マイ・コンセプション</em>』でも採り上げられた曲。また「ブルース・ブルー」「ジャンカ」「マイ・コンセプション」「ソニア」は『<em>マイ・コンセプション</em>』でもプレイされている。聴き比べするのも一興かと──。なお「ソニーズ・クリップ」は、セカンド・アルバム『<em>ソニーズ・クリブ</em>』(1958年)の表題曲とは別の曲である。オープニングを飾る「マイナー・ミーティング」では、アップテンポに乗ってクラークがクールなフレーズを矢継ぎ早に繰り出す。粋のいいローチとの４バースもいい塩梅だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　つづく「ニカ」では、軽い足どりのリズムに誘われて、クラークが気持ちよさげにスウィングしまくる。次第に俊敏な指遣いでファンキーなフィーリングを醸成していくところが、なんとも心地いい。デュヴィヴィエのソロもソツなくスマートだ。ややテンポを上げた「ソニーズ・クリップ」は、クラークのキャッチーな楽句が満載で、その機敏な歌わせかたもお見事。ローチとのソロ交換も溌剌としている。ラテンから４ビートに移行する「ブルース・マンボ」では、ローチの推進力のあるドラミングと、それに感化されたかのように饒舌になるクラークの当意即妙のプレイが痛快だ。B面最初の「ブルース・ブルー」は、オーソドックスな12小節のブルースだが、クラークとデュヴィヴィエとのエスプリの効いたダイアローグに、こころがくすぐられる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　快活で洗練された「ジャンカ」では、ピアノ、ベース、ブラシがアンサンブルにしてもソロ交換にしても、とにかく軽妙洒脱。モダン・ジャズならではのウマ味のある１曲だ。つづく「マイ・コンセプション」では、唯一クラークの素朴で淡麗なソロ・ピアノが披露される。機知と叙情味に富んだバラード・プレイに、こころが和む。ラストを飾る「ソニア」では、クラークが軽快なテンポに乗ってビバップ然としたフロウを間断なく展開する。すごく歌っている。しかもそれには、<strong>バド・パウエル</strong>の気迫とは対照的な整合性が際立つ。そしてその集中力たるや、とても薬物依存症のピアニストのものとは思えない。快調なピアノ演奏とトリオによるソロ交換とが相まって、爽やかな余韻を残す。やはりクラークのピアノは、カッコいい。何度も聴きたくなる。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p>最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
</div>
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		<title>Sonny Clark / Sonny Clark Trio (1958年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 20 Jan 2023 11:20:14 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Jazz]]></category>
		<category><![CDATA[Sonny Clark]]></category>
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					<description><![CDATA[短い生涯をハード・バップで一気に走り抜いた人気ピアニスト 目次 短い生涯をハード・バップで一気に走り抜いた人気ピアニスト凛とした雰囲気をもつカッコイイ演奏本国では評価されなかったが日本では愛される存在に……いまも愛されつ [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">短い生涯をハード・バップで一気に走り抜いた人気ピアニスト</span></h2>

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<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">rec</span><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">ommendation</span></div>
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<p><em>Album : Sonny Clark / Sonny Clark Trio (1958)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : I Didn&#8217;t Know What Time It Was</em></p>


</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-4" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-4">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">短い生涯をハード・バップで一気に走り抜いた人気ピアニスト</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">凛とした雰囲気をもつカッコイイ演奏</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">本国では評価されなかったが日本では愛される存在に……</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">いまも愛されつづける永遠のハード・バッパー</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">凛とした雰囲気をもつカッコイイ演奏</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　<strong>ソニー・クラーク</strong>は、ぼくがいっとき集中的に聴いていたピアニストのひとり。あれは、自分でもジャズを弾いてみようかな──なんて思いはじめた時期だから、たしか高校に入学したころのことだな──。ほかのピアニストにくらべて演奏のテクニックに格別スゴさは感じなかったのだけれど、ブルージーでどこか凛とした雰囲気のある、彼のセンスのいい演奏にこころ惹かれたもの。ひらたく云えば、ぼくにとってソニーはとてもカッコイイひとだったわけ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　この「カッコイイ」ということは、ジャズを演るうえで非常に大切なことなのだ！──当時のぼくは、ソニーのレコードを聴きながら、そんな目から鱗が落ちる思いだった。たとえば、マラソンだったらいちばん先にゴールのテープを切ったひとが、めでたく一等賞だけれど、ジャズという音楽の場合、途中で転倒してもその転びかたがカッコよければ、こちらが覇者になったりするんだよね。そんなニュアンスで、彼のプレイはすごくクールだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　これまたぼくの経験したことで恐縮なのだが、ジャズ・ピアノをはじめたとき、いくら教則本のとおりに練習してもいっこうに上手くならなかった。コードやスケールのこと、基本的な演奏テクニックのことをアタマでは理解しているのだけれど、いざ演奏してみようと思うとぜんぜんホンモノのように弾けないわけ。ハノンのジャズ版みたいなものにもチャレンジしてみたけれど、ただただ退屈なだけに終わって、がっかりさせられたもの──。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1176 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist1-500x451.png" alt="" width="333" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist1-500x451.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist1-300x270.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist1-768x692.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist1-800x721.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist1.png 1041w" sizes="(max-width: 333px) 100vw, 333px" /></p>
<p>　これではらちが明かないと、プロのジャズ・ミュージシャンたちはどういうふうに演奏しているのか(どのようにアドリブしているのか)、手持ちのレコードをかけて、耳をそばだてて音に意識を集中させてみた──。すると、即興演奏のなかにおなじような楽句が何度も出来することに気がついたのだ。これだ！──と、ぼくは気に入ったフレーズを楽譜に転記するようになった。そして、そのとおりに弾けるようにひたすら練習しまくる──しかも、これは案外楽しい。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　結果的にマスターした楽節をたくさんストックしておいて、いざ実戦に臨んだとき、(様々な曲で)それを引用するというわけ。この方法はけっこう上手くいったので、ぼくとおなじ悩みを抱えているかたは、ぜひお試しあれ──。そしてそんなふうに、ぼくがずいぶんコピーさせてもらったのが、実はソニーのレコードだった。自分の演奏が音楽仲間に「いまのちょっと<strong>ソニー・クラーク</strong>っぽくない？」なんて云われたときは、ぼくは「そうかな？」と、とぼけていたのだけれど──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">本国では評価されなかったが日本では愛される存在に……</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところで、<strong>ソニー・クラーク</strong>といえば『<em>クール・ストラッティン</em>』(1958年)。いやいや、それにとどまらず、ブルーノートといえば『<em>クール・ストラッティン</em>』──かな？このレコード──日本のジャズ喫茶史上最大のヒット作で、ぼくがジャズを聴きはじめたころ、世間ではすでにその名や評判が轟きわたっていた。なんだか、これを知らないなんてトーシローと、ビギナーをからかうような気運さえあって、ぼくも慌ててショップへ赴いた覚えがある(バカだねぇ)。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そんな超有名盤──多くのひとがそうであるように、ぼくもまずは<strong>リード・マイルス</strong>(デザイン)＆<strong>フランシス・ウルフ</strong>(撮影)によるジャケットに、こころを躍らせたもの。例の女性のおみ足がクローズアップされたアートワークだね。その被写体を眺めながらぼくは、“<strong>オードリー・ヘプバーン</strong> as ホリー・ゴライトリー”みたいな女性を勝手に想像したのだけれど、実はこの美脚の主──のちにブルーノートの創始者<strong>アルフレッド・ライオン</strong>の二番目の奥さまになる<strong>ルース・メイソン</strong>というひとと、あとになって知った。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それはともかく、中身のほうもとてもよくて、特にどの曲も長尺であるのにもかかわらず、すべてがメロディアスなせいか、全体的にとても聴きやすかった覚えがある。(この作品でファンになった)<strong>ジャッキー・マクリーン</strong>(as)と<strong>アート・ファーマー</strong>(tp)のホーン・セクションによる、哀愁に満ちた響きをもった即興演奏にも、強い親近感を覚えた。それには、ハード・バップを象徴するするような熾烈なプレイとはひと味違う、ちょっと知的というか、抑制のきいたグルーヴが感じられた。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-1178 " src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianist2-500x607.jpg" alt="ピアノの練習をするウサギ" width="247" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianist2-500x607.jpg 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianist2-800x971.jpg 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianist2-300x364.jpg 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianist2-768x932.jpg 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/pianist2.jpg 1186w" sizes="(max-width: 247px) 100vw, 247px" /></p>
<p>　リーダーであるソニーさえもここでは、その場の雰囲気に合わせて沈着冷静で、アグレッシヴな演奏は一切していない。その点がネガティヴに捉えられたのか、実はこのアルバム──アメリカではじめてリリースされたとき、かのダウンビート誌から二つ星半という酷評を受けた。それに反して、日本からはレコードの注文が殺到するばかりなので、ライオン氏も首を傾げざるをえなかったようだ。これは、文化の違いだね。考えてみると、マイナー・チューンが並ぶ仕様に奥ゆかしささえ漂うこの作品──まさに、日本人好みではないか！</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　結局のところ、本国では知るひとぞ知る名手以上になり得なかったソニーではあるが、わが国では、その演奏にしても出来上がった作品にしても本来質の高いもの──と、きっちり評価されている。そういった意味では、稀有な存在と云えるかもしれないが、日本のジャズ・ファンはみんな彼のことが大好きなんだよね。ぼくの場合も、<strong>バド・パウエル</strong>の影響を受けていながら決して超絶技巧に走らない、彼の中庸をいくようなスタイルに、むしろ愛着さえ湧いてくるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">いまも愛されつづける永遠のハード・バッパー</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それはそうと、ソニーのアルバムのなかで、ぼくがもっとも愛聴しているのは、実は『<em>クール・ストラッティン</em>』ではなくて、おなじくブルーノート・レーベルの『<em>ソニー・クラーク・トリオ</em>』のほう。カッコよさでは、こちらのほうが上だと思う。というのも、ビバップの流れを汲んだアドリブ・ソロが、よりスリリングに展開されているから。そうはいっても、ソニーのピアノ・プレイは(パウエル派でありながら)パウエルのようにとんがってはいない。そのあくせくしない感じになんとも云えない風情があって、惹かれるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ちなみに1960年にタイム・レコードから同名のアルバムがリリースされているけれど、まったくの別もの。全曲ソニーのオリジナルで構成されていて、そのせいかいつもよりモチベーションが高めのソニーを聴くことができる(こちらも大好き)。おもしろいことに、ブルーノート盤のほうは全曲スタンダード・ナンバー──オリジナルが一曲も収録されていないのは、ごく稀なことだ。そのぶん、ソニーのアレンジの妙が浮き彫りになった──とも云える。つまり、どの曲もまるでソニーが書き下ろしたオリジナルと聴き紛うほど、自分のものになっているのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　<strong>ポール・チェンバース</strong>(b)と<strong>フィリー・ジョー・ジョーンズ</strong>(ds)を従えたこのトリオ──まるで三匹の侍とでも云いたくなるような風格がある(古い例えだねぇ)。聴いていて、ことのほか胸がすうっとするのだ。三人はオープナー、<strong>ディジー・ガレスピー</strong>の「ビ・バップ」から高速で飛ばしまくる。長尺のピアノのインプロヴィゼーションには、ソニーらしいイディオムが満載だ。後半にはポールのお家芸、アルコ奏法のオマケもついてくる。つづくブロードウェイ・ミュージカルの名コンビ、<strong>ロジャース&amp;ハート</strong>の「時さえ忘れて」は、原曲よりも速めのテンポで演奏されていて、ソニーのピアノも軽快に飛翔する(案外ぼくはこの曲がいちばん好きだったりする)。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1179 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-500x500.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-500x500.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-300x300.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-768x768.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-800x800.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-1536x1536.png 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-100x100.png 100w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3-150x150.png 150w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/pianist3.png 1600w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>　A面ラストは、またもやディジーの曲「トゥー・ベース・ヒット」──やはりアップ・テンポで、(お待ちかね)ポールのドラマティックなドラムスが、ソロ→４バース→ソロと、大活躍する。ちなみに、ここでのソニーのアドリブには、ぼくが耳コピーしたフレーズがいっぱい出来する。つづいてレコードをひっくり返してB面へ──ビバップ時代の最有力アレンジャー、<strong>タッド・ダメロン</strong>の「タッズ・ディライト」は、本作中もっとも明るく澄んだ曲で、気分がリフレッシュされる。次のあまりにも有名な<strong>オスカー・ハマースタイン二世</strong>の「朝日のようにさわやかに」は打って変わって、まるで愁いの気配がしのび寄るような情緒を湛えていて、いかにも日本のファンの琴線に触れそう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そしてラスト──もともと映画の挿入歌だった「四月の想い出」は、ソロ・ピアノで演奏──ソニーのバラードの語り口は、パウエルの鋭角的な演奏をまろやかにした感じで、さりげなくやすらぎと優しさが伝わってくる。このリリシズムは、永遠のもの。単に甘い感傷に流されることもなく、それでいて飾り気も誇張もない、そのピアノ・プレイは、彼が特に音楽教育も受けず実戦で身につけた稀有なもの。しかしながら残念なことに、そんなユニークな音楽性も長くはつづかなかった。彼もまた、当時のジャズメンが陥りがちな悪癖により、31歳という若さでこの世を去る。そんなわけで、ぼくが彼のことを想うとき、ハード・バップ時代を一気に走り抜いた──という印象が強くなるばかりなのである。</p>
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<p>最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
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