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	<title>Lalo Schifrin | 気ままに音楽生活</title>
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	<description>いささか気ままに──ではありますが　素敵な音楽をご紹介してまいりますので　どうぞよろしくお願いいたします</description>
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	<title>Lalo Schifrin | 気ままに音楽生活</title>
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	<item>
		<title>Lalo Schifrin / Music From Mission: Impossible (1967年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 12 Jan 2025 07:49:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Soundtrack]]></category>
		<category><![CDATA[Lalo Schifrin]]></category>
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					<description><![CDATA[５拍子のグルーヴ感が際立つ不滅のテーマ曲をはじめ、ラロ・シフリンの鋭いセンスが光る楽曲が収録された『スパイ大作戦 Vol. 1(Music From Mission: Impossible)』]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">５拍子のグルーヴ感が際立つ不滅のテーマ曲をはじめ、ラロ・シフリンの鋭いセンスが光る楽曲が収録された『スパイ大作戦 Vol. 1(Music From Mission: Impossible)』</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p class="wp-block-paragraph"><img decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Lalo Schifrin / Music From Mission: Impossible (1967)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Mission: Impossible</em></p>
</div>
</div>

  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-2" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-2">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">５拍子のグルーヴ感が際立つ不滅のテーマ曲をはじめ、ラロ・シフリンの鋭いセンスが光る楽曲が収録された『スパイ大作戦 Vol. 1(Music From Mission: Impossible)』</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">ポピュラー・ミュージックにおいて５拍子の繁栄に寄与した曲</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">鑑賞用音楽としての機能性という点ではテレビ版のほうが数段上</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">ラロ・シフリンという音楽家と『スパイ大作戦』の音楽</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">ポピュラー・ミュージックにおいて５拍子の繁栄に寄与した曲</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　５拍子の曲というと、多くのひとがすぐに思い浮かべるのは、<strong>デイヴ・ブルーベック・クァルテット</strong>の「テイク・ファイヴ」ではないだろうか。同グループの最大のヒット曲だけれど、アルバム『<em>タイム・アウト</em>』(1959年)の３曲目に収録されている。アルバム・リリースからおよそ１年と５か月後(1961年)にはシングルカットされ、ポップ・チャートを賑わせてミリオン・セラーを記録した。日本ではもともとジャズ喫茶の定番曲だったが、1987年に武田薬品(現アリナミン製薬)の栄養ドリンク剤、アリナミンV-DRINKのテレビCMで使用され、ジャズを聴かないひとたちにも周知されるようになった。作曲したのはバンド・メンバーのアルト奏者、<strong>ポール・デスモンド</strong>だけれど、ブルーベックが起案するところもあったのではないだろうか。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ブルーベックは甚だクラシック音楽の影響を受けたジャズ・ピアニストで、この『<em>タイム・アウト</em>』をあらためて聴いてみるとかなりクラシカルな音楽に感じられる。たとえばぼくの大好きな<strong>モーリス・ラヴェル</strong>が、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」の第２組曲の終盤でメイン・リズムを５拍子としている。つまりブルーベックはジャズに、そういった芸術音楽における舞曲のスタイルをもち込んでいるように思われるのだ。その点ではむしろ『<em>タイム・アウト</em>』の冒頭を飾る「トルコ風ブルー・ロンド」のほうが、その趣向が顕著に現れている。このブルーベックのオリジナルは８分の９拍子で演奏されるのだけれど、伝統的なトルコ民謡のリズムを西洋音楽的な解釈で打ち出している。こういうマナーは、もはやジャズではない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そういえばテナー奏者の<strong>ジョシュア・レッドマン</strong>が、リーダー作『<em>ビヨンド</em>』(2000年)のなかで真っ向から拍子というものに取り組んでいる。やはり５拍子の「ア・ライフ」という曲が収録されているのだけれど、これがなんとも軽やかで美しい曲なのだ。クァルテットの各々が互いに触発されながら、シンプルなメロディック・ラインとそれにインスパイアされたインプロヴィゼーションを展開していく。ノスタルジックなバラード風のナンバーだが、この心地よさの一端は明らかに５拍子のグルーヴ感が担っていると思われる。なおこのアルバムでは、６拍子、９拍子、10拍子、13拍子といった複合拍子や変拍子の曲が満載だ。革新性を求めて作られた音楽ではあるがわりと自然に聴けるので、興味のあるかたはどうぞ──。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter wp-image-6478 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano1.png" alt="サングラスをかけたトレンチコート姿の女性スパイとグランド・ピアノ" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano1.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano1-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　さて、西洋音楽においてスラブ地域の民族音楽から引用されて発展した５拍子は、どこか異国の情緒や雰囲気を醸し出すところがあるが、いまではごく身近な変拍子のひとつとなっているのではないだろうか。そして、ポピュラー・ミュージックにおいてその独特のビート感覚の繁栄に寄与した曲といえば、なんといっても「スパイ大作戦のテーマ」だろう。いまや「ミッション:インポッシブルのテーマ」という呼びかたのほうが、しっくりくるかもしれない。<strong>トム・クルーズ</strong>演じるCIAの極秘諜報部隊であるIMF(Impossible Mission Force=不可能作戦部隊)のエージェント、イーサン・ハントを主人公としたスパイ・アクション映画のシリーズは、日本でも非常に人気が高い。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　この映画シリーズは2025年公開予定の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』で８作を数える。このシリーズ、４作目までは監督がすべて異なり、順を追って記載すると、<strong>ブライアン・デ・パルマ</strong>、<strong>ジョン・ウー</strong>、<strong>J. J. エイブラムス</strong>、<strong>ブラッド・バード</strong>となる。５作目からは<strong>クリストファー・マッカリー</strong>が継続的にメガホンをとっている。フィルム・スコアのほうも、<strong>ダニー・エルフマン</strong>、<strong>ハンス・ジマー</strong>、<strong>マイケル・ジアッチーノ</strong>(第３作、第４作を担当)、<strong>ジョー・クレイマー</strong>、<strong>ローン・バルフ</strong>(第６作以降継続)と、何度か入れ替わっている。不動の地位を確保するのは、シリーズのプロデュースも手がける<strong>トム・クルーズ</strong>と、あの５拍子のテーマ曲ということになるのだろうね──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ここでシリーズ全作品の音楽について触れることはできないので、記念すべき第１作『ミッション:インポッシブル』(1996年)のサウンドトラックについてのみ述べておく。この映画はCBSのテレビシリーズ『スパイ大作戦』(1966年 &#8211; 1973年)をベースにしているわけだが、もともとテレビ版がたいへんな人気番組だったため、映画版のスコアはオリジナルをオマージュせざるを得なかった。まずテーマ曲だが、アイルランドのロック・バンド、<strong>U2</strong>のドラマーの<strong>ラリー・マレン・ジュニア</strong>、ベーシストの<strong>アダム・クレイトン</strong>がリメイクしている。原曲をサンプリングしたブレイクビーツのスタイルがとられているが、５拍子なのは最初だけですぐにポリメトリック的に単純拍子に移行する。映画ではエンドクレジットで使用された。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　全体の音楽を手がけた<strong>ダニー・エルフマン</strong>は、ドラマティックでロマンティックなスコアを書くひとだけれど、彼の音楽は映像とのマッチングがすこぶるいい。そのせいか現在に至るまで数多くの映画作品に、エキサイティングなスコアを提供してきた。<strong>ティム・バートン</strong>、<strong>サム・ライミ</strong>といった監督とコンビを組むことが多いが、まるでハリウッドの娯楽大作を一手に引き受けているような印象を与える。過去にニュー・ウェイヴ系のバンドで活動していたこともある変り種で、それ故かエルフマンのサウンド・デザインにはいつもユニークな意匠が凝らされていて感心させられる。なお本作の楽曲のアレンジは、エルフマンのバンドでギターを弾いていた<strong>スティーヴ・バーテック</strong>と、フィルム・オーケストレーターとして有名な<strong>マーク・マッケンジー</strong>が担当している。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　エルフマンのスコアでも「ミッション:インポッシブルのテーマ」は堂々と演奏される。オープニングクレジットで使用されたエルフマンのヴァージョンは１分強と尺は短いが、しっかり原曲どおり５拍子がキープされながら、よりオーケストラルなアレンジが施されたダイナミックなピースとなっている。ほかにも「トラブル」という曲の後半で、このテーマ曲がパラフレーズされたりする。なおテーマ曲以外では、テレビシリーズでお決まりのように毎回流れる「筋書きはこうだ！」という曲があるのだが、エルフマンのスコアでは「インポッシィブル・ミッション」で一部抜粋されている。ちょっとわかりにくいかもしれないが、スネアドラムやパーカッションの動きに注目していただきたい。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">鑑賞用音楽としての機能性という点ではテレビ版のほうが数段上</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ちなみに、記念すべき映画シリーズ第１作『ミッション:インポッシブル』のサウンドトラック・アルバムは２種類存在する。発売は２枚とも映画が公開された1996年で、日本でも両作ともに国内仕様のCDがリリースされた。１枚は『<em>ミッション:インポッシブル オリジナル・サウンドトラック</em>』で、タイトルはそうなっているが実際はサントラ盤というよりもコンピレーション・アルバムと云える(ややこしい！)。前述の<strong>U2</strong>のふたりが録り下ろしたテーマ曲や、<strong>ビョーク</strong>、<strong>パルプ</strong>、<strong>キャスト</strong>、<strong>マッシヴ・アタック</strong>などの映画未使用曲、エルフマンのスコアの一部が収録されている。映画にインスパイアされて作られたオリジナル曲を中心とした、一種のイメージ・アルバムだ。こちらは<strong>U2</strong>が立ち上げたマザー・レコードからリリースされた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　もう１枚の『<em>ミッション:インポッシブル オリジナル・スコア・ヴァージョン</em>』は、エルフマンのフィルム・スコアのみで構成されている。本盤は英国のクラシック音楽のレーベル、ポイント・ミュージックからリリースされた。エルフマンにしては飾り気のないスコアだが、躍動的な律動と緊張感を拡大するような管弦楽法はお見事。その壮観な音景はスリリングな映像を的確に盛り上げるものだが、その作法はすでに職人芸の域に達している。ただこのアルバムは、飽くまでフィルムスコアリングに徹せられたトラックをまとめたものだから、独立した音楽作品として楽しむにはいささか辛いものがある。そのサウンドはスタイリッシュでスピーディなのだが、ホットなジャズが軸に据えられたテレビシリーズの音楽のもつ人間くさい魅力には、ちょっと敵わない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　その点、映像作品としての魅力について映画版とテレビ版とを比較したときにも、おなじことが云えるかもしれない。映画ではオープニングクレジットの５拍子のテーマ曲や(導火線にマッチで火を点ける)映像の演出において、テレビシリーズのものが踏襲されているけれど、実質的に両作はまったくのベツモノと捉えるべきなのかもしれない。まあこれは時代性なのだろうが、テレビドラマの見どころが知略縦横、臨機応変の心理戦だったのに対し、映画のそれはどちらかといえばハイテクが駆使されたアクティヴな肉弾戦。いっぽう映画でも自動的に消滅する指令テープの引用はあるけれど、それを聴くミッションのリーダー、ジム・フェルプスのキャラクターはまったく異なるものになっているし──。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-6479 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano2.png" alt="銃を持ったドレス姿の女性スパイとグランド・ピアノ" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano2.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano2-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　いずれにしても、鑑賞用音楽としての機能性という点では、テレビシリーズのサントラ盤(実質はレコード用の音源)のほうが数段上を行く。というか、個人的にずっと愛着がある。なんといってもテレビシリーズ『スパイ大作戦』は、ぼくにとっては幼少期にあたるが、当時の日本でもお茶の間を賑わす人気番組だったのだから──。アメリカよりおよそ半年遅れだったが、フジテレビ系列で日本語吹替版が断続的に放映されていた。子どものぼくは、両親が熱心に観ている『スパイ大作戦』を、その横で観るともなしに観ていただけだから、エピソードごとの記憶は曖昧である。しかしながら「おはよう、フェルプスくん──」(最初は“ブリッグスくん”だった)ではじまり「なお、このテープは自動的に消滅する。健闘を祈る」で終わる、テープレコーダーから流れる指令の文言はハッキリ覚えている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そしてそれ以上に、５拍子が生み出す独特のグルーヴ・フィーリングとゾクゾクするようなサウンドスケープをもつ「スパイ大作戦のテーマ」は、幼いぼくにも強烈なインパクトを与えたのである。たぶん父親が購入したものだろうが、わが家にはしっかりサウンドトラックのLP盤があった。ぼくの記憶ではそのLP、ジャケットが赤を基調としIMFのメンバーのポートレートがあしらわれたものだったから、おそらくテレビ放映の開始とともに当時の日本ビクターが発売した国内仕様のレコードと思われる。ぼくは、これをよく聴いていた(というか聴かされていた)。ところがぼくは引っ越しの際、このLPを<strong>ポール・モーリア</strong>のレコードなどと一緒に、つい気前よく近所に住んでいた同級生の女の子に進呈してしまったのだった(もともと自分のものでもないのにね)。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ちょっと後悔していたら、折よく当時のビクター音楽産業が、既発のLPと同一の音源を今度はオリジナル・ジャケット仕様で完全限定復刻してくれた。これはホント、ありがたかった。この『<em>スパイ大作戦 Vol. 1(Music From Mission: Impossible)</em>』は、もともと1967年にドット・レコードがリリースしたもの。オリジナルのジャケットは、地色が赤いのは既発の国内盤とおなじだが、例の導火線に火を点けようとするマッチ棒を摘んだ手が写っているものだ。さらに嬉しいことに本盤の発売からときを移さず、1969年にパラマウント・レコードからリリースされていた続編の『<em>スパイ大作戦 Vol. 2(More Mission: Impossible)</em>』のほうも復刻された。こちらは、本邦初発売だった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ちなみに上記の２枚のサウンドトラック・アルバムは、前述の映画版第１作『ミッション:インポッシブル』が公開された1996年にMCAレコードから１枚のCDにカップリングされ、装いも新たに『<em>ミッション・インポッシブル(スパイ大作戦)</em>』としてリイシューされた。実は1994年にジャケットは異なるが内容は同一のコンパイルCDがすでにリリースされていたのだが、映画化のタイミングにあわせて、その話題にあやかりながらもオリジナルはこちらと云わんばかりに新装盤が発売されたのである。なお本盤にコンパイラーとしてクレジットされている<strong>テリー・ワクスムート</strong>は、1960年代から1980年代初頭までのロックやジャズ/フュージョンの名作の復刻で知られるレーベル、ウーンデッド・バード・レコードの設立者だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　とにもかくにも本CDは、疾走感に富んだ５拍子のテーマ曲からビッグバンド・スタイルを中心としたジャジーな劇伴の数々まで、テレビシリーズ『スパイ大作戦』のスリリングなサウンドを一気に楽しめる仕様なので、音盤を所持していない往年のファンのかたにはもちろんのこと、未体験のかたにもぜひ気軽に手にとっていただきたい１枚である。そんなわけで、例によって長々と語ってしまったが、ここからはぼくにとってもっとも愛着のある『<em>スパイ大作戦 Vol. 1(Music From Mission: Impossible)</em>』についてお伝えしていこうと思う。すっかりあとになったが、５拍子の名曲として燦然と輝く「スパイ大作戦のテーマ」を作曲したのは、だれあろうアルゼンチン出身の作編曲家、<strong>ラロ・シフリン</strong>である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">ラロ・シフリンという音楽家と『スパイ大作戦』の音楽</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　1932年６月21日生まれの<strong>ラロ・シフリン</strong>は、ヴァイオリニストの父親の影響で幼いころから音楽に親しんでいたが６歳から６年間、あのピアニストで指揮者の<strong>ダニエル・バレンボイム</strong>のお父さんにピアノの指導を受けていたという。地元のブエノスアイレス大学では社会学と法律を学んでいたが、20歳のときにパリ国立高等音楽院に留学して確固たる音楽教育を受ける。クラシックの音楽理論をみっちり身につけるかたわら、シフリンは当時からジャズにも強い関心を寄せていた。1957年に<strong>ラロ・シフリン・アンド・ヒズ・オーケストラ</strong>名義のイージーリスニング作『<em>スペクトラム</em>』が吹き込まれているが、ジャズ・ピアニストとしてのリーダー・アルバムは、ラテン・タッチの『<em>ピアノ・エスパニョール</em>』(1959年)がデビュー作となる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　またシフリンは、1960年代に<strong>ディジー・ガレスピー・バンド</strong>のアレンジャー兼ピアニストを務めたことはよく知られているが、それを契機にニューヨークへ移住した。その後、彼はヴァーヴ・レコードにおいてリーダー作を吹き込んだり、同レーベルの所属アーティストの作品のアレンジを手がけたりするのだが、まもなくヴァーヴの親会社である映画製作会社MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)で映画やテレビドラマの仕事をするようになる。たとえばMGMが製作したテレビシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』(1964年 &#8211; 1968年)といえば<strong>ジェリー・ゴールドスミス</strong>が作曲したテーマ曲が有名だけれど、劇伴においてはシフリンがスコアを提供したこともある。なんにせよ結局のところ、シフリンといえば映画音楽の巨匠というイメージが定着した。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そんなシフリンのファンは国内外問わずたくさんいると思われるが、実はぼくにとって彼はちょっと苦手な音楽家だったりする。なぜならシフリンがクリエイトするサウンドはたいへん高品質でありながら、多くの場合強烈なコマーシャリズムを感じさせるからだ。云いかたはわるいが、ひとことで云うと節操がないのである。たとえばハモンド・オルガン奏者、<strong>ジミー・スミス</strong>の人気盤『<em>ザ・キャット</em>』(1964年)では、アクの強い豪快なオーケストラ・サウンドを炸裂させている。また自己のリーダー作『<em>マルキ・ド・サド</em>』(1966年)では、バロック音楽にジャズ、ロック、リズム・アンド・ブルースなどをいびつに調和させたりしている。その陽気に錯乱したアンサンブルは、まさに無節操と云える。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-6480 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano3.png" alt="銃を持った特殊部隊服の女性スパイとグランド・ピアノ" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano3.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/01/spyandpiano3-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　CTIレコードからリリースされた『<em>ブラック・ウィドウ</em>』(1976年)『<em>タワーリング・トッカータ</em>』(1977年)やタブー・レコードで吹き込まれた『<em>ノー・ワン・ホーム</em>』(1979年)といったフュージョン作品においても、シフリンはあからさまにディスコ・サウンドを採り入れたりしてド派手なマナーを全開。もちまえのあざとさを、遺憾なく発揮している。個人的にはCTI作品だったら<strong>ボブ・ジェームス</strong>のアルバムのほうが断然聴き応えがあると思うし、映像作品だったら<strong>デイヴ・グルーシン</strong>のスコアのほうが味わい深く感じる。ただ、たとえ一貫性に欠けようが逡巡せずにハリウッドで培った商業主義をフルスロットルにするところは、好むと好まざるとに関わらず、稀代のエンターテイナー、<strong>ラロ・シフリン</strong>の最大の魅力と云えるのかもしれない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　とはいえ『<em>スパイ大作戦 Vol. 1(Music From Mission: Impossible)</em>』は、シフリンが手がけた作品のなかでも鑑賞用音楽として実にバランスのいいアルバムと、ぼくは思う。本作では、いつものようにケバケバしいシフリン・サウンドが爆発することもあるけれど、そんな独特の世界とはひと味違う彼の鋭いセンスが光る瞬間が垣間見えることも多々あるのだ。そういう点で本作は数多のシフリン作品において、<strong>スティーヴ・マックイーン</strong>主演のアクション映画『ブリット』(1968年)のサウンドトラック・アルバムに次いで、ぼくの愛聴盤となっている。では、各曲(曲名は1979年に限定発売されたビクター盤に則る)について観ていこう。なお全11曲中１曲のみ、マーベル作品で知られる作曲家<strong>ジャック・アーボント</strong>とプロデューサーの<strong>ブルース・ゲラー</strong>との共作である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　オープナーはもちろん「スパイ大作戦のテーマ」である。ピアノの低音部が５拍子の鼓動を響かせる緊張感のあるイントロ、フルートによるエキゾティックなテーマ、エレクトリック・ハープシコードによるブルース進行のアドリブ・ソロ、そしてストリングスを絡めたダイナミックなビッグバンド・サウンドと、どこをとっても文句のつけようがない。つづく「ジムは行動中」は、中南米のリズムからジャズ・ロックへ移行するキャッチーなナンバー。アルト・フルートとミュート・トランペットによるエスプリの効いたテーマ部とブラス・セクションによる華美なコーラス部とのコントラストが鮮やかだ。<strong>マイク・メルヴォイン</strong>によるファンキーなピアノ・ソロも、なかなかのもの。逆に「チャーム作戦」では、ゆったりしたボサノヴァのリズムに乗って、シフリン自身が印象的なピアノ演奏を披露。流麗なストリングスのアレンジも見事だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ボンゴの連打がスリリングなムードを高める「狙撃者に気をつけろ」では、ストリングスによるヒンドゥスターニー調のメロディ、シタールとハープシコードとの絡みがいかにもな感じだ。つづく「ローリン・ハンド」では、スウィートなソロ・ピアノから煌びやかなオーケストラによるジャズ・ワルツへと展開。ストリングスが眩いばかりの動きを見せるが、乱脈を極めることもなく心地好く響く。前述の「筋書きはこうだ！」では、マーチングバンド風の演奏のなかでエレクトリック・ハープシコードがロック・ビートを刻んでいるのがユニークだ。B面１曲目の「でっかいウィリー」は、もっともダンサブルなナンバー。シンコペーテッドな８ビートのリズムに乗って、ビッグバンドが軽快に揺れ動く。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　アーボントとゲラーによる「シナモン(レディは愛されるためにつくられた)」は、ドリーミーな三拍子。トロンボーン、ウッドウィンズ、ストリングスが甘美なイメージを描いていく。<strong>バド・シャンク</strong>のアルトも極甘口。クールな４ビート「バーニーは任務完了」では、シフリン、シャンクに加えて、<strong>ステュ・ウィリアムソン</strong>がミュート・トランペットでソロをとる。メランコリックなムードの「危険」では、異国情緒漂うメロディック・ラインとルンバ調のリズムが<strong>ヘンリー・マンシーニ</strong>の楽曲を彷彿させる。ラストの「スパイ大作戦/作戦完了」では、ファンキーなジャズ・ロックが全開。当時のポップカルチャーを大胆にサウンドに反映させるところは、いかにもシフリンらしい。テーマ曲のモティーフも、顔を覗かせる。いずれにせよ本盤は、シフリンならではのエンターテインメントに富んだ、しかもグッドバランスなアルバムである。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p class="wp-block-paragraph">最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
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		<title>Lalo Schifrin / Bullitt (1968年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 25 Jun 2023 08:29:23 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Soundtrack]]></category>
		<category><![CDATA[Lalo Schifrin]]></category>
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					<description><![CDATA[映画音楽の巨匠ラロ・シフリンの、いつもとひと味違う鋭いセンスが光る傑作『ブリット』]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">映画音楽の巨匠ラロ・シフリンの、いつもとひと味違う鋭いセンスが光る傑作『ブリット』</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p class="wp-block-paragraph"><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Lalo Schifrin / Bullitt (1968)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Room “26”</em></p>
</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-4" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-4">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">映画音楽の巨匠ラロ・シフリンの、いつもとひと味違う鋭いセンスが光る傑作『ブリット』</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">映画音楽の巨匠──もとはジャズ・ピアニスト</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">ハリウッドで培った商業主義を気兼ねなく全開</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">ド派手な世界とはひと味違う鋭いセンスが光る</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">映画音楽の巨匠──もとはジャズ・ピアニスト</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　まだ子どもが生まれるまえのことだったな。妻とふたりで、100戸規模のマンションに住んでいたころ。わが家はそれなりに快適に暮らせる間取りではあったけれど、なにせ部屋数が少なかった。だから、オーディオは一式リビングに設置していた。ぼくの部屋は、レコードとCD、それにピアノでもうイッパイイッパイだったからね。というわけで当然のごとく、ぼくの聴いている音楽は、べつに音楽がなくても生きていける妻にも、そっくりそのまま聴こえてしまうのだった。ちょっと身が縮まる思いもあったが、それでも友人が遊びに来たときなどは、食事をしながら音楽を振る舞うことができたので、ぼくには好都合だった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　家族が増えたのを機に戸建てに引越したのだが、オーディオはすべてぼくの部屋へ追いやられてしまった。ちょっと淋しいけれど、致しかたない。それまで、妻もよく我慢してくれたもの。シエシエ。それはともかく、はなしをマンション時代に戻すと、そういう時はよっぽど機嫌がいいのだろう、ときおり妻がぼくの聴いているものに興味を示すことがあった。特にブラジルのフュージョン・グループ、<strong>アジムス</strong>はお気に入りだったようで「これ、<strong>アジムス</strong>だよね」と、よく声をかけられた。そんなある日、彼女が「これ、タモさん？」と、CDのジャケットに描かれたグラサン男のイラストを見て、訊いてきた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　もちろん、<strong>タモリ</strong>さんではない。でも、ちょっと髪の毛の多い<strong>タモリ</strong>さんに見えなくもない。というか、妻のせいでそのCDを手にする度に、<strong>タモリ</strong>さんを思い出してしまうではないか！まったく──。ところで、問題のCDといえば、それは『<em>ラロ・シフリン＆フレンズ</em>』(2007年)というアルバム。妻の云うところのタモさんとは、<strong>ラロ・シフリン</strong>のこと。アルバムは、シフリンの自己レーベル、アレフ・レコードからリリースされた、当時の彼の新譜だ。<strong>デニス・バディミール</strong>(g)、<strong>ブライアン・ブロンバーグ</strong>(b)、<strong>アレックス・アクーニャ</strong>(ds)、<strong>ジェームス・ムーディ</strong>(ts)、<strong>ジェームス・モリソン</strong>(tb,tp)といったメンバーに惹かれて、入手した。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-1765" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws-500x377.png" alt="映画『ジョーズ』のサメ" width="398" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws-500x377.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws-300x226.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws-768x579.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws-800x603.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws-1536x1159.png 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/jaws.png 1624w" sizes="(max-width: 398px) 100vw, 398px" /></p>
<p>　実物は、まったく<strong>タモリ</strong>さんに似ていないシフリンが、かつて1960年代、<strong>ディジー・ガレスピー・バンド</strong>のアレンジャー兼ピアニストだったことは、よく知られている。ただ、アルゼンチン出身の彼は、もともとクラシックの教育を受けたひとで、その分野でも作曲家、指揮者として活躍した。そんな才能が認められ、ジャズ・ミュージシャンとしてヴァーヴ・レコードに所属していた彼は、まもなくヴァーヴの親会社である映画製作会社MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)で映画の仕事をはじめる。結局、シフリンといえば映画音楽の巨匠というイメージが定着した。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　テレビドラマ『スパイ大作戦』(1968年)の、あのあまりにも有名な５拍子のテーマ曲といい、映画『燃えよドラゴン』の、アチョー！という<strong>ブルース・リー</strong>の怪鳥音(実際は“アチョー！”とは叫んでいない)とシンセサイザーが交錯するテーマ曲といい、とにかくド派手な作編曲にただただ圧倒されるばかりだ。以来、サスペンスやアクション作品を中心に、銀幕に躍動感に富んだサウンドをたくさん残してきた。でもそんなシフリンも昔は、ラテン・タッチのデビュー作『<em>ピアノ・エスパニョール</em>』(1959年)をはじめ、ジャズ・ピアニストとしてアルバムを何枚も吹き込んでいたのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">ハリウッドで培った商業主義を気兼ねなく全開</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　さて、タモさんジャケットの(シツコイね)『<em>ラロ・シフリン＆フレンズ</em>』だが、シフリンはこの作品で意外なほどオーソドックスなジャズをプレイしている。ヴァーヴ時代の作品には奇を<ruby>衒<rt>てら</rt></ruby>うようなところもあったけれど、ここでは彼のオリジナル中心の選曲であるのにもかかわらず、いい意味で力の抜けた溜飲が下がるような演奏をしているのだ。ハリウッドの映画産業における御用達として、俗っぽいサウンドを大量生産していた彼を想像していたので、ちょっと拍子抜けしてしまった。まあ彼の場合、これまでピアノ演奏のほうは、あまり取り沙汰されることがなかったから、このセッションでのハイブリディティに富んだプレイは注目に値するな。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ここで正直に告白すると、シフリンはぼくにとってちょっと苦手な音楽家なのだ。なぜなら、彼が創り出すサウンドは、たいへん高品質でありながら、多くの場合強烈なコマーシャリズムを感じさせるからだ。ちょっと悪い言い方になるけれど、ひとことで云うと節操がない──ということになる。ハモンド・オルガン奏者の<strong>ジミー・スミス</strong>の人気盤『<em>ザ・キャット</em>』(1964年)で、アクの強い豪快なオーケストラ・サウンドを炸裂させているのは、シフリンだ。バロック音楽とジャズ、ロック、R&#038;Bなどをいびつに調和させた『<em>マルキ・ド・サド</em>』(1966年)という変なアルバムも、彼のリーダー作。陽気に錯乱したアンサンブルは、まさに無節操！</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　たとえ一貫性に欠けようが、ハリウッドで培った商業主義を気兼ねなく全開するところは、好き嫌いが分かれるにしても、間違いなくシフリンのエンターテイナーとしての魅力と云える。現に、彼の大ファン、サントラ盤のコレクターは、たくさんいるのだ。ヴァーヴ時代からその才能を認めていたプロデューサーの<strong>クリード・テイラー</strong>は、自ら立ち上げたCTIレコードにも彼を引っ張っていく。そして──「シフリンくん、いっちょドギツイのをたのむよ」「ジョーズとかどうっすかね。１億ドル以上稼いでるらしいですぜ。悔しいけど」「イイね、イイね、エゲツなくてもイイから、思いっきりやっちゃって」「んじゃ、流行りのディスコでいってみますか」──と、これはぼくの妄想だけれど、シフリンのCTI第一作『<em>ブラック・ウィドウ</em>』(1976年)は、そんな音がする。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-1997" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-500x571.png" alt="作曲家のバッハの肖像像" width="263" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-500x571.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-300x343.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-768x878.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-800x914.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-1344x1536.png 1344w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/bach-1792x2048.png 1792w" sizes="(max-width: 263px) 100vw, 263px" /></p>
<p>　ちなみに、このアルバムに収録されている、<strong>モーリス・ストロフ楽団</strong>の1956年のヒット曲が軽快なフュージョン・ナンバーにアレンジされた「ムーン・グロウ/ピクニックのテーマ」という曲──テレビ埼玉で放送開始のテーマ音楽として使用されているのは、知る人ぞ知るところ。早朝からシフリンとは、さすがテレ玉！そんな気安いサウンドを作るとは、さすが映画音楽の大家！そして──「シフリンくん、第二弾にはクラシックも入れてよ」「バッハのトッカータなんかどうっすかね。もちろんディスコで」「♪チャラリー。ハナギューだな。イイね、イイね、やっちゃって」「んじゃ、関係ないけどタイトルに“タワーリング”ってつけちゃいましょ。今度は１億１千万ドルだ！」──と、シフリンのCTI第二作『<em>タワーリング・トッカータ</em>』(1977年)は、こうして生まれた──わけはない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ぼくには、シフリンの音楽を馬鹿にするつもりはまったくないのだが、彼の音楽には、たとえば江戸時代に大名や上級の武士のみが食していた上菓子と相反する、広く庶民から愛された駄菓子のような味わいがある──そんなふうに感じられる。いつもは聴かないが、たまに無性に聴きたくなったりする。折に触れての鑑賞だから、いいのである。なぜなら、彼が繰り広げるスペクタクルなサウンドばかり聴いていたら、ちょっと食傷気味になるからね。とはいっても、例外もある。タモさんのアルバム(まだ云うか！)でもそうだけれど、彼はときおり、いつものド派手な世界とはひと味違う、鋭いセンスが光る瞬間を垣間見せることがある。次に、そんな作品をご紹介しよう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">ド派手な世界とはひと味違う鋭いセンスが光る</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それは、1968年に公開された、<strong>スティーヴ・マックイーン</strong>主演のアクション映画『ブリット』のサウンドトラック・アルバム。映画は、イギリス出身の監督、<strong>ピーター・イェーツ</strong>のハリウッド進出第一作でもある。彼がもとプロのレーシング・ドライヴァーだったせいか、やたらカーチェイスのシーンが目立つ。マックイーンのほうも、プライヴェートでプロのレーサーになるほど、モータースポーツが大好きなおひと。そのせいか本編では、マックイーンが演じるブリット警部補と、彼が運転するフォード・マスタングGT390が、滅茶苦茶クール。でも、ゴメンナサイ、ぼくにとっては、それだけの映画。いやいやそうではない、音楽にはとても惹きつけられたのだった──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　サウンドトラックのオリジナル盤は、当時のワーナー・ブラザース＝セヴン・アーツ・レコードがリリース。日本では、東芝音楽工業(現在のユニバーサルミュージック)がディストリビューターとなり、ジャケットは日本独自の仕様に差し替えられた。また、世界で最初のCD化は、日本でのこと。1996年に当時、大阪に拠点を構えていたサウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーションズによって実現された。さすが！その際、音源は東芝のLPと同様ものが使用されたが、ジャケットは米国のオリジナル盤のものに戻されている。完全限定盤ということもあり、ファン垂涎のコレクターズ・アイテムとなった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところで、このアルバム──サントラ盤とはいいながらも、実は収録曲のすべてが、映画で使用されたフィルムスコアリングによるトラックとは別もの。映画の公開のあと、シフリン自身によって、あらためてレコーディングされた音源なのである。全12曲は、ソース・ミュージックの「ファースト・スノーフォール」のみ<strong>ソニー・バーク</strong>の曲だが、それ以外はすべてシフリンのペンによるオリジナル曲。レコーディングには、シフリン(key)をはじめ、<strong>レイ・ブラウン</strong>(b)、<strong>ラリー・バンカー</strong>(ds)、<strong>ハワード・ロバーツ</strong>(g)、<strong>バド・シャンク</strong>(fl)など、名うてのジャズ・ミュージシャンが参加している。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-1767" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/mustang-500x250.png" alt="映画『ブリット』のフォード・マスタング" width="600" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/mustang-500x250.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/mustang-300x150.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/06/mustang.png 640w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>
<p>　おすすめの曲は、まずはやはり「ブリット(メイン・タイトル)」だろう。いかにもシフリンらしい独特なベース・ラインに乗って、ギターがブルージーなメロディを歌ったあと、ダイナミックなビッグ・バンド・サウンドが展開される。フィルム音源より、テンポはやや速くなっている。つづいて、洗練された雰囲気のジャズボサ「26号室」は、いつものシフリンと違って控えめで、とてもスタイリッシュ。フルートとハモンド・オルガンもキャッチー。<strong>大野雄二</strong>の「A Day Of The Town」という曲は、これのパクリ(云っちゃった)。あと１曲、ミッド・テンポのボサノヴァ「アフターマス・オブ・ラヴ」は、トロンボーンの甘い音色も然ることながら、ストリングスやフルートのアレンジが素晴らしい。ぼくにとっては、理想型。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　まだまだ、テーマ曲のヴァリエーションで、ギター・ソロが熱い「サン・マテオへの道」とか、ピアノとベースがスリリングな展開を見せる「殺し屋マイク」とか、ポリリズムに乗ってフルートがドライヴする「キャシーの歌」とか、ホーンとストリングスがサスペンスフルなアンサンブルを繰り広げる「シフティング・ギア」とか、カッコイイ曲が満載。もちろん、なかにはド派手なシフリン・サウンドが爆発する曲もある。でも、本作はトータル的に観ると、実にバランスがいい。現在、これらのアルバム・ヴァージョンにフィルムで使用されたトラックがプラスされた全31曲のCDが、フィルム・スコア・マンスリーからリリースされている。名曲「26号室」のビッグ・バンド・ヴァージョンも聴ける！興味のあるかたは、ぜひそちらをどうぞ──。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p class="wp-block-paragraph">最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
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<p></p>]]></content:encoded>
					
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