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	<title>Francis Lai | 気ままに音楽生活</title>
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	<description>いささか気ままに──ではありますが　素敵な音楽をご紹介してまいりますので　どうぞよろしくお願いいたします</description>
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	<title>Francis Lai | 気ままに音楽生活</title>
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		<title>Francis Lai / Un Homme Et Une Femme (1966年)</title>
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		<pubDate>Sun, 28 Jul 2024 07:30:58 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Soundtrack]]></category>
		<category><![CDATA[Francis Lai]]></category>
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					<description><![CDATA[サントラ史上記録的なロングセラーを誇る『男と女』を、主演女優アヌーク・エーメを偲びながら聴く]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">サントラ史上記録的なロングセラーを誇る『男と女』を、主演女優アヌーク・エーメを偲びながら聴く</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p><img decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Francis Lai / Un Homme Et Une Femme (1966)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : A 200 À L&#8217;heure</em></p>
</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-2" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-2">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">サントラ史上記録的なロングセラーを誇る『男と女』を、主演女優アヌーク・エーメを偲びながら聴く</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">アヌーク・エーメの逝去、ジャン＝ルイ・トランティニャンもまた──</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">映像と音楽にこだわりをもつフランスの異才、クロード・ルルーシュ</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">稀代の天才メロディメーカー、フランシス・レイの出世作</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">アヌーク・エーメの逝去、ジャン＝ルイ・トランティニャンもまた──</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　<strong>アヌーク・エーメ</strong>という女優がいた。フランス出身の見目麗しい女性だ。実は2024年６月18日に、パリの自宅で亡くなっていた。92歳だった。まずは、ここにこころより哀悼の意を表す。と同時に、長いあいだ銀幕のなかで楽しませてくれた彼女に、ぼくは感謝したいと思う。少年だったぼくが映画を好きになった要因として、彼女は欠くことのできない存在なのだから──。ぼくは4年まえ、彼女が主演女優を務めた、映画『男と女 人生最良の日々』(2019年)を鑑賞したのだが、そのときはまさかこの映画が彼女の遺作になるとは思ってもみなかった。当時86歳と、だいぶ年を召されたとはいえ、彼女は相変わらず美しかった。しかも彼女が演じたアンヌは、眩しいくらい活気に溢れていたのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　まあ、これは役柄だから仕方がないのだけれど、彼女より２歳年上とはいえ、主演男優の<strong>ジャン＝ルイ・トランティニャン</strong>のほうは、だいぶ老け込んで映った。その点、認知機能が低下した老人という役どころを見事に演じたと云える。彼が演じたのは、海辺の老人ホームで余生を送る、もとレーシングドライヴァーのジャン・ルイ。実はトランティニャンは、実生活でもF1レーサーとして知られたひと。この映画では老いさらばえた姿とは裏腹に、イノセントな笑顔とイタズラ好きの少年のようにキラキラした眸が、あまりにも素敵だった。ところが残念なことに、彼はすでに91歳で天に召されている。2022年６月17日のことである。この映画の撮影が行われていたころだろうか、2018年に前立腺がんと診断されたが、頑なに治療を拒んだという。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ときに<strong>アヌーク・エーメ──</strong>彼女は70年以上の華々しいキャリアを誇る、ヨーロッパを代表する女優のひとりだが、晩年まで欧米各国で各賞を獲得してきた。そんな輝かしい長期にわたる国際的女優生活のなかで、彼女は“映画史上もっともセクシーな女優のひとり”と云われることもあった。しかしぼくは、彼女に性的な魅力を感じることは、あまりなかったように思う。確かにスゴイ美人だとは思う。でもぼくにとっては、セクシーという表現はまったくピンとこなくて、云うなればオトナの女性と名状するほうが圧倒的に相応しいと思われる。あまりにも美人過ぎるし、仕草や言動にもスキがなくて、ちょっと近寄りがたい感じさえする。たとえば、ぼくのほうがスクリーンのなかの彼女より年上になったときでも、やはり彼女はぼくにとってオトナの女性だった。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5625 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/actress.png" alt="映画館のスクリーンに映る美人女優" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/actress.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/actress-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　これはまったく私的なことになるが、ぼくが長年師事したピアノの先生の顔立ちが、ちょっと若いころの<strong>アヌーク・エーメ</strong>に似ていた。いまでも名匠<strong>ジャック・ベッケル</strong>の監督作品『モンパルナスの灯』(1958年)などを観ると、彼女が演じる夭逝の画家モディリアーニの妻ジャンヌの姿に、ぼくのこころはすっかり子どものころに戻ってしまい、落ち着きを失うのだ。174cmの長身、あの涼し気な顔の造作──特に大きな瞳にほんの一瞬でも視線が合うと、いまでもぼくは、鍵盤をまえにして「途中で間違えても構わないから、最後まで演奏を止めてはダメよ」と、注意されているような錯覚に陥ることがある。この不甲斐のなさ──まったく「笑わば笑え」である。なお、アヌーク顔の先生はぼくが大学生のころ、結婚を機に教鞭を置いた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そんなわけで、ぼくは<strong>アヌーク・エーメ</strong>と聞いただけで、なんだかドキドキしてしまうのだが、その名前もまた独特の響きを持っている。アヌークとはアンナの愛称形だが、これは芸名。彼女は14歳のときにパリでスカウトされ、端役ではあるが<strong>アンリ・カレフ</strong>の監督作品『密会』(1947年)で女優デビュー。彼女の演じた少女の名前がアヌークで、それをそのまま芸名にした。姓のエーメは、彼女にとって出演２作目にあたる、<strong>アンドレ・カイヤット</strong>の監督作『火の接吻』(1949年)の脚本を手がけた、<strong>ジャック・プレヴェール</strong>によって名づけられた。ちなみにプレヴェールは、ジャズ・スタンダーズとしてもおなじみのシャンソン「枯葉」の作詞をしたひとだ。彼の詩に<strong>ジョゼフ・コズマ</strong>が曲をつけ、あの名曲が生まれたのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ということで、<strong>アヌーク・エーメ</strong>の本名は、<strong>フランソワーズ・ソーリャ・ドレフュス</strong>という。ドレフュスはユダヤ系の姓だが、1932年４月27日パリで生まれた彼女の両親は、ともにユダヤ系の舞台俳優だった。そんな両親の影響で、彼女はダンスや演劇のレッスンを受けはじめる。ナチス・ドイツによるフランス占領期には、ユダヤ人迫害を避けるため、母親の姓であるデュランを名乗っていたこともあるという。さらなる私生活でのエピソードとしては、彼女が４度の結婚と離婚を経験していることが有名。17歳のときに一般男性と結婚したが、その後はギリシャの映画監督<strong>ニコ・パパタキス</strong>、音楽家で俳優の<strong>ピエール・バルー</strong>、イギリスの俳優<strong>アルバート・フィニー</strong>といった有名人と、結婚と離婚を繰り返した。ひとり娘の<strong>マヌエラ・パパタキス</strong>は、俳優である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　たわいのないハナシまで織り交ぜて、すっかり<strong>アヌーク・エーメ</strong>のことばかり語ってしまったが、せっかくなので<strong>ジャン＝ルイ・トランティニャン</strong>についても、ぼくなりの思い入れを述べておこう。特別に意識したわけでもないのに、ぼくはなぜか彼の出演作品をけっこう観ている。たぶんたまたま、彼がぼくの好きなタイプの映画、好きな監督作品に出演していることが、ままあるからだろう。たとえば彼は、フランスの漫画家、<strong>エンキ・ビラル</strong>が監督を務めた『バンカー・パレス・ホテル』(1989年)『ティコ・ムーン』(1997年)といった２本のSF作品に出演していたりする。一見温厚に見えて、どこか鋭い知性や高度な知識を秘めていそうな彼のたたずまいが、作品のムードによく合っている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">映像と音楽にこだわりをもつフランスの異才、クロード・ルルーシュ</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ぼくのもっとも好きな<strong>ジャン＝ルイ・トランティニャン</strong>は、<strong>ジャック・ドレー</strong>の監督作品『フリック・ストーリー』(1975年)に登場する凶悪犯<strong>エミール・ビュイッソン</strong>を演じたとき。若いころの彼は、クライム作品にもよく出演していた。実はこの作品、<strong>アラン・ドロン</strong>演じる刑事、<strong>ロジェ・ボルニッシュ</strong>の自伝を原作としている。36件の殺人を犯したフランス犯罪史上もっとも兇悪なギャング、ビュイッソンもまた実在の人物。ポリス・アクションとしても楽しめるが、なんといっても終盤のレストランのシーンがいい。ボルニッシュの婚約者、カトリーヌ(<strong>クローディーヌ・オージェ</strong>)がピアノで<strong>エディット・ピアフ</strong>のヒット曲「バラ色の人生」を奏でるのを聴き、冷酷無比なビュイッソンの冷たいまなざしに一瞬温かさが閃く。このときのトランティニャンは最高だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところで、映画『男と女 人生最良の日々』だが、監督を務めたのは<strong>クロード・ルルーシュ</strong>である。ぼくにとっては、フランスの映画監督のなかで、もっとも敬愛するひとだ。いまでさえ彼はフランスではもちろん、世界でも指折りの映画監督として知られているが、過去に不遇の日々を送っていたこともある。あのカイエ・デュ・シネマ誌にけちょんけちょんに酷評されたり、長いあいだ体制派というレッテルを貼られたり、なかなか正当な評価を得ることができなかった。まあ、ぼくはそういったことを本質から外れたことと思っているので、実はどうでもよかったりする。ぼくは彼の撮る映像が好きだし、彼の語る人生観にしごく共感を覚える──それがまぎれもない、ぼくのなかの真実なのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　大人になってから『行きずりの二人』(1964年)『女を引き裂く』(1964年)『女と拳銃』(1964年)といった、ルルーシュの初期の作品を観たのだけれど、やはりどれもよかった。まだ味わいに深みがないが、ストーリーラインや映像はスタイリッシュに感じられた。彼は当時、スコピトンと呼ばれる映像が映るジュークボックスで流す、曲とイメージを統合したショートフィルムの監督もやっていた。つまり彼は、いまで云うところのミュージック・ビデオの監督だったわけだ。その点、日本の映像作家でいうと、多数のミュージック・ビデオを手がけている<strong>岩井俊二</strong>のようなタイプの監督である。ルルーシュは、これまたぼくの大好きな日本映画の巨匠、<strong>市川崑</strong>から影響を受けているのだけれど、岩井さんも市川監督に対しリスペクトを示していて、実に面白い。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-5626 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/racincar.png" alt="映画館のスクリーンに映るレーシングカー" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/racincar.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/racincar-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　いずれにしても、ルルーシュは稀代のヴィジュアリストであり、優れたミュージック・スーパーヴァイザーでもあるのだ。だからルルーシュ作品では、常に映像と音楽とのマッチングが抜群にいい。換言すれば、彼がクリエイトした映像作品においては十中八九、音楽がその重要なファクターとなっているのである。おそらくルルーシュは、作曲家の起用には独自のこだわりをもっていて、ひょっとするとフィルム・スコアに関しても注文から主張、さらには批評に至るまで、なにかとうるさいのではないだろうか。そんな意地悪な想像をしたくなるくらい、ルルーシュ作品の音楽は素晴らしい。1992年にフランスのソニー・ミュージックから『<em>クロード・ルルーシュ監督作品集</em>』というコンピ盤がリリースされたが、このCDはまさにそのことを裏づけるものである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そんなルルーシュは、86歳にして現在も映画製作に余念がない。今年の11月に最新作『フィナルマン(原題)』(2024年)の公開が控えている。タイトルの“Finalement”とはフランス語で「要するに」とか「結局のところ」といった意味。いかにもルルーシュらしい、なんとも含蓄のあるタイトルではないか。気になるストーリーは「虚言を弄することができない」という障害を抱えた辣腕弁護士の男が、自転車でフランスを横断するロードトリップに出るというもの。男は旅の途中で、妻以外の女性と恋に落ちる。そしてトランペットを演奏することに、本来自分がもつ情熱を発見する──。主人公の人生が予期せぬ方向に進行するというところもまた、まことにルルーシュ作品らしい。ぜひとも、日本でも公開してほしいものである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それはさておき、映画『男と女 人生最良の日々』は、ルルーシュの出世作『男と女』(1966年)の続編である。正確には、間に『男と女II』(1986年)が製作されているので続々編というべきなのだろうが、いずれにしても『男と女』の物語に端を発する53年後のエピソードが語られたもの。正編、そしてその20年後が描かれた『男と女II』とあわせると、シークエル３部作ということになる。ちなみに『続・男と女』(1977年)という映画もあるが、これは実質的には『男と女』のリメイク作品。ストーリーラインはそのままだが、舞台はパリからアリゾナに移され、いわゆる西部劇に仕上げられている。ルルーシュにとっては、はじめてのアメリカ資本作品でもある。むろん、上記の３部作と直接的な繋がりはない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　もちろん３部作すべてにおいて、アンヌは<strong>アヌーク・エーメ</strong>が、ジャン・ルイは<strong>ジャン＝ルイ・トランティニャン</strong>が、それぞれ演じている。３本とも独立した作品として鑑賞しても楽しめるが、製作順に観たほうがより趣きが深くなるので、ぜひとも『男と女』『男と女II』『男と女 人生最良の日々』というふうに、ご賞味あれ。未見であれば、なによりもまず『男と女』だけでも観ていただきたいもの。1966年５月、第19回カンヌ国際映画祭において、パルム・ドールを受賞。1967年４月には、第39回アカデミー賞において、アカデミー外国語映画賞を獲得した名作である。処女長編をカイエ・デュ・シネマ誌に、散々こき下ろされてから６年──。この自主制作映画においてルルーシュは、だれもが予想だにしなかった快挙を成し遂げたのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">稀代の天才メロディメーカー、フランシス・レイの出世作</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　映画『男と女』は、映画のスタントマンの夫(<strong>ピエール・バルー</strong>)を事故で亡くしたスクリプト・ガールのアンヌと、妻を自殺で亡くしたレーシングドライヴァーのジャン・ルイとの出逢い、愛情の芽生え、恋愛の進展と停滞が、あっさりと描かれている。ストーリーは至ってシンプルだが、その軽やかで洒落た感じの映像と音楽との連続、そして洗練された巧みな心理描写が、まさにルルーシュならでは。アンヌにはフランソワーズという娘が、ジャン・ルイにはアントワーヌという息子がいる。幼い子どもたちは、おなじ寄宿学校に通っている。互いに失ったパートナーのことを引きずりながらも、アンヌとジャン・ルイは子どもたちを交えて幸せなひとときを過ごすのだけれど、このシーンがぼくは大好きだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　アンヌが子供たちと砂浜で遊んでいるところに、あとから迎えにきたジャン・ルイが海岸の手まえにクルマで乗りつけるのだが、彼は降車してからすぐに歩き出さず、まずは３人に向かってヘッドライトを点滅させるのだ。駆け寄る４人、そしてひしと抱き合うアンヌとジャン・ルイ。その後４人はカモメの群れが乱舞する浜の水際を散歩する。そしてバックには、あの有名な「<span class="marker-blue">♪ダバダバダ ダバダバダ</span>」というスキャットの曲が流れている。どうでもいいことかもしれないが、あれは正確には「<span class="marker-blue">♪バダバダダ ダダダダ</span>」と歌われている。とにもかくにも、軽妙洒脱な演出である。そこへもってきて、“ノルマンディー海岸の女王”と称えらるカルヴァドス県の小さな港町、ドーヴィルの冬景色があまりにも美しい。まさに名場面。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　このような展開は、忌憚なく云えば、恋愛映画では本来ありきたりのシテュエーションだ。しかし、どんなにありふれた状況であっても、そこになんともお洒落な雰囲気を醸成してしまうところが、ルルーシュ・マジック。そして、そのシーンにさらなる情趣や真実味を加えるばかりでなく、映画を観るひとの感情を甘美で恍惚とした気分に誘導するような効果をもたらすのが、音楽である。作曲しているのは、ニース出身のコンポーザー、<strong>フランシス・レイ</strong>(1932年４月26日 &#8211; 2018年11月７日)。ぼくにとっては、<strong>ミシェル・ルグラン</strong>と並んでもっとも影響を受けたフランスの映画音楽作家ということになる。レイにとって『男と女』の音楽は、盟友であるルルーシュとのコンビによる第１作であり、その才能を世界に知らしめた出世作でもある。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-5627 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/streetmusician.png" alt="映画館のスクリーンに映るアコーディオン奏者" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/streetmusician.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/07/streetmusician-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　あらためて、前述の『<em>クロード・ルルーシュ監督作品集</em>』に収録されている曲を観てみると、<strong>モーリス・ラヴェル</strong>の「ボレロ」(1981年『愛と哀しみのボレロ』より)ルグランの「ムーヴメント・コンチェルト」(1985年『遠い日の家族』より)、ピアニストの<strong>エリック・ベルショ</strong>の「もっと時間を」(1990年『夏の月夜は御用心』より)といった３曲以外、なんと11曲がレイの手がけた楽曲だった。ルルーシュがレイに絶対の信頼を寄せているのが、よくわかる。そんなレイ、もともとはアコーディオン奏者だったのだが、実は楽譜を読むことも書くこともできないのだ。それでも創出される曲はいつも流麗な旋律をもっているから、レイは稀代の天才メロディメーカーと云うことができる。フランスの香りが漂う哀愁を帯びた曲調は、他の追随を許さない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それゆえ当然のごとく、レイが生み出した数々の名曲のオーケストレーションは、本人のペンによるものではない。多くの作品は、作編曲家の<strong>クリスチャン・ゴベール</strong>がアレンジを担当している。誰もが一度は聴いたことがあるであろう『パリのめぐり逢い』(1967年)『白い恋人たち』(1968年)『ある愛の詩』(1970年)などのチャーミングなサウンドは、ゴベールが手がけたものだ。あとレイは、ルグランと『愛と哀しみのボレロ』で１度だけ、アレンジャーの<strong>ジャン・ムジー</strong>とは何度かコンビを組んでいる。この『男と女』では、40年にわたりシャンソン歌手<strong>クロード・ヌガロ</strong>のアカンパニストを務めたジャズ・ピアニスト、<strong>モーリス・ヴァンデール</strong>と、<strong>アンリ・サルヴァドール</strong>や<strong>シャルル・アズナヴール</strong>のオーケストレーションを担当したジャズ・トランペッター、<strong>イヴァン・ジュリアン</strong>がアレンジを手がけている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　サウンドトラック・アルバムは、世界中でリリースされLPとCDをあわせると130種類もあるという。現在では、外観も内容もオリジナルのフランス盤の仕様に準拠したものが主流だろう。オープニングの「男と女」は、前述の「<span class="marker-blue">♪ダバダバダ ダバダバダ</span>」であまりにも有名な(４拍子と２拍子の)混合拍子の曲。オルガンを主軸に据えたインストゥルメンタルだが、<strong>ニコール・クロワジール</strong>と<strong>ピエール・バルー</strong>とによるスキャットも入る。アレンジはヴァンデールによる。バルーはこの映画で、歌手、作詞家、俳優と、大活躍である。２曲目は<strong>ヴィニシウス・ヂ・モライス</strong>と<strong>バーデン・パウエル</strong>が作曲した「男と女のサンバ(サンバ・サラヴァ)」で、バルーが自作のフランス語の歌詞で歌う、小粋なフレンチ・ボッサだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　３曲目の「今日、あなたが」では、クロワジールのヴォーカルがフィーチュアされた洗練されたナンバー。バックのピアノ・トリオ＋ギターもクール。４曲目は「男と女」のヴォーカル・ヴァージョン。当然、クロワジールとバルーとのデュエットで歌われる。５曲目の「あらがえないもの」は、ジュリアンのオーケストラによるメランコリックな曲。トランペットによるテーマとトロンボーンによるサビがスウィート。弦と管による重奏も美しい。LPではここからB面──１曲目の「今日、あなたが」は、ジュリアンのオーケストラによるアクティヴなインスト。ティンパニによる連打、ストリングスによるメロディ、ブラスによるバッキングが爽快。２曲目の「僕らの陰に」は、バルーによる叙情的で厳かなシャンソン。ピアノとオルガンの音色も粛然とした空気を作り出している。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　３曲目の「あらがえないもの」は、ふたたびクロワジールとバルーとのデュエット。ふたりはピアノ・トリオ＋ギターをバックに、憂いに満ちたバラードを語りあうように歌いあげる。ラストの「時速200キロ」は、テーマ曲のアップテンポ・ヴァージョン。クロワジールとバルーとによるスキャットもやや軽快。こころなしか、ヴァンデールのピアノ演奏も跳ねているように聴こえる。まるで映画の終盤で、アンヌを追ってパリのサン・ラザール駅へとクルマを飛ばすジャン・ルイの逸る気持ちが伝わってくるようだ。このサントラ盤は、<strong>クロード・ルルーシュ</strong>が28歳にしてものした映像と音楽との融合美を、ストレートにリプレイするもの。それと同時に、<strong>アヌーク・エーメ</strong>と<strong>ジャン＝ルイ・トランティニャン</strong>が演じ切った、ある男と女の人生を追体験するものでもある。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p>最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
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<p></p>]]></content:encoded>
					
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		<title>Francis Lai &#038; Michel Legrand / Les Uns Et Les Autres (1981年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 24 May 2023 10:44:38 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Soundtrack]]></category>
		<category><![CDATA[Francis Lai]]></category>
		<category><![CDATA[Michel Legrand]]></category>
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					<description><![CDATA[人生の過酷さ、素晴らしさが描かれた名作『愛と哀しみのボレロ』について語る 目次 人生の過酷さ、素晴らしさが描かれた名作『愛と哀しみのボレロ』について語る忘れられないコトバ、忘れられない映画世界中のひとびとが、観て聴いて感 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">人生の過酷さ、素晴らしさが描かれた名作『愛と哀しみのボレロ』について語る</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Francis Lai &amp; Michel Legrand / Les Uns Et Les Autres (1981)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Pot Pourri</em></p>


</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-4" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-4">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">人生の過酷さ、素晴らしさが描かれた名作『愛と哀しみのボレロ』について語る</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">忘れられないコトバ、忘れられない映画</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">世界中のひとびとが、観て聴いて感動した！</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">レイとルグラン──最初で最後のコンビネーション</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">忘れられないコトバ、忘れられない映画</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>「人生には二つか三つの物語しかない。しかし、それは何度も繰り返されるのだ。その度ごとに初めてのような残酷さで」──なんとも、含蓄に富んだ云いまわしではないか。これは、アメリカの女流作家、<strong>ウィラ・キャザー</strong>(1873年 &#8211; 1947年)のコトバ。教師、雑誌の編集者、そして小説家と転身し『われらの一人』(1922年)で、ピュリッツァー賞を受賞している。まったく面目ないのだが、ぼくは、大学時代に英米文学を専攻していたのにもかかわらず、いまもって彼女の作品を一冊も読んだことがない。しかしながら、この一文は知っている。いや、忘れようにも忘れられない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ひとつのリズムをキープしながら、ふたつのメロディを何度も繰り返していく──これは、管弦楽の魔術師の異名をとるフランスの作曲家、<strong>モーリス・ラヴェル</strong>(1875年 &#8211; 1937年)によって作曲された、バレエ音楽「ボレロ」の独特な構成。おわかりのとおり、キャザーのことばと共通するのは、“繰り返す”ということ。あまつさえ、古代ローマの歴史家、<strong>クルティウス・ルフス</strong>の有名なことばに「歴史は繰り返す」というのがある。ひとの物語は、繰り返す。人生は、さながらボレロのようなもの。なぜなら、時代が移ろうとも、人間の本質は変わらないからだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　さて、ぼくがキャザーのコトバを強くこころに留めているのは、もうお気づきであろう、フランスの映画『愛と哀しみのボレロ』(1981年)の冒頭で、それが引用されているから。そしてバックには、いわくありげにラヴェルの「ボレロ」が──。1930年代から1980年代にわたり、パリ、ニューヨーク、モスクワ、ベルリンを中心に、第二次世界大戦に翻弄された、二世代四つの家族の人生が交錯する群像劇。ちなみにこの映画は、群像劇のいくつかのパターンのなかでも、特に“より縄形式”の代表的作品として引き合いに出されることが多い。つまり、クライマックスで登場人物たちが集結し、ふたたび「ボレロ」──という結び方だね。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1587 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet-500x375.png" alt="バレリーナ" width="400" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet-500x375.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet-300x225.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet-768x576.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet-800x600.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet-1536x1152.png 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/ballet.png 2000w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></p>
<p>　一応お断りしておくけれど、これはネタバレではないので、ご安心あれ。この映画は結末の意外性をねらったものではないので──というか、<strong>モーリス・ベジャール</strong>(1927年 &#8211; 2007年)の振り付けと、<strong>ジョルジュ・ドン</strong>(1947年 &#8211; 1992年)のパフォーマンスが、あまりにも有名過ぎて、そんなことは杞憂に過ぎないか。それはともかく『愛と哀しみのボレロ』という邦題──まったく上手いタイトルを考えたものだ。原題は『Les Uns Et Les Autres』という。フランス語で「お互いに」という意味。いかにもフランス映画っぽいタイトルだね。因果はめぐる糸車──この世界では、たとえ別々の出来事であっても、実はすべて互いに連関しあっている──ということだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　監督は『男と女』(1966年)で有名な<strong>クロード・ルルーシュ</strong>。ぼくにとって、フランス映画では、もっとも好きな監督だ。いわゆるヌーヴェルヴァーグの作家とは、ちょっと違う感じがする。スタイリッシュな映像テクニックも然ることながら、人生の過酷さや素晴らしさを描かせたら、ダントツ。それもどこか、ファンタジックで寓話的なところがいい。無邪気に過ごした楽しい日々──成長したことで二度と戻ることのできないあのころ──人生を懐かしむような感覚が、より際立つ。『愛と哀しみのボレロ』は、中学生のころ友だちと中野の名画座で観た。なぜか<strong>スタンリー・キューブリック</strong>監督の『博士の異常な愛情』(1964年)と二本立てだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">世界中のひとびとが、観て聴いて感動した！</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　しばしば、この『愛と哀しみのボレロ』について、思慮が浅く拍子抜けする──という、批判の声を聞く。でも、ぼくはそれは違うと思う。ルルーシュは、パリのユダヤ系アルジェリア人の家庭に生まれた。ご承知のとおり、アルジェリアは当時フランスの植民地だった。そういう因縁因果を背負っているからか、彼のいくつかの作品には、国家ぐるみの組織的迫害に対する批判が、垣間見られる。しかしながら、それは決して写実的に描こうとはされていない。彼はピュアな映像作家であるとともに、巧みな物語作家であり、単純に観客を楽しませるひと。つまり、その作品は極上のエンターテインメントなのだ。そこが、素晴らしい！</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　それにしても、あのころのぼくは若かった。上映時間は、二本合わせて４時間半以上。よく観たね。いまとなっては、かつての映画少年に、そんな体力も集中力も、まったくないのである。ちなみに『愛と哀しみのボレロ』は上映時間が185分と、もともと長尺の作品だが、本国でのテレビ放送用の完全版というのが存在する。なんと263分のロング・ヴァージョンで、ぼくはLDを所有しているのだが、プレイヤーが故障したままで現在鑑賞不可能。まあそれだけ好きな作品なのだけれど、はじめて劇場で観たときは、あんぐり口をあけるばかりだったな(観る度ごとに強く惹かれていった)。ただ、音楽はすぐに好きになった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　サントラ盤は、何種類かある。まずはレコード。もっともポピュラーなのは二枚組LPで、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、スカンディナヴィア諸国、カナダ、ブラジル、韓国、そして日本──と、世界中で発売された(ぼくもすかさず購入した)。世界中のひとびとが、観て聴いて感動したのだ！日本ではワーナー・パイオニア(現在のワーナーミュージック・ジャパン)がリリース。なぜか『<em>ママの想い出/“愛と哀しみのボレロ”メイン・テーマ</em>』というヴォーカル曲のシングル盤も発売された。この選曲には疑問を覚えるが、ご愛嬌ということで──。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1588 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/s-band-500x198.png" alt="小編成のバンド" width="758" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/s-band-500x198.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/s-band-300x119.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/s-band-768x304.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/s-band-800x317.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/s-band.png 1504w" sizes="(max-width: 758px) 100vw, 758px" /></p>
<p>　面白いのは、アメリカとイギリスのみでリリースされたもの。一枚のLPにコンパクトにまとめられていながら、<strong>ジャッキー・ワード</strong>(別名<strong>ロビン・ワード</strong>)の歌唱曲が２曲も収録されている。いくら彼女が元オールディーズで人気を博したシンガーとはいえ、これはちょっと露骨過ぎる。ちなみに、このポリドール盤のタイトルは『<em>BOLERO</em>』となっている。苦笑を禁じ得ないが、これくらいで<ruby>矛<rt>ほこ</rt></ruby>を収めておこう。スゴイのは、フランスで限定発売された三枚組BOXセット。オリジナル曲に加えて、効果的に使用されたクラシック曲まで収録されている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　いっぽうCDといえば、1988年にRCAからリリースされたフランス盤(1983年のヨーロッパ盤と同一内容)が一般的。前述の二枚組LPから「サラのセレナーデ」のヴォーカル・ヴァージョンとアップテンポ・ヴァージョン、それに「色褪せたポット」がオミットされ、逆に「愛と哀しみのボレロ」のヴァイオリン＆アコーディオン・ヴァージョンが加えられた(後に2022年に公開40周年を記念した全18曲のエクスパンデッド盤も発売された)。おすすめは、上記の三枚組BOXセットから、クラシック曲を除くすべての楽曲が収録された二枚組CD。1994年に大阪のサウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーションズがリリースした(流石！)。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ちなみに、CDに収録されなかったクラシック曲の内訳は、ベートーヴェン作曲「ピアノソナタ第14番嬰ハ短調 第１楽章/月光の曲」、ショパン作曲「マズルカ第17番 変ロ短調(作品24-4)」、ベートーヴェン作曲「交響曲第７番イ長調 第４楽章」、ブラームス作曲「交響曲第１番ハ短調 第１楽章」、リスト作曲「交響詩 前奏曲(レ・プレリュード)」の５曲。まあ、以上の曲は未収録とはいえ、SLCの二枚組CDは、オリジナル曲をすべて収めた世界初の完全盤であり、作品世界を俯瞰することができる決定版と云える。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">レイとルグラン──最初で最後のコンビネーション</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところで、音楽のほとんどを作曲したのは、ルルーシュ監督とコンビを組むことが多い、<strong>フランシス・レイ</strong>(1932 &#8211; 2018年)。彼はアコーディオンを弾くが、楽譜を読むことも書くこともできない作曲家として有名だ。ハナウタを歌ったり、口笛を吹いたりしていたら、その才能を見出されたという。彼の作る曲はいつも流麗な旋律をもっているから、レイは希代の天才メロディメーカーと云うことができる。これは余談だが、ぼくもよく昼寝しながらメロディを口ずさんで作曲していた。あとで譜面起こしには、ピアノを使っていたけれど──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ということで当然のごとく、レイが生み出した数々の名曲のオーケストレーションは、本人のペンによるものではない。多くの作品は、作編曲家の<strong>クリスチャン・ゴベール</strong>がアレンジを担当している。誰もが一度は聴いたことがあるであろう『<em>パリのめぐり逢い</em>』(1967年)『<em>白い恋人たち</em>』(1968年)『<em>ある愛の詩</em>』(1970年)などのチャーミングなサウンドは、ゴベールが手がけたものだ。ちなみに、前述のシングルカットされた「“愛と哀しみのボレロ”メイン・テーマ」のリズム・アレンジも彼の手による。あとは、いっとき<strong>大貫妙子</strong>の作品のオーケストレーションを担当していた、アレンジャーの<strong>ジャン・ムジー</strong>もレイと何度かコンビを組んでいる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ところが、レイが『<em>愛と哀しみのボレロ</em>』でコンビを組んだのはゴベールではなく、アカデミー歌曲賞を三回、グラミー賞を五回受賞する作編曲家であり、ジャズ・ピアニストでもある<strong>ミシェル・ルグラン</strong>(1932年 &#8211; 2019年)。これが最初で最後のコンビネーションになる。この作品で彼は、おもにアレンジャーとミュージカル・ディレクターを務めている(レコーディングにはシンガーとしても参加)。そのスコアは、クラシカルでありながらポップ、そしてジャジー。オーケストレーションはいつもどおり華美を極めているが、決して乱脈を極めることもなく心地好く響く。というよりは、音楽だけでも映画の感動がふたたび喚起される。本作はミュージカルの要素を多く含むが、その点、ルグランの貢献度は高い。彼の起用は大正解だ。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1589 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-500x498.png" alt="エッフェル塔と凱旋門" width="301" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-500x498.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-300x299.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-768x765.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-800x797.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-1536x1531.png 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-100x100.png 100w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris-150x150.png 150w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/05/paris.png 2000w" sizes="(max-width: 301px) 100vw, 301px" /></p>
<p>　楽曲の作詞では、フランス語の歌詞を<strong>ボリス・ベルグマン</strong>と<strong>ピエール・バルー</strong>が、英詞を<strong>アラン＆マリリン・バーグマン</strong>夫妻が、それぞれ担当している。シンガーは、あの「男と女」を歌った<strong>ニコル・クロワジール</strong>、ジャズ・シンガーの<strong>カトリーヌ・リュッセル</strong>、女優の<strong>ジネット・ガルサン</strong>、日本で『<em>パリのカフェから</em>』(2000年)というアルバムをリリースしたこともある<strong>リリアン・デイヴィス</strong>、ルグランに見出された<strong>ジャン・ピエール・サヴェッリ</strong>、ルグランの姉である<strong>クリスチャンヌ・ルグラン</strong>、そして<strong>ジャッキー・ワード</strong>──と、超豪華。なお、レイとルグランも歌っている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　最初に述べたとおり、映画のストーリーは、四カ国を舞台に、二世代四つの家族の人生が交錯する──というものなので、サウンドトラックのほうも様々なジャンルの音楽が盛り込まれている。つまり、レイとルグランが作ったいくつかのライトモティーフを、色とりどりのアレンジで味わわせてくれるのだ。しかも、ときには複数のモティーフがポリフォニックに展開されたりする。その内容たるや、シンフォニック、モダンダンス、スウィング・ジャズ、ラウンジ・ミュージック、さらに時代を超えてクロスオーヴァー、アダルト・コンテンポラリーなど、ジャンルは多岐にわたり、ひとつのテーマが多角的に捉えられている。ホント、これほど贅が尽くされた熱いサントラには、なかなかお目にかかることができない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　最後におすすめの曲を──やはりまずはオープニングの「フォリー・ベルジェール」か。軽快なタップスの音色からはじまる、キャバレーでのパフォーマンスに華を添えるミュージカル・ナンバー。バックでよく動くストリングスと転拍子が、いかにもルグランらしい。この曲をラウンジ風にアレンジした「占領下のパリ」は、<strong>リリアン・デイヴィス</strong>のファルセット・ヴォイスがやたら可憐。彼女はルルーシュ＆レイの『男と女II』(1986年)でも、やはり愛らしかった。さらに、ポリメトリックなシンフォニック・ジャズ「舞踏黙示録」、ビッグ・バンド・サウンドが全開する「サラのセレナーデ」(アップテンポ・ヴァージョン)、すべての楽曲をメドレーにした「色褪せたポット」あたりが、ぼくの好み。ぜひ、ご賞味あれ。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p>最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
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