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	<title>Eumir Deodato | 気ままに音楽生活</title>
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	<description>いささか気ままに──ではありますが　素敵な音楽をご紹介してまいりますので　どうぞよろしくお願いいたします</description>
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	<title>Eumir Deodato | 気ままに音楽生活</title>
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	<item>
		<title>Luiz Bonfa &#038; Eumir Deodato / The Gentle Rain (1965年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 25 May 2025 06:58:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Soundtrack]]></category>
		<category><![CDATA[Eumir Deodato]]></category>
		<category><![CDATA[Luiz Bonfa]]></category>
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					<description><![CDATA[ルイス・ボンファとエウミール・デオダートとのコラボレーションが生んだ珠玉のブラジル音楽集──映画『ザ・ジェントル・レイン』のサウンドトラック・アルバム]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">ルイス・ボンファとエウミール・デオダートとのコラボレーションが生んだ珠玉のブラジル音楽集──映画『ザ・ジェントル・レイン』のサウンドトラック・アルバム</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p><img decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Luiz Bonfa &amp; Eumir Deodato / The Gentle Rain (1965)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : The Gentle Rain (Major Key)</em></p>
</div>
</div>

  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-2" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-2">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">ルイス・ボンファとエウミール・デオダートとのコラボレーションが生んだ珠玉のブラジル音楽集──映画『ザ・ジェントル・レイン』のサウンドトラック・アルバム</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">映画本編よりも音楽のほうが奇跡的な『黒いオルフェ』</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">ルイス・ボンファとは？映画『ザ・ジェントル・レイン』とは？</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">“デオダート・オーケストラ・フィーチュアリング・ボンファ”</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">映画本編よりも音楽のほうが奇跡的な『黒いオルフェ』</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　初夏の風を心地よく感じるような、それでいて日中は少し動くとすぐに汗ばむような時季だからだろう、自分でも気がつかぬうちに、ついつい涼感を誘う音楽を求めてしまう今日このごろである。前回も涼味満点の<strong>アントニオ・カルロス・ジョビン</strong>の不朽の名作『<em>波</em>』(1967年)をご紹介した。その際チラッとだけれど、ジョビンが音楽を手がけた映画『黒いオルフェ』(1959年)に触れた。映画はジョビン同様ボサノヴァのオリジネーターである、<strong>ヴィニシウス・ジ・モライス</strong>が執筆した1956年の前衛的な舞台劇『オルフェウ・ダ・コンセイサゥン』を映画化したもの。映画はフランス、ブラジル、イタリアの合作だが、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを、アカデミー賞では外国語映画賞を受賞している。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ただ映画を観た原作者のモライスは「これは自分の作品ではない」と、否定的な感想を率直に述べている。映画の出来不出来はともかく、この映画のサウンドトラック・アルバムは実に素晴らしい。ジョビンはブラジルの伝統的なフォルクローレを織り交ぜながら、ヴィヴィッドなサンバ・ジ・エンヘードをクリエイトしている。そこはかとなく哀愁を帯びた「フレヴォ」や、郷愁を誘うような「カルナヴァルのサンバ」は名曲だ。またジョビンは、モライスが作詞した「フェリシダージ」(邦題は「悲しみよさようなら」)という、ボサノヴァ・ソングの流れを汲むサウダージ感覚に溢れた美しい曲も書いている。彼はこの曲を、自身のセカンド・アルバム『<em>ワンダフル・ワールド</em>』(1965年)において、セルフ・カヴァーしている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　有名なギリシャ神話であるオルフェウス伝説を、物語の舞台を1950年代後半のブラジル、リオデジャネイロに置き換えて描くという、モライスの大胆な着想によって創出された戯曲は、いかにもヌーヴェルヴァーグの鬼才、<strong>マルセル・カミュ</strong>監督が飛びつきそうな題材だ。カーニヴァルを翌日に控えるリオデジャネイロにおいて、市電の運転士オルフェ(ブレノ・メロ)は田舎から出て来た少女ユリディス(マルペッサ・ドーン)と出会う。オルフェにはすでに婚約者がいるのだが、彼とユリディスとはともにカーニヴァルの練習に取り組むうちに恋に落ちてしまう──。この物語の主な舞台となるのはリオデジャネイロ市内のファヴェーラ(スラム街)だが、撮影は1958年のリオのカーニヴァルを中心にオールロケで行われた。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter wp-image-7249 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain1.png" alt="雨の中に傘を持って佇む赤いレインコートの女性とギター" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain1.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain1-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　この映画にぼくはそれほど思い入れがあるわけではないけれど、ギリシャ神話をベースにしたストーリーラインとカーニヴァルの熱気と狂騒とのマッチングがすこぶるいいのには、ちょっと驚かされた。サウンドトラック・アルバムには、リオデジャネイロの街とそこに生きるひとびとの活気、そしてこのオハナシが醸し出す甘美なまでに形而上学的な雰囲気が、そっくり詰め込まれている。そういう意味では、映画本編よりも音楽のほうが奇跡的である。なおこのサウンドトラックには、こんな逸話がある。オルフェ役のメロのプレイバックシンガーに、当初ボサノヴァの神さま、<strong>ジョアン・ジルベルト</strong>が名乗りを上げていた。ところが声色がアフリカ系ブラジル人らしくないということから、彼が採用されることはなかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　結局、メロの吹き替え歌手は、サンパウロ出身のシンガーソングライター、<strong>アゴスチーニョ・ドス・サントス</strong>が務めた。サントスは1962年11月21日、ニューヨークのカーネギー・ホールで開催された、伝説のボサノヴァ・コンサートにも出演したひと。いっぽう不採用となったジルベルトは、まるで一矢報いるかのごとく『黒いオルフェ』の劇中歌のレコーディングに臨んだ。具体的には「フェリシダージ」「オルフェの歌」「カルナヴァルのサンバ」「フレヴォ」といった４曲だが、吹き込みはオデオン・レコードによって１枚のシングル・レコードとしてリリースされた。ジルベルトのソフトなウィスパーヴォイスはなんとも味わい深いのだが、オルフェの歌声としてアテるにはいくらなんでも軽すぎる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ただ純然たる音楽として楽しむのなら、ジルベルトのカヴァーはサウダージ感覚に溢れた極上のヴァージョンと云える。このEP盤は非常に貴重で入手が困難だったが、2010年に英国のチェリー・レッド・レコードがジルベルトのファースト・アルバム『<em>想いあふれて</em>』(1959年)をCD化する際に、ボーナス・トラックとして「フレヴォ」を除く３曲をアルバムに追加収録した。ぼくの場合もいまでは、原曲よりもジルベルトのヴァージョンを聴く機会のほうがすっかり多くなっている。むろん一部に愁いを帯びたソフィスティケーテッドな楽曲を含むものの、総じてブラジル音楽がもつ野性的で素朴なサウンドがダイナミックに展開される映画『黒いオルフェ』のサウンドトラック・アルバムは、いまも非凡な輝きを放っている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　この映画の音楽のほとんどはジョビンのペンによるものだが、<strong>アゴスチーニョ・ドス・サントス</strong>、<strong>エリゼッチ・カルドーゾ</strong>の歌唱、あるいはアコースティック・ギターのソロ演奏などで、劇中繰り返し登場する「オルフェの歌」は彼の曲ではない。この曲を映画の主題歌と観ても差し支えないと思われるのだが、実際「オルフェの歌」は「カーニバルの朝」や「黒いオルフェ」という別タイトルでも親しまれ、映画の楽曲のなかではもっとも広く知られたナンバーとなっている。なおユリディス役のドーンのプレイバックシンガーを務めたカルドーゾは、俗に“ボサノヴァ第１号”とされるジョビンとモライスとの共作「想いあふれて」をはじめてレコーディングしたシンガーとして知られる女性である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　この「オルフェの歌」は、作詞を<strong>アントニオ・マリア</strong>、作曲を<strong>ルイス・ボンファ</strong>が手がけた。ふたりはこの映画に陽気で躍動的な「オルフェのサンバ」という曲も提供している。ブラジル北東部の大都市レシフェ出身のマリアは、多くのポップ・ミュージックの作詞を手がけながら、ラジオのスポーツ番組でコメンテーターとしても活躍したという変わり種。かたやリオデジャネイロ出身のボンファは、ジャズやボサノヴァをプレイするギタリストで、そのリーダー作は50枚以上にも上る。特にボンファは技巧派のポリフォニック・スタイルのソロイストとして知られるが、メロディック・ラインをハーモナイズさせたりリードとリズムの両パートを同時に弾いたりするのが得意な、レジェンダリーなギタリストだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">ルイス・ボンファとは？映画『ザ・ジェントル・レイン』とは？</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　実はボンファは、前述のカーネギー・ホールのボサノヴァ・コンサートにも出演している。彼は1958年に活動の拠点をニューヨークに移し、その後ギタリストとして成功を収めるのだけれど、そのキャリアを世界的なものにした出来事といえば、やはり『黒いオルフェ』のサウンドトラックへの参加だろう。1962年のカーネギー・ホールでのコンサートにおいても、彼が演奏した「オルフェの歌」がハイライトとなった。なおコンサートに同行したサントスも、<strong>オスカー・カストロ・ネヴィス・クァルテット</strong>をバックにその美声をもってして「オルフェの歌」と「フェリシダージ」を披露した。その模様は、オーディオ・フィデリティ盤『<em>ボサノヴァ・アット・カーネギー・ホール</em>』(1963年)において聴くことができる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　いっぽうボンファのリーダー作といえば、クラブ・シーンにおいては欧米諸国、ブラジル、それに日本のアーティストたちによって、ヘヴィー・ローテーションのアイテム、あるいはサンプリングのネタとして重宝されているようだけれど、一般的な人気はいまひとつのように思われる。彼はリーダー作を1950年代半ばから1990年代初頭まで吹き込んでいるけれど、内容的には実にヴァラエティに富んでいる。なかには『<em>マンハッタン・ストラット</em>』(1997年)という、ニューヨークのファースト・コール・ミュージシャンたちと吹き込んだ、バリバリのフュージョン作品もある。1974年にレコーディングされていながらお蔵入りとなり、20余年のときを経て日の目を見た、都会的な雰囲気と爽快感のある佳作だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ボンファの音楽活動は、故郷のリオデジャネイロにおいて、がんにより78歳でこの世を去るまで、とどまるところを知らなかった。おそらく“次世代の<strong>エリゼッチ・カルドーゾ</strong>”の異名を取るブラジルの実力派女性シンガー、<strong>イタマーラ・コーラックス</strong>のブラジリアン・ミュージックからジャズ・スタンダーズまで採り上げたアルバム『<em>ラヴ・ダンス</em>』(2003年)あたりが、最晩年のレコーディングだろう。もともとサンバ・カンサゥン・スタイルのギタリストだったボンファは、ボサノヴァはもちろんのこと、クラシック、ジャズ、フュージョン、ソウル、ポップスなど、生涯にわたって様々なジャンルの音楽をプレイしたが、彼の奏でる音楽からはおしなべてブラジル音楽の風味が香る。そこがいい。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-7250 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain2.png" alt="雨の中に傘を持って佇む赤いレインコートの女性とピアノ" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain2.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain2-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　ただ『黒いオルフェ』の音楽でボンファが残した功績があまりにも偉大過ぎて、彼のことを語るときそればかりが取り沙汰されるものだから、ちょっとお気の毒にも思われる。あまり知られてはいないかもしれないが、実際ボンファは『黒いオルフェ』以外にも20本以上の映画の音楽を手がけているのだ。そこで今回、そのなかから選りすぐりの１枚をご紹介しようと思う。もちろんボンファが作曲と演奏を務めたサウンドトラック・アルバムだから、内容的にはブラジル音楽がベースとなっている。しかしながらこの映画のためにクリエイトされたサウンドは、リオデジャネイロのカルナヴァルをストレートにイメージさせる『黒いオルフェ』のそれとは一線を画すものである。そしてそれは、いま聴きたい涼感を誘う音楽でもある。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　この『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』(1965年)は、1966年に公開されたアメリカとブラジルとの合作映画のサウンドトラック・アルバムだ。映画は『殺人会社』(1960年)『機関銃を捨てろ』(1961年)などのギャング映画で知られる、<strong>バート・バラバン</strong>監督の作品。バラバンにとっては、遺作にあたる。彼はこの映画が公開される３か月まえに、がんでこの世を去った。主演は<strong>クリストファー・ジョージ</strong>と<strong>リンダ・デイ</strong>で、ふたりは本作ではじめて共演したのだけれど、1970年に結婚している。映画は主にブラジルで撮影されたようだが、リオデジャネイロで出会ったアメリカ人の若い男女の恋が静かな語り口で描かれている。自動車事故で恋人を失ったことがショックで<ruby>緘黙<rt>かんもく</rt></ruby>症となった建築家(ジョージ)と、人生への情熱を見つけるために異国の地を踏んだ女(デイ)との恋の行方が切なく綴られる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　利いた風な口をきいてしまったが、実はぼくはこの映画を観たことがない。それもそのはずで、本作は日本ではいまだに未公開のままなのだ。おそらく海の向こうで、すでに失敗作のレッテルを貼られてしまったからだろう。本作はフロリダ州のフォートローダーデールで行われたワールドプレミアでの評判があまり芳しくなく、アメリカでも一部の劇場で限定公開されるのみにとどまった。バラバン監督は、その演出において思慮深く理知的であると評価されるいっぽうで、作品には独自の視点がなく新鮮味がないという批判を浴びた。確かにシノプシスを読んだ限りでは、使い古された表現が頻繁に使われたメロドラマのようにも思われる。しかしながら、首尾一貫、美しさと口当たりのよさが継続するという見解もあるようだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　本編は未見だが、このサウンドトラック・アルバムを聴いていると、たとえストーリーは陳腐であってもこの映画、少なくとも醸し出す雰囲気はスタイリッシュなのではないか──と、ぼくは想像をめぐらしてしまう。それだけアルバム『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』は、素晴らしい出来なのである。正直に告白すると、エヴァーグリーンな名盤とはいえフォルクローレの色彩が強いせいか、ぼくは『<em>黒いオルフェ</em>』を差し置いて、ややもするとソフィスティケーテッドな印象を与える『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』のほうをターンテーブルにのせてしまう。さらに云うと、ボンファのコンポジションにおいても、名曲「オルフェの歌」よりもアクの抜けた感じの「ザ・ジェントル・レイン」(ポルトガル語のタイトルは「シュヴァ・デリカダ」)のほうが好みだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　いやいや、ボンファの作曲家としての手腕が発揮されたという点では、むしろこの『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』のほうが格段に優れているように思われる。その証拠に、このアルバムに収録されている「ザ・ジェントル・レイン」「ノンストップ・トゥ・ブラジル」「オ・ガンソ」は、“ボサノヴァの女王”の異名を取る<strong>アストラッド・ジルベルト</strong>のセカンド・アルバム『<em>いそしぎ</em>』(1965年)で早々とカヴァーされている。もともとインストゥルメンタルだった３曲だが、このとき「ザ・ジェントル・レイン」は<strong>マット・デュベイ</strong>によって、そして「ノンストップ・トゥ・ブラジル」はデュベイと<strong>ノーマン・ギンベル</strong>とによって歌詞が付けられた。ジルベルトのサッパリしたヴォーカルと<strong>ドン・セベスキー</strong>のモダンなアレンジがいい感じだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">“デオダート・オーケストラ・フィーチュアリング・ボンファ”</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　残りの「オ・ガンソ」は歌詞は付されておらず、ジルベルトならではのキュートなスキャットで歌われる。こちらはブラジリアン・レアグルーヴのレジェンダリー・キーボーディスト、<strong>ジョアン・ドナート</strong>がアレンジを手がけている。なおこのアルバムにおいてジルベルトは、さらに「オルフェの歌」とボンファの曲に彼の奥さまでシンガーの<strong>マリア・トレード</strong>が歌詞を付けた「トリステーザ(ブラジリアン・ブルース)」も歌っている。結局のところアルバム『<em>いそしぎ</em>』では、全11曲中５曲でボンファの曲がセレクトされているのである。こうなってくると、このアルバムがバラバン監督の映画とタイアップして制作されたのではと、ぼくは想像をたくましくするばかりだ。あいにく映画はヒットしなかったけれど──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　実はこの映画の楽曲が早い時期に採り上げられたアルバムが、もう１枚存在する。あの<strong>クインシー・ジョーンズ</strong>のポップなビッグ・バンド作品で、ジャズ・スタンダーズから<strong>バート・バカラック</strong>や<strong>ザ・ ローリング・ストーンズ</strong>の楽曲まで選曲された『<em>プレイズ・フォー・プッシーキャッツ</em>』(1965年)である。やはり「ザ・ジェントル・レイン」「ノンストップ・トゥ・ブラジル」の２曲がカヴァーされているのだが、どちらもポップ・スタイルのインストゥルメンタルとして気軽に楽しめる仕様となっている。ジョーンズはそのアレンジにおいて、原曲どおりボサノヴァ・テイストをちゃんと反映させながら、麗々しく捻りをきかせている。まあ、ぼくはどちらかというと、簡素な作りのオリジナル・ヴァージョンのほうが好みなのだけれど──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ジョーンズの『<em>プレイズ・フォー・プッシーキャッツ</em>』はマーキュリー・レコードからリリースされたアルバムだが、実は『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』もまた同レーベルの１枚。発表のタイミングにも留意すると、ほんとうにこの２枚が商業的な成果を上げるための提携作品だったと思えてくる。いずれにしても『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』は、単なるサントラ盤では終わらないアルバムである。プロデューサーを名曲「蜜の味」の作曲者として知られるピアニスト、<strong>ボビー・スコット</strong>が務めていることも目を引く。そして本作の最大の魅力は、オーケストラのアレンジとコンダクティングをのちにフュージョン・シーンを席巻するキーボーディスト、<strong>エウミール・デオダート</strong>が手がけていることだ(吹き込みはリオデジャネイロで行われた)。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-7251 size-full" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain3.png" alt="雨の中に傘を持って佇む赤いレインコートの女性" width="500" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain3.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2025/05/gentlerain3-300x180.png 300w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></p>
<p>　デオダートは1942年６月22日、リオデジャネイロの生まれ。郷里はおなじだけれど、ボンファのほうは1922年10月17日生まれ。年齢的には親子ほど離れている。さらには、デオダートが12歳でアコーディオン、14歳でピアノをはじめ、17歳にしてレコーディングを経験するという天才型ミュージシャンであるのに対し、ボンファは11歳からウルグアイ出身のクラシック・ギタリスト、<strong>イサイアス・サビオ</strong>に師事し、演奏技術の向上に粉骨砕身で取り組んだ、どちらかというと努力型のひと。世代も経歴もまったく違うふたりだが、本作では絶妙なコンビネーションを発揮している。デオダートはその後、1967年にリオからニューヨークに移住することになるが、彼をアメリカに呼び寄せたのはボンファだったという。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　デオダートは『<em>ザ・ジェントル・レイン</em>』のレコーディングに参加する直前まで、デビュー・アルバム『<em>無意味な風景</em>』(1964年)をはじめとするリーダー作や、“<strong>オス・ガトス</strong>”、“<strong>オス・カテドラーチコス</strong>”といったグループ名義の作品を立てつづけに制作している。まさにノリに乗っているときで、とにかくそのオーケストレーションは絶品である。ボンファのペンによるサウダージ感覚に溢れたメロディック・ラインも然ることながら、デオダートのオーケストレーションが織りなすアーバンなサウンド・タペストリーが素晴らしい。その点、このアルバムには、“<strong>エウミール・デオダート・オーケストラ・フィーチュアリング・ルイス・ボンファ</strong>”といった趣きがある。まあぼくもそれがお目当てで、本作を手にとったのだけれど──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　アルバムのオープニングを飾る「ザ・ジェントル・レイン」は、中間でオーケストラが挿入されるが、なんといってもボンファ・スタイルのメランコリックなつま弾きが圧倒的。澄み渡った空のように爽快な「オ・ガンソ」は、モダンなオーケストラル・チューン。エスプリの効いたサンバ「オープン・エア・マーケット」では、賑々しいドラミングが楽しい。グルーヴィーな「テイキング・ジュディ・ホーム」では、ストリングスの小刻みな動きがサッパリとした空気を生んでいる。オーケストラが全面的にフィーチュアされた「ビルズ・レター」では、アルバム中もっともエモーショナルでドラマティックな展開が見られる。寛いだ感じのボサノヴァ「イッツ・テンプティング」では、フルートのそつのないプレイがいい具合だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　軽快なサンバ「サタデイ・イン・リオ」では、前半のフルートとサックスとによる交互に奏でられるメロディ、中盤からの金管が加わったメトリック・モジュレーション、カルナヴァルの装い、後半のトロンボーンのソロといった、構成の妙が光る。ゆったりしたボサノヴァ「ノンストップ・トゥ・ブラジル」では、<strong>ヘンリー・マンシーニ</strong>風のオーケストレーションがエレガントな雰囲気を醸し出す。レコードでは、ここまでがA面である。２度目の「オ・ガンソ」は、コンボ・スタイルでの演奏。シロフォンとミュート・トロンボーンが茶目っけイッパイに歌う。ケレン味のないサンバ「コパ・ビーチ」では、その小気味いいグルーヴ感を楽しむのみ。つづく「ザ・ジェントル・レイン」と「ノン・ストップ・トゥ・ブラジル」はともに２度目の演奏だが、ボンファのギター演奏をたっぷり楽しむことができる。後者のストリングスにはやはりマンシーニの影がチラつく。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　寂寥感が漂う「プリーズ・ヘルプ・ミー・ワン・モア・タイム」では、ストリングスによるアンサンブルがちょっと<strong>レモ・ジャゾット</strong>の「アダージョ ト短調」を彷彿させる。ジャジーな「ジュディズ・ストーリー」は、<strong>クインシー・ジョーンズ楽団</strong>の演奏を想わせる。フルートのソロもなかなかいい。３度目の「ザ・ジェントル・レイン」もまた、ボンファのソロ演奏。短尺の「アクロス・ア・テーブル」では、ストリングスによるポルタメントを効かせた表現がブルージーなムードを高める。４度目の「ザ・ジェントル・レイン」では、キーがマイナーからメジャーに変更されている。ピアノ・ソロも含めて清涼感のあるアレンジが、ハッピー・エンディングを予感させる。以上17曲、尺はみな短めだが珠玉の名曲揃い。本作は、実に贅沢な味わいのサウンドトラック・アルバムだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
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</div>
<div class="speech-balloon has-border-color has-ex-a-border-color">
<p>最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
</div>
<p></p>]]></content:encoded>
					
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		<title>Eumir Deodato / Very Together (1976年)</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kimama]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 11 Jun 2023 09:00:10 +0000</pubDate>
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		<category><![CDATA[Eumir Deodato]]></category>
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					<description><![CDATA[クロスオーヴァー時代の大スター、エウミール・デオダート]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h2><span id="toc1">クロスオーヴァー時代の大スター、エウミール・デオダート</span></h2>

<div class="wp-block-cocoon-blocks-label-box-1 label-box block-box has-border-color has-ex-a-border-color">
<div class="label-box-label block-box-label box-label"><span class="label-box-label-text block-box-label-text box-label-text">recommendation</span></div>
<div class="label-box-content block-box-content box-content">
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-703 alignleft" style="margin-bottom: 0px;" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png" alt="" width="101" height="92" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-500x456.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records-300x274.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/02/records.png 640w" sizes="(max-width: 101px) 100vw, 101px" /><em>Album : Eumir Deodato / Very Together (1976)</em></p>
<p style="text-align: right;"><em>Today&#8217;s Tune : Amani</em></p>
</div>
</div>


  <div id="toc" class="toc tnt-disc toc-center tnt-disc border-element"><input type="checkbox" class="toc-checkbox" id="toc-checkbox-4" checked><label class="toc-title" for="toc-checkbox-4">目次</label>
    <div class="toc-content">
    <ol class="toc-list open"><li><a href="#toc1" tabindex="0">クロスオーヴァー時代の大スター、エウミール・デオダート</a><ol><li><a href="#toc2" tabindex="0">クロスオーヴァーとは、なんだろう？</a></li><li><a href="#toc3" tabindex="0">デオダートはどんな音楽家？</a></li><li><a href="#toc4" tabindex="0">MCA時代の作品がオススメ</a></li></ol></li></ol>
    </div>
  </div>

<h3><span id="toc2">クロスオーヴァーとは、なんだろう？</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ご存知のとおり、フュージョンは、音楽のジャンルとして類型化する以前は、クロスオーヴァーと呼ばれていた。1960年代の後半から1970年代の半ばくらいまでのことだったと記憶する。ぼくは、ほぼリアルタイムで、その過程を見聞している。年の離れた従兄からモダン・ジャズを指南されたのも、おなじころだった。ところが、ぼくがクロスオーヴァーに興味をもっていると知るやいなや、従兄はアニキカゼを吹かせて「あれは軟弱でダメだね」と、すげなくはねつけた。そして、まるで不甲斐ないものでも見るように、ぼくに<ruby>一瞥<rt>いちべつ</rt></ruby>を投げたのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　まあ、そんな状況でも、どちらかといえばコセコセしないコドモだったぼくは、口惜しがったりもせず「へえ、そういうものなのか。でも好きなんだもん」くらいに、軽く流していたな。でもそのいっぽうで、従兄の云うこともなんとなく理解した。モダン・ジャズでも、<strong>マイルス・デイヴィス</strong>が電気楽器を使ったり、ロックのリズムを採り入れたりしていたけれど、行き着くところ、その音楽の根幹をなすのは即興演奏。イージーリスニングでダンサブルな娯楽音楽とは、魂の入りかたが違うということなのだろう。確かにジャズ・スピリッツは素晴らしい！でも、それがすべてではない。このころから、ぼくはそう思っていたのだね。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ぼくは、音楽でいちばん大事なのは、明解であるか難解であるかの違いはあるにしても、ちゃんと心地よさを有する──ということだと思う。聴くにしても演るにしても、やはり気持ちよくならないとね──。そんな信条みたいなものが、小学校高学年のぼくにも、すでに芽生えていた。とはいっても、特別に早熟だったわけではなくて、単純に音楽が好きだったのね。勉強は全然できなかったけれど、ピアノのレッスンに行くのはとても楽しかった。あと、妹がヤマハの音楽教室でエレクトーンを習っていたのが、刺激になった。彼女は幼いころから、ロックやボサノヴァや映画音楽の名曲を弾いていたからね──。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1168 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/usa-500x325.png" alt="アメリカの国の形" width="462" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/usa-500x325.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/usa-300x195.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/usa-768x499.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/usa-800x520.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/usa.png 1000w" sizes="(max-width: 462px) 100vw, 462px" /></p>
<p>　そんなわけで、本格的にジャズを聴きはじめるまえに、ぼくはクラシックはもちろんのこと、様々なポピュラー・ミュージックに親しんでいた。だから、クロスオーヴァーが流行りはじめたのは、これはもう願ったり叶ったりのことだったわけ。手練れのスタジオ・ミュージシャンたちによってクリエイトされる、ジャズ、ロック、ラテン、クラシックなどなど、あらゆるジャンルを超えた快然たるサウンドに、ぼくはやにわに惹きつけられたもの。そこには、モダン・ジャズほど先鋭的ではないけれど、確たる即興演奏があり、それを引き立たせるための意匠が凝らされたアレンジメントがある。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　実は、ぼくがアレンジというものに興味をもったのは、クロスオーヴァーを聴きはじめたときのこと。特にCTIレコードの作品からは、とても影響を受けた。<span class="marker">CTI</span>とは“<span class="marker">Creed Taylor Incorporated</span>”の略で、音楽プロデューサーの<strong>クリード・テイラー</strong>の名にちなんだジャズ・レーベル。テイラーといえば、ABCパラマウント、インパルス！、ヴァーヴといったレーベルにおいて、ジャズの名作をたくさんプロデュースしてきたひと。百戦錬磨の彼は、まずA&amp;Mレコードの傘下でCTIレーベルを立ち上げ、ほどなくして独立。レーベルのコンセプトは、ジャズをポピュラライズするというものだった。そして、出来した音楽は結果的に、クロスオーヴァーと呼ばれるようになったのである。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc3">デオダートはどんな音楽家？</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　CTIの作品では、当時のポップスやソウル・ミュージックのカヴァー、それにクラシック曲のパラフレーズ・ナンバーが積極的に採り上げられていた。リズム・セクションのバックにオーケストラを加えるのも、定式化していた。そんな趣向が凝らされるのだから、当然まとめ役が必要になる。さもありなん、現に<strong>クラウス・オガーマン</strong>、<strong>ドン・セベスキー</strong>、<strong>ボブ・ジェームス</strong>、<strong>デヴィッド・マシューズ</strong>といったハウス・アレンジャーや、GRPレーベルを立ち上げるまえの<strong>デイヴ・グルーシン</strong>、アルゼンチ出身の<strong>ラロ・シフリン</strong>といった<ruby>錚々<rt>そうそう</rt></ruby>たる顔ぶれが、ソロイストが繰り出す熱いプレイに、スウィートな響きを加えていたのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　そんななかにもうひとり、ブラジル出身の<strong>エウミール・デオダート</strong>の存在を忘れるわけにはいかない。なんといっても、1973年にリリースされた彼のCTIでの第一作『<em>ツァラトゥストラはかく語りき</em>』(原題は『<em>Prelude</em>』)は、あまりにもインパクトが大きい。しかも、アルバムのA面１曲目の「ツァラトゥストラはかく語りき」は、シングルカットされ500万枚以上のセールスをあげた。当時のアメリカ国内でのレコード販売数としては、驚天動地の天文学的数字！誰もが知る、<strong>リヒャルト・シュトラウス</strong>が作曲した交響詩の「アインライトゥン(序奏)」が、ファンキーでエレクトリックなインストゥルメンタルにアレンジされている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　この曲の人気の背景には、1968年公開の映画『2001年宇宙の旅』のヒットがあることは、否定できないだろう。<strong>スタンリー・キューブリック</strong>が監督した、この叙事詩的SF作品は、賛否が分かれたが、とにかく世界中で大きな話題を呼んだ。キューブリックの記号体系が<ruby>晦渋<rt>かいじゅう</rt></ruby>を極めたこの映画、何度観てもよくわからないのだが、何度でも観たくなる変な作品だ。特にR.シュトラウスの原曲が使用された、ヒトザルが骨を武器にするシーンは、強烈な印象を残した。なお、この演奏はアンクレディテッドだが、<strong>ヘルベルト・フォン・カラヤン</strong>指揮/<strong>ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団</strong>によるものであることは、あまりにも有名。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="alignnone  wp-image-1169 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil-500x375.png" alt="ブラジルの国の形" width="400" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil-500x375.png 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil-300x225.png 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil-768x576.png 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil-800x600.png 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil-1536x1152.png 1536w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2023/01/brazil.png 1600w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></p>
<p>　というわけで「ツァラトゥストラはかく語りき」は、とてもポピュラーな曲になった。この人気曲をジャズ・ファンクの先駆けのようなサウンドで売り出してしまうところに、テイラーのプロデューサーとしてのしたたかさが感じられる。デオダートのほうも、自己のグループに“<strong>2001スペース・バンド</strong>”なんていう名前をつけてしまうのだから、まったく抜け目がない。とはいっても、そういう屈託のない性質が魅力でもある。CTIのハウス・アレンジャーたちはみんな、その音楽的装飾の技法にアートオリエンテッドなところがあるけれど、彼にはそれがない。<ruby>衒<rt>てら</rt></ruby>いのないゴージャスなアレンジと、自由闊達なエレピの演奏が、彼の持ち味。そんな臆することもなくキャッチーなサウンドをクリエイトしてしまうようなところに、ぼくはとても惹かれるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　あっという間にスターの座へ駆け上がったデオダートは、同年にCTI第二作『<em>ラプソディー・イン・ブルー</em>』(原題は『<em>Deodato 2</em>』)を発表。このアルバム・リリースの異例のスピード加減からも、彼が時のひとだったことがわかる。日本でもたちまち彼は人気者になり、CTIの当時のディストリビューター、キングレコードなどは『<em>白いピューマ</em>』(原盤はブラジル時代の『<em>Os Catedráticos 73</em>』/1973年)や『<em>アランフェス協奏曲</em>』(原盤はイタリアのシンガー、<strong>マッシモ・ラニエリ</strong>の『<em>Meditazione</em>』/1976年)といった、奇妙奇天烈なレコードまで発売している。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ちなみに、デオダートの「ツァラトゥストラはかく語りき」はその後、<strong>ピーター・セラーズ</strong>主演の映画『チャンス』(1979年)で使用された。主人公がワシントンの中心街に向かうシーンで流れるのだけれど、確かにこの場面では原曲よりもデオダートのプログレッシヴなサウンドがよく似合う。そんな大ヒット作を彼が制作し得たのも、先ごろ他界した<strong>アストラッド・ジルベルト</strong>をはじめ、<strong>ワルター・ワンダレイ</strong>、<strong>アントニオ・カルロス・ジョビン</strong>、<strong>ミルトン・ナシメント</strong>、<strong>ウェス・モンゴメリー</strong>、<strong>ジョージ・ベンソン</strong>、<strong>スタンリー・タレンタイン</strong>などの、初期のCTI作品でのアレンジャーとしての仕事ぶりが認められたからだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3><span id="toc4">MCA時代の作品がオススメ</span></h3>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ただお断りしておくが、デオダートが全米規模の大スターになったのは、確かにCTI時代だけれど、彼の才能はそれよりもずっと以前に開花していた。彼は1967年にリオからニューヨークに移住したが、ブラジル時代にすでにコンポーザー、アレンジャー、キーボーディストとして大活躍していた。12歳でアコーディオンを手にした彼が、初リーダー作『<em>無意味な風景</em>』(1964年)を発表したのは、22歳のとき。その後1973年まで彼は、ソロ名義のリーダー作や、“<strong>オス・ガトス</strong>”、“<strong>オス・カテドラーチコス</strong>”といったグループ名義の作品、さらに映画のサントラ盤など、たくさんのアルバムをリリースしている。そのサウンドはいかにも、ポップでグルーヴィーなボサノヴァといった風情。そうはいっても、日本でその全貌が知られるようになったのは、1990年代の後半になってから──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　さてさて、前述のように「ツァラトゥストラはかく語りき」の大ヒットで一躍スポットを浴びたデオダートは、その一年後、早々にCTIを去る。大手のMCAレコード(現在のユニバーサルミュージック)に移籍したのだが、このあたりも、なかなかチャッカリしているね。でも、ブラジル時代から大らかで明瞭なサウンドを繰り広げていた彼のことだから、より自由に自分の音楽をクリエイトしたかったのだろう。なにせCTIは、テイラーのプロデュース、<strong>ルディ・ヴァン・ゲルダー</strong>のレコーディングと、レーベル・カラーが濃厚だからね。それなりに制約もあったことだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　確かに、MCAにおける彼の作品は、アルバム・コンセプトにしても、サウンド・プランにしても、それまでより鷹揚さが増している。カヴァー曲においては、クラシック曲のパラフレーズ・ナンバーがぐっと減り、かわりにジャズ・スタンダードや同時代のロックやレゲエのヒット曲が目につく。MCAで制作されたアルバムは『<em>旋風</em>』(1974年)『<em>アーティストゥリー</em>』(1974年)『<em>ファースト・クックー</em>』(1975年)『<em>ヴェリー・トゥゲザー</em>』(1976年)の計４枚で、すべてデオダート自身がプロデュースを手がけた。だから、メロディアスなテーマ、タイトでステーブルなリズム、そしてブラジリアン・テイストと、どこを切っても彼らしさが飛び出してくるのだ。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class=" wp-image-1686 aligncenter" src="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-500x280.jpg" alt="リオデジャネイロの夕暮れ時の風景" width="536" height="300" srcset="https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-500x280.jpg 500w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-800x448.jpg 800w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-300x168.jpg 300w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-768x430.jpg 768w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-120x68.jpg 120w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-160x90.jpg 160w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset-320x180.jpg 320w, https://kimama-music.com/wp-content/uploads/2024/05/brazilatsunset.jpg 1456w" sizes="(max-width: 536px) 100vw, 536px" /></p>
<p>　実はぼくは、デオダートの作品ではMCA時代のものが、もっともナチュラルにその音楽性が表出していて、好きなのである。その後のワーナー・ブラザースの一連のアルバムも決して悪くはないけれど、徐々にディスコやソウルのカラーが深まり、逆にジャズやブラジル音楽の風味は薄まるという、いささかコマーシャルにはしるキライがあった。そのサウンドには、女性ヴォーカル、フォー・オン・ザ・フロア、ハンド・クラッピングなどが溢れかえっていて、そこに彼らしいフェンダー・ローズのアドリブ・ソロが登場する余地は、もはやなかった。そんなことを、アッケラカンとやってしまうところもまた、彼らしいといえば彼らしいのだけれど──。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　ということで、ぼくのオススメは、MCAの最終作『<em>ヴェリー・トゥゲザー</em>』だ。アルバムの完成度は、本作がダントツ。選曲にしてもアレンジにしても、非常にバランスがいい。ニューヨークの名うてのスタジオ・ミュージシャンたちの使いかたも、適材適所だ。A面──<strong>ヘンリー・マンシーニ</strong>の名曲「ピーター・ガン」は、ディスコ・チューンに様変わり。迫力満点のブラス・アンサンブルとソウルフルな女性コーラスがクール。デオダートのオリジナル「スパニッシュ・ブギ」は、躍動感あふれるベースが強力なアップテンポのジャズ・ファンク。やはりオリジナルの「アマニ」は、一転してミッドテンポのブラジリアン・ナンバーで、これぞデオダート！といった感じ。モーグ、トロンボーン、フルートとソロもいい。さらにオリジナルの「ブラック・ウィドウ」は、オフビートなドラムスのパターンが独特な、アーバン・ムードの曲。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　B面──デオダートのオリジナル「ワニータ」は、ファンク・グルーヴが強調されたダイナミックな曲。テナーのソロが、やたら鳴きまくっていて印象に残る。<strong>ボブ・マーリー</strong>の有名曲「アイ・ショット・ザ・シェリフ」は、見事にクロスオーヴァーに変身。デオダートのローズのソロにもR&amp;Bテイストが横溢。<strong>アレクサンダー・カレッジ</strong>作曲の「宇宙大作戦のテーマ」は、テレビ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」で使用された、<strong>メイナード・ファーガソン</strong>によるカヴァーが有名。ぼくは、どちらかといえばスペーシーなデオダートのヴァージョンのほうが好き。デオダートのオリジナル「ユニヴァク・ラヴズ・ユー」は、サウダージ感覚に富んだエレクトリックなバラード。やはり、原点はブラジル！この独特なコード進行こそ、案外デオダートの音楽性を象徴するもののように、ぼくには思われるのだけれど、いかがだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
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<p>最後まで読んでいただき、ありがとうございました。</p>
</div>
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<p></p>]]></content:encoded>
					
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